中国で親しまれる小吃(軽食)。「煎餅果子」は屋台メニューだが、大久保に専門店もできた。

在中国很受欢迎的小吃。“煎饼果子”虽然是路边摊的小吃,但在大久保也开了专卖店。

「ガチ中華」こと「ディープチャイナ」の世界は、想像している以上に多様化している。

“正宗中国菜”或者是“deep china”的世界比想象的要多样化。

そこで「ガチ中華」の全体像とその広がりを理解するべく、都内に実在するさまざまなタイプの店の名前を具体的に挙げながら、東京ディープチャイナの各シーンをいくつかのグループにジャンル分けしてみようと思う。

因此,为了理解“正宗中国菜”的总体情况和广度,我将一边具体列举东京都内实际存在的各种类型的店,一边将东京deep china的各个场景分成几个小组。

「和風中華」とは別物の料理

与“和风中华”不同的料理

(1)新興ビジュアル系

(1)新兴视觉系

ここ1、2年で急増しているのが「新興ビジュアル系」だ。今年2月末、東京の大久保にオープンした重慶料理店「撒椒小酒館(サージャオシャオジウグアン)」や池袋西口の海鮮鍋の店「破店 Broken Shop Sweet and Spicy」(2月中旬オープン)などがこれに当たる。

最近1、2年急剧增加的是“新兴视觉系”。今年2月末,在东京大久保开业的重庆料理店“撒椒小酒馆”和池袋西口的海鲜火锅店“破店 Broken Shop Sweet and Spicy”(2月中旬开业)等就是其中之一。

大久保通りでひときわ目立つ重慶料理店「撒椒小酒館」

大久保街格外显眼的重庆料理店“撒椒小酒馆”

「撒椒小酒館」の看板メニューは、2010年代に中国でブームになった「烤魚(カオユー)」という白身魚の麻辣スープ煮込みだ。店舗のデザインは、大久保通りを歩くと否が応でも目につく奇抜で斬新なもので、これが「新興ビジュアル系」としたゆえんだ。

“撒椒小酒馆”的招牌菜是2010年在中国掀起热潮的名为“烤鱼”的麻辣汤炖白肉鱼。店铺的设计,走在大久保大街上不管愿不愿意都格外显眼,新奇且新颖,这是笔者将其命名为“新兴视觉系”的原因。

中国の若い世代の人気メニュー「烤魚」は四川料理の進化系

在中国年轻一代很受欢迎的“烤鱼”是四川菜的进化系

同店のオーナーによれば、中国在住の設計士と日本の中国系施工会社が共同で手掛けたもので、中国で「国潮(グオチャオ)」と呼ばれるデザイン様式を採用しているという。

据该店老板介绍,这是居住在中国的设计师和日本的中国系施工公司共同设计的,采用了在中国被称为“国潮”的设计样式。

「国潮」は中国の伝統的な意匠にポップカルチャーを融合させてモダン化したもので、2010年代半ばに誕生した。それまで外国ブランドに弱かった中国の人たちが、自国の経済力に自信を持ち、自らのブランドを立ち上げたいという思いとともに生まれたとされ、中国のアパレルやコスメの商品パッケージや若者向けの音楽番組のセットなどによく見られるデザイン様式だ。

“国潮”是在中国传统的设计中融合了流行文化而变得现代化,诞生于2010年代中期。中国对于外国在品牌方面相对较弱,这是对本国的经济能力抱有自信,以及想创立自己的品牌的想法一起诞生的,这种设计样式在中国的服装和化妆品的商品包装和面向年轻人的音乐节目布景中经常能看到。

アニメ世代が中国伝統文化を採り込んで生まれた「国潮」

将中国传统文化融入漫画中产生的“国潮”

店名が「廃屋」の意味を持つ「破店 Broken Shop Sweet and Spicy」の内装は、レトロ趣味を前面に打ち出しながら、ポップな要素も取り込んだユニークなデザインなのだが、脱力モードとでもいうのか、店員のユニフォームまで意図的に野暮ったくしているのが特徴だ。過度な競争社会に背を向ける「横たわり族(躺平族)」と呼ばれる新手のニートが増えているとされる、いまの中国の若い世代の気分を反映しているのだろうか。

店名有“废屋”之意的“破店 Broken Shop Sweet and Spicy”的内部装饰,其特点是打着怀旧牌,同时也加入了流行元素的独特设计,但可能是躺平模式,连店员的制服都有意弄得土里土气。与内卷的社会现象背道而驰被称为“躺平族”的新啃老族正在增加,这是否反映了现在中国年轻一代的心情。

