共同通信社が5月15~16日に実施した世論調査によれば、「政府の新型コロナウイルスワクチン接種計画が遅い」との回答が85%に上った。

共同通信社5月15~16日进行的民意调查显示,有85%的被访者认为“政府的新冠疫苗接种计划进行得太迟”。

英オックスフォード大学などによる調査でも、新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回投与された人の割合は約3%にとどまり、世界平均の約9%に及ばない。順位は世界110位前後に低迷し、接種が進み、普段の生活を取り戻しつつある欧米諸国とは対照的である。

据英国牛津大学调查显示,日本至少接种过一次新冠疫苗的人群占总人数的约3%,不及世界平均数据的9%,已经排至全球110名,与接种疫苗后逐渐恢复正常生活的欧美各国形成对比。

日本のワクチン接種が遅れている理由は、接種体制の整備の遅れである。

日本疫苗接种迟迟不能进行的原因在于接种体制不完善。

政府は昨年12月、予防接種法に基づいて「ワクチン接種は市区町村が主体となって行う」ことを決定した。このため自治体毎に接種の進め方や予約の取り方などが異なり、手探りの状態が続いているのが現状である。緊急事態なのにもかかわらず、通常のやり方を踏襲すれば現場が混乱するのは当然だろう。

去年12月,日本政府通过《预防接种法》,决定“新冠疫苗接种将以市区町村为主体进行”。因此,各自治体的接种进程和预约方式各不相同,整体目前都处于摸索状态。尽管目前日本已处于紧急事态状态,但依旧沿用过往的接种方法,现场混乱也是理所当然、

自治体の対応能力が低下している背景には、ワクチンを巡る過去30年にわたる悲しい歴史があることも見逃せない。公衆衛生の水準がお世辞にも高いとは言えなかったかつての日本はワクチン接種大国だったが、この流れが大きく変わってしまったのは、1992年に東京高等裁判所が予防接種の副反応訴訟で国に賠償を命じる判決を出してからだと言われている。その後1994年に予防接種法が改正され接種は「努力義務」となり、副反応への恐れの高まりから日本での接種率は急速に低下していった。国民の間に「ワクチン忌避」が高まったことによって、日本政府は外国と比べてもワクチンに対してかなり慎重な対応をすることを余儀なくされた。予防接種の対象である子供の数が減少したこともあいまって、日本の自治体から緊急時に実施される集団接種のノウハウがなくなってしまったのが現状である。

日本过去30年令人惋惜的疫苗历史是造成如今自治体应对能力低下的关键原因。如今的日本,公共卫生水平的确称不上很高,但它过去却是一个疫苗接种大国,然而一起诉讼改变了这一现状。1992年,东京最高法院在预防接种的副作用诉讼中作出要求国家给予赔偿的判决。1994年,《预防接种法》将疫苗从强制改为“义务接种”,由于国民对副作用的恐惧,导致日本的疫苗接种率快速下降。由于国民“避讳疫苗”心理高涨,日本政府不得不比外国更加慎重地对待疫苗。因此形成了现在接种疫苗儿童减少、自治体在紧急状态下不知如何进行群体接种的现状。

「政府による自治体へのワクチンの配布方法にも問題がある」との指摘もある。政府は全国の都道府県に平等に配布する方針を決定したが、平等に配布したことにより、各自治体に届くワクチンは少量となった。手元にワクチンがわずかしかなく、ワクチンがいつどれだけ入荷するかわからない状況下で、医療従事者の確保をはじめ接種体制を整えることが困難となっている。「感染状況が地域によって異なる中、リスクの高い地域を優先した方が良かった」との声も聞かれるが、「後の祭り」である。

也有批评指出:“日本政府向自治体的疫苗分配也有问题”。虽然政府下达了平等地向全国各都道府县发放疫苗的方针,但各自治体得到的疫苗数量很少。由于本身疫苗量少,再加上不知何时才有新的疫苗下放,导致医护人员的确保等接种体制很难得到完善。也有声音称“应该根据感染状况的不同,将疫苗优先分配给高风险地区”,如今也被说是“事后诸葛亮”。

医師や看護師の確保も大きな課題である。「看護師の資格がなくても一定の研修を受けた人は接種を行えるようにしてほしい」との要望が一部の自治体から出ている。

医护人员的确保也是一大问题。一些自治体希望“能够让一些没有护士资格但有一定学习经验的人参与疫苗接种工作”。

日本で英国の成功例が紹介されることが多くなった。英国では昨年12月からワクチン接種が始まったが、その2カ月前に通常であれば接種を行う資格のない人も一定の訓練を受ければ接種を行えるように法律を改正した。英国政府に接種のためのボランテイアに応募した人の数は20万人を超えた。当初は心配する向きもあったが、結果は大成功だった。

