中国の厳しすぎる受験戦争を避けるため、中国人は日本に留学したいと考える。日本留学は「安い」「近い」「安全・安心」など、いいこと尽くめだ。
为避开中国残酷的考试竞争,很多中国人都考虑到日本留学。选择日本留学的理由有“价格低”、“距离近”、“安全安心”等优势。
今後も、日本をめざす中国人留学生が増えていくことは確実といっていいだろう。中国人留学生の増加の要因としては、中国側のさまざまな事情も絡んでいる。
未来选择赴日留学的中国留学生无疑会越来越多。中国留学生增加背后的原因,与中国社会的一些现状息息相关。
学歴重視の中国社会、「裏学習塾」の横行も
重视学历的中国社会 “私设补习班”现象横行
まず、中国の過酷な受験戦争について見てみよう。
首先就是中国残酷的考试竞争。
2023年、中国の「高考」の出願者数は約1291万人で、前年比98万人増加した。中国でも少子化が進んでいるにもかかわらず、出願者数は過去最多となった。
2023年,参加中国“高考”的人数约1291万人,较上一年相比增加了98万人。中国少子化进程虽然也很严峻,但参加高考的人数却是史上最多的。
その理由は、景気の悪化により、ますます学歴重視・高学歴化に拍車がかかっているからだ。
其背景就是大环境恶化之下,整个社会越来越重视学历,要求高学历。
中国の大学は90年代以降増え続けているが、名門大学の数は従来通り少なく、受験生の多くがこぞってそこ(名門)を目指すため、狭き門であることは変わらない。
中国的大学数量自90年代后便不断增多,但名门大学的数量却一直很少,考生大多梦想考上“名门大学”,所以竞争依旧非常严峻。
名門大学とは北京大学、清華大学、上海交通大学、復旦大学などで、以前は重点大学と呼ばれていた(現在は双一流大学というのが正式な呼称)。
像北京大学、清华大学、上海交通大学、复旦大学等名门大学,此前被称作重点大学(如今被称作双一流大学)。
政府の予算が多く配分されている大学で、「一流大学」であると誰もが認め、知名度が非常に高い。当然これらの大学を卒業すれば就職などに有利になるため、競争は激烈になるのだ。
这类大学拥有充足的政府拨款预算,也是人人认可的“一流大学”,知名度非常高。从这些大学毕业之后当然对找工作更加有利,所以报考竞争也非常激烈。
政府が2021年、教育格差を是正するため、学習塾の新規開設を制限したり、小中学生の宿題の量を減らしたりした。
2021年,中国为修正教育差异,限制新开补习班,要求减少中小学生作业量。
しかし効果は薄く、「裏学習塾」が横行しており、教育熱はいまも変わらない。教育にお金を掛けられる家庭では、習い事なども含めて、日本円にして月額100万円以上かけていることもざらにある。
然而这一政策收效甚微,“私开补习班”现象依旧横行,教育热只增不减。愿意在教育上花钱的家庭,每个月甚至会花费100万日元以上(约4.75万元)的金钱来保证孩子的学习教育。
貧富で広がる教育格差…平等を求めて日本へ
贫富差距拉大的教育格差 更向往追求平等的日本
都内の音楽大学に留学中の中国人に、話を聞いたことがある。中国で音大を目指していた高校時代、音大の教授から実技のレッスンを受けていたが、1回のレッスン料(20~50分)は1500元だったという。
笔者曾询问过就读于东京都内某音乐大学的中国留学生。这位留学生高中时就以一所中国的音乐大学为目标,上过音乐大学教授的实操课程,一节课(20~50分钟)的费用大概在1500元。
また、ソルフェージュ(音大受験に必須の基礎学習)のレッスン料もほぼ同額で、教授は一度で30人くらいにソルフェージュを教えていたという。
此外,声乐基础课(考音乐大学必须的基础学习)费用也差不多,一位教授会开30人左右的小班教声乐基础。
「ほかのレッスンの数なども合わせて推計すると、教授の懐には大学の給与以外に、月額1400万円以上のアルバイト代が入るのではないか」とその学生は話していた。
这位同学说:“算上这位教授开的其他课程,除了大学上课的工资外,每个月大概还能有1400万日元以上(约66.5万)的兼职工资”。
