DEARS 花言葉物語 青の季節
それでは、最後に11月の誕生花、椿のお話でございます。椿は山茶花やお茶と同じ常緑樹で、一般には、花に匂いはありません。しかし、芳香のある同じ属性の姫山茶花や茶の花と交配して作られた椿の種もございます。「匂い立」つと表現されるように、美しいものにはそれなりの香りがあってほしいということなのでしょうか。ただ、それだけのために作られたのだとしたら、それは人のわがままなのかもしれません。余計な物を申しました。忘れてください。 また、花びらは根元部分で融合しているため、一枚一枚ハラハラと散っていくのではなく、一輪丸ほどぽとりと落ちてしまいます。このことから、首が落ちることを連想され、その昔、武士の開いたでは敬遠されていたようです。いまでも、お見舞いには適さない花とされております。そういえば、私にはよく映像で床の間に飾られたこの花がぽとりと落ちるシーンにどきりとした甘酸っぱい思い出がございます。は、淑女の方々がお聞きかもしれない場面にお話をするような内容ではございませんでした。謹んでお詫び申し上げます。さて、花瓶に一輪差して置くだけでも、鮮やか彩を添える此花の原産は日本とお隣の国中国でございます。しかし、昔は観賞用というよりも、薬用として用いられ、お湯に煎じたものや、お酒につけて薬酒としても用いられてきました。深紅や純白、様々な色の種類があり、時にせいそん、時に豪華に気高く咲くこの花に贈られた花言葉は控えめと贅沢でお洒落というなんとも正反対の二面性を持ったものでございます。相反するイメージが同時に存在するというのは女性の謎めいた部分に似ているような気がいたします。それでは、そんな椿に纏わる物語をお話していきましょう。