(2)中国の人気外食チェーン

(2)中国的人气餐饮连锁店

2つ目のジャンルは、すでに本コラムでも紹介した「中国の人気外食チェーン」 で、麻辣燙(マーラータン)専門店の「楊国福(ヨウゴクフク)」や、数々のこだわりのサービスと京劇パフォーマンスなどの趣向を凝らしたエンタメで知られる火鍋チェーンの「海底撈(ハイディーラオ)」などで、都内で多店舗展開をしている。

第二种类型是已经在本专栏中介绍过的“中国的人气餐饮连锁店”,包括麻辣烫专卖店“杨国福”,以及以各种无微不至的服务和京剧表演等别出心裁的娱乐方式而闻名的火锅连锁店“海底捞”等在东京都内开设了多家店铺。

「海底撈」では京劇の衣装で仮面を七変化させるショーがある

在“海底捞”中有穿着京剧服装表演变脸

人気外食チェーンのニュータイプとしては、中国の人気俳優の陳赫(チェン・フー)がプロデュースする高田馬場の火鍋チェーン「賢合庄(けんごうしょう)」や、「米線(ミーシェン)」と呼ばれる雲南省のライスヌードルを提供する「阿香米線(アーシャンミーシェン)」などがある。

人气餐饮连锁店的新类型,有中国知名演员陈赫加盟的高田马场火锅连锁店“贤合庄”、提供“米线”这一来自云南省的米粉做的面条的“阿香米线”等。

「賢合庄」の入口には陳赫さんの等身大キャラクター人形が置かれている

“贤合庄”的入口处放着陈赫的等身角色人偶

これらの外食チェーンは日本だけでなく、北米やオーストラリア、東南アジア各地にも出店している。いま東京で起きている新たな食のシーンは、日本に特有なのではなく、ワールドワイドに、同時的に見られるものなのである。

这些餐饮连锁店不仅在日本,在北美、澳大利亚、东南亚各地也有分店。现在在东京开业的新的饮食店,并不是日本特有的,在世界范围内都可以看到。

(3)ジャンク小吃&麻辣進化系

(3)“垃圾”小吃&麻辣进化系

カモの首の煮物である「鴨脖(ヤーボゥ)」やザリガニ(小龍蝦)料理のようなジャンクな軽食である小吃(シャオチー)を出す店も増えている。鴨脖なら都内に多店舗展開している「周黒鴨大夫人(ジョウヘイヤーダーフーレン)」で味わえるし、ザリガニ料理なら高田馬場の早稲田通り沿いに専門店の「蝦道(シャドウ)」がある。

现在,越来越多的商店推出煮鸭脖子的“鸭脖”和小龙虾料理等“垃圾”小吃。如果想吃鸭脖的话,可以在东京都内开设多家店铺的“周黑鸭大夫人”品尝,如果想吃小龙虾料理的话,沿着高田马场的早稻田大道有专卖店“虾道”。

「周黒鴨大夫人」のジャンクなメニューはこんなにたくさんある

“周黑鸭大夫人”有很多种类

これら日本人からするとかなり抵抗のある小吃は、早朝から夜遅くまで受験勉強に明け暮れる中国の若い世代にとっては、小腹を満たす身近な軽食だった。中国の経済成長が軌道に乗った2000年代に、刺激の強い四川料理として全土に広まり、その麻辣風味はさまざまな料理へと進化していく。

这些在日本人看来,是非常抗拒的小吃,对于从早到晚都忙于应试学习的中国年轻一代来说,是满足口腹之欲的常见小吃。在中国经济成长步入正轨的2000年代,刺激性很强的川菜在全国蔓延,其麻辣风味逐渐进化为各种各样的料理。

たとえば、汁なし麻辣鍋の「麻辣香鍋(マーラーシャングオ)」や、串に刺した食材を麻辣スープにひたして食べる「串串香(ツァンツァンシャン)」は、四川火鍋に端を発する麻辣料理の進化系といえる。

例如,无汁麻辣锅的“麻辣香锅”和将插在扦子上的食材浸在麻辣汤里吃的“串串香”可以说是发端于四川火锅的麻辣料理的进化系。

いずれも冷凍ケースに並べた食材を客が選んで調理してもらうというスタイルが特徴で、いまどきの好みにうるさい中国の若い世代向きでもある。本場の辛さや痺れに慣れていない日本人には、火鍋に比べてこちらのほうが食べやすい気もする。

这两种都是客人选择冷冻箱里摆放的食材进行烹饪的风格,也是面向现在对喜好很严格的中国年轻一代的风格。对于不习惯正宗的辣和麻的日本人来说,和火锅相比,这个更清淡。

串串香はスープを用意し、具材を串に刺すくらいの手間で営業できてしまうので参入しやすく、この数年で供する店は都内では一気に増えた。串串香なら高田馬場の「老四川名小吃 小郡肝串串香(シャオジュンガンツァンツァンシャン)」、麻辣香鍋なら池袋の「寛窄巷子(クアンザイシャンズ)」などが知られる。