これは中国の音大教授のアルバイトとしては、ごく普通のことだという。高額なレッスン料や家庭教師料を支払える家庭はそれでもいいかもしれないが、多くの家庭は支払うことができない。
而这样的兼职工资在中国的音乐大学教授之间是再普通不过的。对于能够负担得起如此高昂的课程和家教费用的家庭来说可能无所谓,但还是有很多家庭负担不起的。
学力の問題ではなく経済的な事情により、大学に入学できない、あるいは入学するチャンスが少ない学生は多い。
这已经不是学习能力的问题,而是拼经济水平的事情了,所以很多学生无法考上大学,甚至连考大学的机会都没有。
そこで、教育格差を嘆くよりも、「格安で平等に受験できる日本に留学したほうがよい」「日本のほうがチャンスがある」と考える人が増えるのも、無理もないことかもしれない。
所以,比起哀怨教育差距,越来越多的人会考虑“不如去更便宜、考试更公平的日本留学”、“去日本读书的话机会更多”,也不是没有道理。
中国国内で大学進学者を減らす制度
中国国内减少大学入学人数的制度
海外留学を目指す中国人が多い背景には、中国が2018年から実施している「中考分流」もある。
越来越多的中国人选择出国留学的一大背景原因,还有中国2018年起实施的“中考分流”政策。
これは、「中考」の段階で、大学に進学できる成績かどうかを見極め、「ふるい」にかける制度のことだ。
这是一个在“中考”阶段,就根据成绩来判断考生未来是否能够升入大学的“筛选”制度。
その時点で成績があまり芳しくなければ、大学進学をあきらめ、職業専門学校や中等専門学校(日本の高等専門学校に相当)に進学するように、先生から仕向けられる。
如果中考时的成绩不佳,老师就会建议同学放弃考大学,转而就读中等职业学校或者中专(相当于日本的高等专门学校)。
中国の大卒者の数があまりにも増えすぎて就職とのミスマッチが増え、就職難の大卒者が続出していることから、大学進学者を絞るのが目的の制度だ。
由于中国大学毕业生数量增加过多,与就业需求愈发不匹配,大学毕业生就业难的问题日益深重,因此出台了这一制度,目的就是缩小未来报考大学的人数。
しかし、これに反発する学生や保護者は多い。中国では職業専門学校への進学はバカにされる傾向があり、「是が非でも大学へ」という風潮があるからだ。
然而,很多学生和家长都反对这一政策。毕竟读职校中专的人都不聪明这一思想在中国人心中根深蒂固,所以大家才觉得“好歹都要读个大学”。
そのため、「中考分流」が実施されるようになって以降、海外留学を目指す人が増えている。
所以,自“中考分流”政策实施后,越来越多的人选择出国留学。
統計などはとくにないが、日本の高校への留学を目指す人、あるいは中国で職業専門学校に通いながら、日本の大学への留学を目指す人が少なくない、と話す中国人は多い。
虽然没有相关统计数据,但的确有不少中国人说会以日本的高校为目标到日本留学,或者一边读中国职校,一边备考日本的大学。
「中考分流」が、学生に早期留学を決意させる引き金になってしまっていると言えるだろう。
“中考分流”制度可以说是让很多中国学生决定早早出国留学的一大导火索。
中国での大卒者の就職は厳しくなる一方だが、日本に留学させれば、そのまま日本で就職することができる。大学卒業と同時に子どもに資金を提供し、日本で起業させることも可能だ。
此外,在中国,大学毕业之后就业形势也很严峻,但如果到日本留学后,就有机会在日本工作。也有家长会在孩子大学毕业时给孩子一笔启动资金,帮助孩子在日本创业。
日本側にとっても、少子化により18歳人口は年々減少しており、とくに地方では喉から手が出るほど留学生を欲している学校が多い。そのため、留学したい側(需要)と留学生を受け入れたい側(供給)はマッチしている、と言えそうだ。
而对于日本方面,由于日本少子化进程迅速,18岁人口逐年减少,特别是在地方,很多学校都非常想要招收留学生。因此,想要留学的需求,和想要招收留学生的供给可以说是完美匹配上了。
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