上智大学で、非常勤講師への賃金不払いが取り沙汰されている。学科コース全体で使うオンライン教材の作成など講義時間外の賃金の支払いを請求したところ、大学側は「講義給に含まれている」として支払いを拒んだという。

有关上智大学不支付非常勤讲师工资一事被热议。讲师要求学校支付学科课程在线教材的编写费用等授课时间之外的工资,但学校以“该费用已包含在课时费”为由拒绝了。

大学講師への給与は、講義への対価として支払われるが、事前の準備、質問対応、試験の採点等、もろもろの付随業務も含むと理解されるのが普通だ。教材作成への対価を別に払ってほしい、という訴えは珍しい。コロナ禍でオンライン用教材の作成等、負担が大きくなっていることから、この部分もきちんと評価するべきだと、ということなのだろう。

通常来讲,大学讲师的工资是与授课情况相挂钩的,课前准备、答疑、评判考卷等附加工作也包含在内。要求校方额外支付教材编写费的诉求相当少见。因为疫情,编写在线教材等工作负担加重,的确应该就工资报酬问题进行一定的调整。

講義の対価がそれなりの額なら不満は起きないだろうが、ここに書くのがはばかられるほど安い。相場は「1コマ3万円」だ。誤解する人が多いが、これは1回90分の講義の額ではない。1カ月分(4回の講義)の対価だ。1回の講義は7500円、上記の付随業務も含めると時間給はかなり低くなる。最近はオンライン教材の作成等の負担も増えているので、コンビニバイト並みになっているかもしれない。

如果课时费合理,想必也不会引起讲师们的不满,但实际上却便宜的惊人以至于不敢贸然写出来。非常勤讲师课时费的普遍报价为“1课时3万日元”。恐怕会有很多人误解,这里指的不是1节课90分钟。而是1个月(4节课)的报酬。相当于1节课7500日元,如果再算上上述的附加工作,那么时薪相当低了。最近讲师们还要编写制作在线教材,负担加重,时薪估计与便利店的小时工差不多。

首都圏大学非常勤講師組合の機関誌『控室』(1997年1月19日)に、「バカにするな!-1コマの意味を理解していて本当に良かった-」という記事が出ている。その筆者は、とある児童文学者の方だ。1コマ2万7000円の講義を3コマ頼まれたのだが、提示された額を1回90分の講義の額と勘違いし、「2.7万円×3コマ×4回=32.4万円」の月収を想定していたが、振り込まれたのはその4分の1。通帳を見て飛び上がり、事務に電話をして1コマの意味を教えてもらったという。

首都圈大学非常勤讲师联合创办的机关杂志《控室》(1997年1月19号)刊登了题为《别把人当傻子!-我很庆幸了解到了1课时的真正含义-》。作者是一位儿童文学作家。他被大学邀请去讲课,3个课时,每课时2万7000日元,但该作家误以为这是1节课90分钟的酬劳,其预计月收入为“2.7万日元*3课时*4次=32.4万日元”,但最后只拿到了预期的四分之一。当他看到银行存折时惊讶不已,立刻给大学事务处拨打电话,询问1课时具体的含义。

その後、母校から「1コマ2万円で講義しないか」と話が来るが、よほど頭に来たのだろう。「バカにするな!」という強い文言ではねつけている。民間人を非常勤に呼ぶ大学が増えているが、トラブルもさぞ多く起きているかと思う。

后来,他的母校以“1课时2万日元”的酬劳邀请他回校上课,大概是真的生气了,该作家用强硬的语气回绝“别把人当傻瓜!”。越来越多的大学引进非教育系统的人才聘用为本校非常勤讲师,这也造成了很多争执的发生。

こういう待遇でも、大学の非常勤講師のなり手はいくらでもいる。1990年代以降の大学院重点化政策により、行き場のないオーバードクター(博士学位を取得して定職に就いていない人)があふれかえっているためだ。声を掛ければ、給与も聞かずに飛びついてくる。

即使时薪不乐观,但还是有大量的非常勤讲师。自上个世纪90年代以来,国家开始重点建设大学院,扩招研究生,出现了越来越多无用武之地的Over Doctor(取得博士学位而没有固定工作的人)。只要收到大学的邀请,就会立刻上岗授课,不在乎工资多少。

上智大学でのトラブルで、仮に大学が非を認めて支払いに応じた場合、どういう事態になるか(今件では、中央労働基準監督署が上智大学に対して賃金支払いの是正勧告を行なっている)。同じ訴えを起こす講師が続出し、全国の大学は大変なことになるだろう。非常勤講師への依存度が高い大学は、経営が一気に火の車になる。

假设上智大学承认校方的做法有失妥当并支付相应费用,会引发什么问题呢(中央劳动基准监督署对上智大学就工资支付问题进行了纠正劝告)。其他高校的讲师们将会陆续提出仲裁,全国各大高校恐怕都会深陷其中。聘用非常勤讲师人数较多的大学,将会多出一大笔工资支出。

防衛の策として、契約書に「講義、教材作成、学生への個別対応、試験採点、その他付随業務全部を含めて1カ月3万円」と書くのだろうが、これなどは民法が禁じる「公序良俗に反する契約」に当たると考えていいのではないか。

为避免此类纠纷再次发生,校方可以在合同上注明“1个月3万日元,包括授课、编写教材、答疑、判卷等工作”,不过这样一来就成了“违反公序良俗的合同”,是民法中明令禁止的。

社会をよくする「知」を創造する大学で、このようなことがまかり通って良いはずがない。今回の騒動を機に、非常勤講師の待遇を真剣に見直すべきだ。

大学是创造“知识”为社会输送能量的地方,违反公序良俗的事是绝对不可以发生的。各高校应借此次争端,认真重新审视非常勤讲师们的待遇问题。

本内容为沪江日语原创翻译,严禁转载。

相关阅读推荐:高校面积过大引热议:小萌新,不要妄想靠双腿走遍校园!