优秀奖

「わたしと日本」

副題:平凡な生活の中で輝いている、彼らの人生

何佳宜(南京邮电大学外国语学院)

わたしは子どものころから、クラスメートと同じように、アニメや映画などが大好きで、ずっと日本のことに興味を持っている。しかし実は、日本との関係は高校時代になってからだ。

ある日、先生から課題が出た。毎週、自分の興味がある社会に関する番組をみて、感想文を書くことだ。自分が興味を持っていれば、どの国の番組でも構わなかった。あのころのわたしにとって、それは極めて困難な課題であった。感想を述べるのが苦手だったわたしには、「ドキュメント72時間」という番組と出会ったおかげで、随分助かった。

ある午後、まだ適当な番組が見つけられなかったわたしは、偶然中国の「ビリビリ」というウェブサイトで「子どもたちの小さな宇宙」という字が目に入った。強烈な好奇心に駆られて、クリックして見てみた。どうしてこんな小さな店は子どもたちの宇宙になれるのか、この疑問を持って最後まで見ることにした。

港町の神戸で、もう50年以上営業を続ける駄菓子屋がある。その店は日本全国であまり見なくなった昔ながらの店構えである。その店の店主はもう三代目になっていて、現在の女将さんは由紀さんだ。子どもたちは彼女に親しみを込めて「ねーちゃん」と呼ぶ。近くの学校に通っている小学生、中学生、高校生、たまには社会人も訪れる。毎日授業が終わったあと、いつもねーちゃんの店に来てクレープを買う男の子、店でお菓子を買って、そしてお母さんの仕事のところへ戻って、お菓子を食べながら静かにお母さんを待つ小学二年生の女の子、店で友達とゲームをする子。そのような日々が続いている。たまになやんでいる子が来れば、ねーちゃんは熱心に彼らの話を聞いて、励ましたり、慰めたりする。子どもにとって本当に姉のような存在である。夜になると、子どもたちは次々と家に帰るが、店はまだ閉店しない。子ども連れの若い片親のお母さんは、夜の仕事の前に、いつも店に来る。時には笑ったり、昔の悲しかったことを話したりして、リラックスしながら、その時間を楽しんでいるように見える。駄菓子屋は不思議な人間の交差点である。幸せな記憶が残るその場所に、いつか皆が帰ってくる。

松崎ナオさんの『川べりの家』という曲が聞こえたとき、どういうわけか、熱い涙がもう目に溢れていた。「これだ。やっと見つけた。」という気持ちが胸に込み上げた。その後、「ドキュメント72時間」の魅力に深く惹かれていた。わたしも何の感想も書けなかった人から、だんだん文才の良い人に変わっていた。一番印象的だったのは「秋田・真冬の自販機の前で」であった。便利なコンビニや24時間営業の飲食店もある時代に、そのうどんやそばを売る自動販売機は多くの人の心を温めた。ガンと戦っていた洋菓子職人、給料日前の夕食をする仲間、出勤前の腹ごしらえをするトラック運転手、平凡な生活のうらには、人々が力を尽くして生きている。

毎回この番組を見ているうちに、人生の喜びや悲しみをよく理解できるようになっていった。この番組がわたしにくれたのは、無限の宝物だ。飾り気のないナレーション、平凡な撮影技術、スターがいない、脚本がない、ただそこで生活する人間がいるだけだ。そんな平凡な番組だけど、いつもわたしの心を打つ。生活に対する態度もその影響を受けて変えてきた。たった72時間の間にいろんなことが起こる。一方で、変わらないのは人生の意味だ。中国でテーマ同じような番組もあるが、それを見ても、何を伝えたいのかがよくわからない。わたしは我が国のドキュメント製作技術の向上には、まだ長い時間が必要だと思っている。「ドキュメント72時間」は私と日本の架け橋になって、日本のことを深く知るきっかけになった。

「わたしもいつかあんな素晴らしい番組を作りたい。」という気持ちを持って、決してあきらめずに将来の夢を追いかけるつもりだ。希望があれば、夢はきっといつか叶う。それも、「ドキュメント72時間」がわたしに教えてくれた大切なものだ。

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