オタク女子の「お布施学」 オタク経済を動かす“覚悟の浪費”とは?

宅女的“布施学” 推动阿宅经济发展的“理性浪费”是什么?

昨年8月発売の『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(小学館)という本が、「オタク女子のリアルな生態が描かれている」としてSNSで話題となった。そこに登場するのは、アニメやマンガ、同人誌や商業BLといったいわゆるアキバ系文化、さらにはアイドルの追っかけやホスト通い等々、自分の“推し”にお金や時間を“浪費”する女性たちの赤裸々な姿。そんな、いわゆるオタク女子の“お布施”が、現在のコンテンツ産業を動かしているのだという。果たして、オタク女子たちを突き動かす“覚悟の浪費”の心理とは? その実態を探ってみた。

去年8月发售的《浪费图鉴——恶友们的悄悄话》(小学馆)一书,因为“描写了宅女们的真实生活”而成为网络话题。本书中登场的女性都为了自己喜欢的“推”而“浪费”大把时间和金钱。有喜欢动漫、同人或商业BL的,也有追偶像的,甚至还有做牛郎店常客的。正是有了这些宅女的“布施”,相关产业才能发展。那么宅女们为什么会如此“理性浪费”呢?我们试着探究了一下实际情况。

ここで言う“お布施”とは、「葬儀や法事の際に僧侶に渡す謝礼」のことではない。アニメやアイドルなど、自分の好きなジャンル(推し)の関連グッズを購入したり、イベントに参加したりする一連の消費行動のことを指す“ネットスラング”だ。宗教的な意味合いはなく、推しの作品やキャラに浪費する姿が一種“信者”のようにも見えるとされ、そう名づけられたようだ。

这里所说的“布施”并不是指“葬礼或法事时交给僧侣的报酬”,而是新的一个“网络用语”,意思是购买自己喜欢的动漫或偶像的周边商品、参加官方活动等一系列的消费行为。虽然偏离了原本的宗教含义,但大家为了所“推”作品或角色而大笔出钱的行为,看上去就跟“信徒”一样,所以取了这个名字。

2010年代、オタク文化が“一般化”され日本の主流コンテンツとなると、世の男たちは自身の内に潜む“オタク性”を社会に発信するようになった。そして昨今、時代は一歩進み、オタク系女子であることを告白できる土壌が築かれつつある。

2010年代阿宅文化逐渐普及,成为日本的主流文化之一,因而男同胞们开始向大众展示自己内心的“宅属性”。而随着时代的进一步发展,宅女们也不用再掩饰自己的“宅属性”。

『浪費図鑑』では、そうした女性たちの“オタク心理”が事細かに描写され話題となった。本書を読んだネットユーザーからは、「あれ共感ポイントしかなかったし『アニメ、アイドルのオタクを経てホスト通いになった人』の話はしんどすぎた」、「わかる!わかる!がいっぱい。浪費ではなく愛なんです」と、共感する女性の声が数多く見られた。

《浪费图鉴》中就详细描写了这些女性的“阿宅心理”,在网络上引发了讨论。读完本书的女性网友纷纷表示强烈共鸣:“这不就是我吗!‘从动漫宅、偶像宅发展成牛郎店常客’的故事太扎心了”,“想全部点一遍赞!这不是浪费是爱”。

浪費することに意義がある 好きなコンテンツを支えている“ぷちタニマチ感”

浪费是有意义的  成为支持自己圈发展的“小赞助商”

オタク女子の浪費は、単純な“無駄遣い”とは違う。彼女たちは「好きなコンテンツを自分が支えている」という安堵感を得るために行動している面もあるという。毎月のパート代10万円以上を、すべて同人活動につぎ込んでいるという主婦・Aさんは、「スマホゲーのアイドル育成ゲームをプレイしていますが、これってゲームとしては全然おもしろくない。でも、私が課金することでアニメに展開したり、グッズ販売に繋がるかもしれない」と、その想いを告白。例え“クソゲー”であっても、推しキャラへの“お布施”だと考え課金を惜しまないのだという。

宅女的浪费和简单的“乱花钱”不一样。她们是“为了支持喜欢的圈子出一份力”而行动的。每月把兼职工资10万日元以上全部花费在同人活动中的主妇A女士向我们坦白:“我现在玩的偶像养成系手游,虽然游戏体验很差,但我为它氪金的话,也许以后就有动画化或者发售周边的希望”。就算是“垃圾游戏”,为了给喜欢的角色“投资”也要氪金。

こうした “お布施”行為はいま、日本の多くのコンテンツを支えている。例えば、人気テーマパークの年間パスポートを購入し、足繁く通う行為は“総本山”への参拝行為にも近い。また、人気男子フィギュアスケートの追っかけは海外遠征にまで同行。その総額が「高級車一台分」というファンもいるようだ。

这些“布施”行为现在正支撑着日本很多文化产业的发展。比如说,购买人气主题乐园的年票并多次游玩的行为和参拜“宗派中心寺院”的行为很像。另外,花滑王子的粉丝会追着选手参加海外比赛。甚至有粉丝花费的总额可以买“一台高级轿车”。

このあたりは宝塚歌劇団を応援する女子たちにも共通する「日本の伝統的スポンサー文化」とも呼べるかもしれない。言ってみれば、“ぷちタニマチ”でもあり、一般人ながら後援者やスポンサー的な満足感を味わえるのだ。