串串香准备了汤,把食材插在串上就可以营业了,所以上手简单,这几年这样的店在东京都内一下子增加了。串串香的话有高田马场的“老四川名小吃 小郡肝串串香”,麻辣香锅有池袋的“宽窄巷子”等比较有名。

(4)フードコート&ライト小吃系

(4)美食广场&轻便小吃系

東京・池袋の「友誼食府」などは、本コラムでもこれまで紹介してきたが、その後、これに続く第2、第3の中華フードコートが現れている。友誼食府と同じビルの2階にある雲南料理や湖南料理、福建料理など珍しい中国の地方料理が味わえる「食府書苑(しょくふしょえん)」や、同じく池袋西口にある「沸騰小吃城(ふっとうしょうきつじょう)」などだ。

东京・池袋的“友谊食府”等在本专栏中也介绍过,但之后出现了第二、第三个中华美食广场。“食府书苑”与友谊食府同样位于大楼的二楼,这里有可以品尝到云南菜、湖南菜、福建菜等珍贵的中国地方菜,以及同样位于池袋西口的“沸腾小吃城”等。

これらのフードコートでは、中華風お好み焼きの「煎餅果子(ジェンビングーズ)」や、小麦粉の平たい麺に甘辛く酸っぱいソースをかけた「涼皮(リャンピー)」のようなライトな粉モノが人気だ。これらも中国の若い世代にとっては常日頃から親しんできた小吃(軽食)である。

在这些美食广场上,中式煎饼“煎饼果子”和在面粉做的扁面上浇上酸甜酱汁的“凉皮”这种轻便小吃很受欢迎。这些都是中国年轻一代平时就喜欢吃的小吃。

「涼皮」は中国の若い女性に人気の冷やし麺

“凉皮”是在中国年轻女性中很受欢迎的冷面

(5)中華風BBQ&カラオケバー系

(5)中式BBQ&卡拉OK酒吧系

これも最近、都内各地にオープンしている業態で、料理のメインは「焼烤(シャオカオ)」という中華風BBQ(串焼き)だ。これは渤海沿岸の町、遼寧省の錦州のものが有名で、この地方の人は夏にビーチ沿いの屋台でビールを何本も並べて海鮮串焼きを食べている。そのスタイルのシティ版といえる。

这也是最近在东京都内各地开业的业态形式,料理的主要内容是名为“烧烤”的中式BBQ(烤串)。在渤海沿岸小镇,辽宁省锦州很有名,这个地方的人夏天在海滩边的小摊上摆着好几瓶啤酒吃海鲜烧烤串。可以说是那种风格的城市版。

「焼烤」は海鮮や羊肉、野菜などをニンニクたっぷりのタレで焼く

“烤烤”是将海鲜、羊肉、蔬菜等用放满大蒜末的酱汁烤

池袋や新大久保にある「灶門坎(ザオメンカン)」は四川省の成都発の焼烤という触れ込みだが、いまや焼烤は中国全土で食されている。池袋の立教大学に近い中華ミュージックバー「卓尚記(たくしょうき)」は、焼烤を食べながら酒を飲み、カラオケも楽しめるスポットだ。

位于池袋和新大久保的“灶门坎”是起源于四川省成都的烧烤,现在发展到全中国都在吃烧烤。池袋立教大学附近的中华音乐酒吧“卓尚记”是一边吃烧烤一边喝酒,还可以享受卡拉OK的地方。

「卓尚記」は吉林省長春出身の男性が始めたカジュアルなカラオケバー

“卓尚记”是由吉林长春籍男子发起的休闲卡拉OK酒吧

これまで述べてきた第1から第5のジャンルに共通しているのは、中国のローカルスタイルがそのまま日本に持ち込まれているという点だ。その背景には、日本に在住する中国系の若い世代のニーズがあることは言うまでもない。

到现在为止将的第1到第5种类共通的是,中国的本地风格原原本本被带入了日本。在此背景下,居住在日本的中国年轻一代的需求是不言而喻的。

これらの料理は、いわば現代中国料理というべきもので、これまで明治時代以降、多くの日本人が親しんできた広東料理をベースとしている「和風中華」とは別物である。

这些料理可以说是现代中国料理,与明治时代以后很多日本人喜欢的以广东料理为基础的“和风中华”是不同的。

なぜ、このような新たな食のシーンが次々と持ち込まれたかというと、日本ではすでにこのジャンルでの過当競争が始まっていて、中国人オーナーたちが日本初出のオリジナル料理やサービスで差別化を図ろうとしているという事情もある。

为什么这样的新的饮食店会不断出现呢,在日本已经开始了这种类型的过度竞争,也有中国老板们想在日本推出最早的原创料理和服务上谋求差别化的想法。

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