「ダイエットをして腕とか脚が徐々に細くなっていくと、自分の体が矢沢あいさんの画に近づいていくような気がして。そんな快感、満足感があったんですよね…」。この一言から、女優・北川景子が、どれほど『パラダイス・キス』の世界観に惚れ込んでいるか伝わってくる。これまで少女漫画は「興味がなかった」という彼女だからこそ、なおのこと原作の持つ魅力、パワーを再確認させられる。甘い蜜を求めて花から花へ飛び回る蝶のように、映画・ドラマ・CMと八面六臂に活躍する彼女が、新たに踏み込んだ少女漫画の世界──そこから紐解かれる北川景子の新しい一面に迫った。

17歳で芸能界デビュー、自身の経験が役に重なる

「少女漫画はあまり読んだことはなかったんですが、矢沢あいさんの存在は有名なので知っていて、この役を演じるにあたって初めて原作を読ませてもらいました。まず画に驚きましたね。少女漫画というと全員が同じ顔だと思っていたんですけど、パラキスは全員違っていて、ファッションも雑誌から飛び出してきたようなスタイリング。画を見ているだけで楽しい漫画ってあるんだなって」。北川さんがそれまでに抱いていた既成概念を打ち破り、さらに「原作の本質を活かしていこうと思った」と、役作りにおいても新しいアプローチにたどり着いた。

「モデルとして活動していた当時を思い出したり、失敗した記憶がよみがえってきたりしました。紫の性格は、自分の17歳の頃にも似ていて、共感する部分は多かったですね。似ているのは…受験前の一生懸命頑張っているのに上手くいかないイライラを先生や両親にぶつけたり、学校では先生の言うことを聞かなくちゃいけない、家では両親の言うことを聞かなくちゃいけない、けれど自我が芽生えてきて、自分では大人だと思っているアンバランスなところとか、ですね (笑)」。

優しい男・徳森くん&俺様タイプ・ジョージに「個人的には徳森くんが好き」

北川さんの芸能界デビューは17歳のとき。芸能界に対する憧れはまったくなく、その点もヒロインの紫と重なる。その頃は、何かになりたいというよりも、大学に入ることが自分の夢だと思い込んでいたそうで、そこに向かって努力をするものの「どんどん違う方向に進んでいっているのではないか…?」という不安感、「何かが違うんじゃないか…?」という違和感を感じていたと、過去の自分の心の内を話し出す。

紫と同じで、大学受験をしようと勉強ばかりしていて、部活もせずに予備校に通っていました。勉強、勉強の日々。それなのに、中学ぐらいまで調子がよかった成績は高校ではなかなか上がらなくて、高校に入ってからというもの、めっきり上手く行かなくなった。勉強ばかりしている生活は、もしかしたら間違いなのかもしれない…、間違ったことを自分の夢だと思い込んでいるのかもしれない…。そんなときにスカウトされたんです。環境が変われば自分の本当の道が開けるとも思っていたので、そのときのスカウトがもしもサーカス団だったら、今頃はサーカス団にいたかもしれないですね(笑)」。

最後にどうしても聞いておきたかったのは、『パラキス』のキャラクターで好きなタイプは誰なのか?
「個人的には徳森くんが好きですね。紫は徳森くんに片想いをしていて、ジョージと出会って彼に惹かれていくけれど、紫にとってジョージは自分の可能性に気づかせてくれた人、自分が考えたことのない道を開かせてくれた人、人生を変えてくれた人だから気持ちが傾いていたと思うんです。でも、そういう状況抜きで考えたら、私はジョージみたいな人を好きにならないと思う。『自分の可能性を信じなくちゃ何も始まらない』というジョージのセリフは、一番好きなんですけどね (笑)」。

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