和宝冢歌剧团的女粉丝一样,可以说这是“日本传统的赞助商文化”。即使是普通人,“小赞助商”们也可以得到“做背后支援”的满足感。

コンテンツの継続を左右 オタク経済を動かす“お布施”の功徳

决定文化产业的存续   “布施”带动阿宅经济发展

こうした、オタク女子たちの献身的な“お布施”行為は各業界で認知されている。実際、東京ビッグサイトで3月に開催された『アニメジャパン2018』では、アニメ業界の関係者が「今、アニメコンテンツを支えているのは“女性”といっても過言ではありません」とコメント。その関係者が言うには、オタク女子は購買意欲が高く、しかも、一度ファンになったらなかなか離れないのだという。

宅女们这种献身般的“布施”行为已经被业界肯定。3月在东京国际展示场举办的《AnimeJapan2018》活动中,动画业界相关人士表示“可以说,现在支撑着动画行业的是‘女性’”。因为宅女对各类相关商品的购买意愿相当强,而且,一旦成为粉丝就不会轻易离开。

それらを明確に示したのが、5月5日にNHK BSプレミアムで放送された『全ガンダム大投票』だ。『機動戦士ガンダム』の40周年となる今年、NHKが全ガンダムシリーズを対象に人気投票を実施したのだが、ガンダムは関連市場規模が700~800億円と言われる日本を代表する巨大コンテンツ。そして、その支持層はこれまで男性が中心だった。

而5月5日NHK BS Premium上播出的《全高达大投票》也证实了这一点。今年是《机动战士高达》40周年,NHK以全高达系列为对象实施了一次人气投票调查,高达的相关市场规模有700~800亿日元,是日本的一大IP。一直以来,都是以男性粉丝为主。

しかし、当番組で放送された作品別ランキングでは、『ガンダムSEED』(3位/女性票44%)、『ガンダムOO』(4位/女性票35%)、『鉄血のオルフェンズ』(6位/女性票45%)といった“平成ガンダム”が上位にランクイン。男女比率を見れば、女性票の存在がこれらの作品を上位に押し上げたことが分かる。こうした点からも、コンテンツの継続には、女性ファンの獲得がキーポイントとなっているようだ。

但是,这次作品排名中“平成高达”占据了前排,比如《高达SEED》(第三名/女性票44%)、《高达OO》(第四名/女性票35%)、《铁血的孤儿》(第六名/女性票45%)。从男女比例可以开出,是女性的投票让这些作品名列前茅。从这些角度来看,作品能不能继续发展,关键在于能否吸引女性粉丝。

前述した通り、彼女たちの浪費は、自身が“推す”コンテンツや作品を“次”につなげたいという願いが込められている。つまり、推しコンテンツの継続、漫画ならばアニメ化への展開やDVD化、さらに映画化や舞台化など、愛するコンテンツの発展のためにお布施をしているのだ。事実、彼女たちの“浪費力”によって、アニメや漫画が「舞台化(2.5次元)」するのはスタンダードとなり、アニメ界の新たな消費スタイル・ビジネスモデルとさえなっている。

前面也说过,她们的浪费行为,是为了让自己喜欢的作品有“进一步”发展。具体来说,比如漫画能动画化或DVD化,继而电影化、舞台剧化。她们为了自己心爱的作品能继续发展而进行投资。实际上,因为她们的“浪费”,已经有很多动漫实现了“舞台剧(2.5次元)化”。这种舞台剧化发展方向甚至成为了动画界的新型商业模式。

オタク女子の“覚悟の浪費”に付随 男性人気は後からついてくる

伴随着宅女的“理性浪费” 男性人气也紧追不舍

そんな、オタク女子の“覚悟の浪費”による経済効果だけでも凄いのに、オタク女子に男性が紐づくことで新たな経済効果も生まれる。それは、オタク女子たちが自分の彼氏や夫、子どもたちと一緒に“聖地巡礼”をしたり、テーマパークに“参拝”するということになれば、入場料その他、グッズ代や食事代など何かしらプラスアルファの消費に繋がるのだ。

宅女的“理性浪费”带来的经济效益已经相当惊人,再和男性绑定销售的话就会产生新的经济效果。比如说宅女们带上自己的男朋友或者丈夫、孩子一起去“圣地巡礼”或“参拜”主题公园,就可以贡献更多的门票、周边商品费用、餐饮费等收入。

とは言え、オタク女子も目が肥えており、コンテンツのキャラクターやシナリオ、設定などの微妙なニュアンスなどに対する感性が鋭く、ちょっとした矛盾やあざとさ、狙いすぎ、露骨なビジネス臭などを感じ取れば、急速に熱が冷めるケースもあるようだ。

话虽如此,宅女是相当挑剔的。她们对于角色、剧本、设定上的细微区别非常敏感,如果感受到一点点的设定矛盾或过分骗氪、露骨的商业嘴脸,可能就会很快退圈。

また、昨今は1シーズンに60タイトル以上ものアニメ番組が放送されており、それゆえに“目移りもしやすく”、アニメコンテンツの寿命も以前よりも短くなってきている。2015年、大ブームとなったギャグアニメ『おそ松さん』も、二期放送開始まで約一年半というタイムラグがあったため、一期ほどの盛り上がりを起こせなかった事例もある。

另外,最近每季会播出60部以上的动画作品,因此粉丝们“爬墙快”,动画作品的寿命和过去相比大大缩短。2015年大受欢迎的搞笑动画《小松先生》,也因为隔了大约一年半的时间才播出第二季,所以人气也有所衰退。

いずれにしろ、コンテンツの発展を考える際は、“オタク女子”たちの動向は決して無視できないものとなっている。今後、彼女たちの“お布施=愛”がどんなコンテンツを育て、新たなムーブメントを発展させていくのか楽しみだ。

不管怎样,在考虑作品的发展前景时,绝对不能忽视“宅女”的动向。今后,她们的“布施=爱”会培育出什么样的作品、引发什么样的新动态,值得我们期待。

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