「圧倒的」の用い方が適切なのはどれでしょう?

1 圧倒的に人手不足なので、納期に間に合いそうもありません。
2 先日のソフトボール大会で、我がチームは圧倒的な勝利をおさめた。
3 圧倒的な弱さで負けてしまい、悔しいという気持ちも起こらない。

【解答と解説】

 「圧倒(あっとう)」とは、「はるかにすぐれた力や勢力で、相手を押さえつけること」という意味の言葉です。多く「する」「される」をつけて、「圧倒する」「圧倒される」という形で用いられます。例えば、「競合他社を圧倒する販売力を持つ」「彼女のあの迫力には圧倒された」という具合です。

 「圧倒的」は、他を圧倒している状態、すなわち、「他と比べられないほど優勢であるようす」を表します。ですので、「圧倒的な」「圧倒的に」に続く言葉として適切なのは、「支持を得る」「勝利を収める」「優れた性能」「強い」「美しい」など、一般的にすぐれた性質やプラス方向の動作を表す言葉です。

 「圧倒的な弱さ」「圧倒的に駄目」「圧倒的に人出不足」「圧倒的に負ける」などという表現を見たり聞いたりすることがありますが、そのように、劣った性質、マイナス方向の動作を強めて言うために「圧倒的」を用いるのは本来の使い方ではありません。

 こういった不適切な用法は、おそらく「他と比べられないほど」という意味だけを「圧倒的」に与えた結果、生まれたものなんでしょうね。「圧倒的」=「他と比べられないほど優勢」というように「優勢」というところまでご記憶いただくと、間違えることはないかと思います^^

 ということで、正解は「我がチームは圧倒的な勝利をおさめた」と言っている2でした。

【正解】 

 ただ、「圧倒的に弱い」が、あながち間違いとは言えない場面もあるような気もします。例えば、あるマンガの登場人物を指して「圧倒的に弱い」と言うような場面ですが、発言者が「弱い」というところがその登場人物の魅力、すなわち優れた点だと思っているとしたら…