白い巨塔

【里見への遺書】
里見へ
この手紙をもって、僕の医師としての最後の仕事とする。
まず、僕の病態を解明するために、大河内教授に病理解剖をお願いしたい。
以下に、癌治療についての愚見を述べる。
癌の根治を考える際、第一選択はあくまで手術であるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、発見した時点で転移や播種
をきたした
進行症例がしばしば見受けられる。
その場合には、抗癌剤を含む全身治療が必要となるが、
残念ながら、未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの癌治療の飛躍は、手術以外の治療法の発展にかかっている。
僕は、君がその一翼を担える数少ない医師であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には癌治療の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、癌による死が、この世からなくなることを信じている。
ひいては、僕の屍を病理解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
屍は生ける師なり。
なお、自ら癌治療の第一線にある者が早期発見できず、手術不能の癌で死すことを、心
より恥じる。
財前五郎

「だだ、無念だ」

「私も選考委員に立候補することにいたした。厳正なる教授選遂行のためだ。」

「東教授の総回診です」

女王の教室
いい加減目覚めなさい

イメージ出来る?

あなたたちは、この世で、人もうらやむような幸せな暮らしが
出来る人が、何パーセントいるか知ってる?
たったの6%よ。
この国では100人のうち6人しか幸せになれないの。

何か辛いことがあった時に、あなた達に出来ることなんか、
せいぜい目をつぶることぐらいじゃない。
でも目を閉じても、問題は消えて無くならないわよ。
目を開けた時に、事態はもっと悪くなっているだけ。

なぜ、人を殺してはいけないんですか。
そう質問すれば、大人がちゃんと答えられないと知っていたのね、彼は。
だから私は、彼に教えたの。
他人の痛みを知れと。
みんな、自分と同じ生身の人間なんだと。
どんな人にも、あなたの知らない、素晴らしい人生があるんだと。
一人一人の人間の持つ家族や、愛や、夢や、希望や、思い出や、
友情を奪う権利は誰にもありません。
残される遺族の、苦しみや、痛みや、悲しみを与える権利も
誰にもありません。