「やれやれ、またドイツか」と思う主人公を乗せ、ジャンボ機はハンブルク空港に降りる。機内に小さく流れる音楽。「それはどこかのオーケストラが甘く演奏するビートルズの『ノルウェイの森』だった

“啊,怎么又到德国了。”承载着主人公的喷气客机降落在汉报堡机场。机舱内轻声地播放着音乐。“那是某个水平高超的管弦乐团演奏的披头士的《挪威的森林》”。

この場面から始まる長編小説を村上春樹さんが出して、20年になる。作品名となったその曲は、針葉樹が香るメロディーの中にも東洋を感じさせる。インドの民族楽器、シタールが使われているせいだろう。

这是村上春树的长篇小说的开场白。小说已经出版20年了。被当作小说名字的乐曲飘溢出针叶树的馥郁香气,还有一点儿东洋韵味。可能是因为使用了印度的民族乐器西塔琴的缘故吧。

もちろん、民族楽器はノルウェーにもある。母国に根づいた楽器や民謡をこよなく愛し、旋律や和声に採り入れたのが19世紀後半の作曲家、グリーグだ。明日が没後100年にあたる。

当然,挪威也有民族乐器。比如无比热爱扎根于祖国土壤的乐器和民谣,在自己的乐曲中采用其旋律与和声的19世纪后半期的作曲家格里格。明天是他逝世100周年纪念日。

ハルダンゲルバイオリンという楽器がある。4本の弦の下に細い共鳴弦が張られ、バグパイプのように厚く重なった音が出る。日本で一人だけのプロ演奏家、山瀬理桜(りお)さんは「ノルウェー土着の音は、グリーグを通じてクラシック音楽全体に影響を与えています」と教えてくれた。

有一种乐器,叫ハルダンゲル小提琴。用四根细细的共鸣琴弦,奏出象管风琴似的低沉、厚重的乐音来。日本首屈一指的专业演奏家山濑理樱曾这样告诉我:“挪威的民间音乐通过格里格对整个古典音乐产生了影响。”

代表作ペール・ギュント組曲の「朝」は、この楽器の共鳴弦を、高音から順につま弾いた旋律で始まる。イプセンの戯曲にグリーグが音楽をつけ、後にムンクが劇場ポスターを描いたと聞けば、この国の文化の集大成のようでもある。

他的代表作《培尔·金特》组曲的《早晨》乐章,就是使用这种乐器的共鸣弦自高音向低音循序拨弦弹奏开始的。易卜生的戏剧,格里格的音乐,又有孟克的剧场海报,真可以说是集挪威文化之大成。

民族音楽に楽譜はなく、耳から耳へ伝承されるという。だから奥行きと味わいがある。「人生は民族音楽に似ている。それが短調なのか長調なのか、誰にも分からない」。ノルウェー王国の公式サイトが掲げるグリーグの名言だ。北国の「文化の森」は深い。

民族音乐是没有乐谱的,是靠口口相传的。因此,越深入其中越感受丰富。挪威王国的官方网站上的格里格的名言这样写到:“人生就象民族音乐,是短调还是长调,谁也无从知晓。”北国的“文化森林”是深奥的。