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「水道水」の話 東京の水道水は、かつて「まずい水」の代名詞だった。かび臭い、濁っているなどの苦情が水道局に寄せられ、浄水器をつけたり、一度沸かしてから飲んだりする人が多かった。 ところが、この水道水が変わりつつある。東京都庁の売店には、大手飲料メーカーのミネラルウォーターのボトルの間に、都の水道局が販売する「東京水」が並ぶ。 ラベルには「原材料名:水(水道水)」とある。都内の浄水場で処理した水をボトルに詰めて販売していて、味もおいしいと評判だ.この「東京水」の販売は東京都水道局が進めている「安全でおいしい水プロジェクト」キャンペーンの1つだ。 キャンペーンでは、貯水池ならびに河川の水質管理、浄水処理施設の改善など、さまざまな取り組みを行っている。1992年には金町浄水場(葛飾区)に、オゾンや活性炭を使って微生物などを取り除く特別な装置を導入した。さらに、マンションの貯水槽や水道管が古くなって、浄水場から運ばれる水が汚染されてしまうこともあるため水道管では水道局や貯水槽を調査したり、取り替えたりしている。これらの対策が進むのに伴って、おいしくて安全な水を届けることができるようになってきた。 さらに、キャンペーンのもと、水源の森林を守るための取り組みも進んでいる。森林に降った雨は、地面に積もった落ち葉をゆっくりと通過し、土に染み込み、そして、川に少しずつ流れ込む。森林は、水道水のもとになるきれいな水を作る一方で、土砂がダムに流れ込まないようにする働きをしている。この「緑のダム」ともいえる森林を守り、育てることによって、いつか、ミネラルウォーターよりもおいしくて、安全な水が飲めるかもしれない。そんな期待が高まりつつある。