日本对英国成功案例的介绍越来越多,英国自去年12月开始疫苗接种,在开始接种两个月以前就修改法律,允许没有接种资格的人在进行一定培训后参与接种工作。英国政府招募了20多万接种疫苗的志愿者,虽然一开始世人对此表示担忧,但结果大获全胜。

だがその背景には日本をはるかに超える新型コロナウイルス感染による犠牲があったことも見逃せない。日本の半数程度の人口の英国での感染者は400万人を超え、亡くなった人は約13万人である。1年以上にわたって新型コロナウイルスによる深刻な打撃を受け続け、「政府の対策が後手後手に回った」と厳しい批判にさらされたことが国を挙げてのワクチン接種を進める原動力となっていたのである。

不过,英国打出这一政策的背景在于新冠疫情带给它的大量牺牲远超日本。英国人口只有日本的一半左右,但感染者超过400万人,因新冠死亡人数将近13万人次。新冠疫情持续一年多的深刻打击、国民“政府对策十分被动”的深刻批判,都成为了英国推进疫苗接种的原动力。

日本政府はこれまでの反省を踏まえ、「ワクチン供給を一気に加速する」としている。その成果が一日も早く出ることを期待したい。

日本政府也吸取教训进行了反思,“加速疫苗供给”。期待成果早日显效。

変異株への対応は

变异株如何应对

足元のワクチン接種に加えて、中長期的な課題として変異株への対応が挙げられる。

除了当下的疫苗接种,还有一个中长期的难题就是变异株的应对。

ウイルスの遺伝情報は突然変異で変わっていくが、その性質を大きく変えることは通常ないとされてきた。だが新型コロナウイルスでは性質が変化する変異株が短期間に複数出現している。その要因として挙げられるのは、感染者が非常に多いことだが、筆者は「人類が強力なワクチンを投与してウイルスの根絶を目指せば目指すほど、新型コロナウイルスは変異株を出現させてこれに対抗するのではないか」と考えている。ちなみに鳥インフルエンザの場合、2000年にワクチンが出来た後に変異株が急増している。

一般来说,病毒基因突然变异后其性质并不会产生很大的改变,但新冠病毒在短时间内出现了多个性质产生变化的变异毒株。其原因在于感染者数量庞大,但笔者认为有可能“人类越是想要通过强力疫苗根绝新冠病毒,新冠病毒就会出现越多的变异毒株来与之对抗”。例如禽流感在2000年疫苗问世后变异毒株的快速增加。

このところ世界各地で変異株が出現しているが、筆者が警戒しているのはカリフォルニア州で発見された変異株である。「日本人をはじめ東アジア地域の人々に感染しやすい」との暫定的な研究結果が出ているからである。新型コロナウイルスに打ち克つためには(1)抗体(液性免疫)を保有するとともに(2)新型コロナウイルスに感染した細胞を破壊するキラーT細胞(細胞性免疫)を獲得することが必要である。細胞性免疫は重症予防に有効であるとされている。日本をはじめ東アジア地域で被害が比較的軽微だったことの原因の一つに「新型コロナウイルスに適切に対応できる細胞性免疫を有していた」との仮説が出されていたが、カリフォルニア型ではこれが通用しないというのである。今後各国毎に変異株が出現する可能性がある。

如今,全球都出现了变异株,笔者认为其中最应该注意的是在加利福尼亚州发现的变异株。因为暂定研究结果显示,“日本人等东亚地区人群更容易感染该变异株”。攻克新冠病毒要做好两点:(1)人体有抗体(体液免疫);(2)获得杀死新冠病毒感染细胞的杀伤T细胞(免疫细胞)。免疫细胞在预防重症中十分有效。有假说称,日本等东亚地区受新冠疫情影响较小的原因之一就是该群体“有对抗新冠病毒的免疫细胞”(该假说被称作factor-X),但该免疫细胞却对加利福尼亚变异株不起作用。今后各个国家都有可能出现变异毒株。

世界初のDNAタイプのワクチンを開発している大阪大学の森下竜一教授は9日「新型コロナウイルスの変異株に対応するワクチンの開発に着手した」と述べた。塩野義製薬も同日「変異株対応のワクチン開発を検討している」ことを明らかにしている。

大阪大学教授森下龙一是目前世界上首位研发DNA疫苗的教授。9日,他称:“我们已经开始着手研发应对新冠病毒变异株的疫苗”。同日,日本制药公司塩野义制药也称:“正在商讨开发针对变异毒株的疫苗”。

ファクターXが消滅しつつある日本では、国産ワクチン開発を官民挙げて実現することが喫緊の課題ではないだろうか。

日本的factor-X假说正在逐步消减,日本能否举全国之力开发国产疫苗成为目前最紧迫的问题。

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