SNS上などで先日「学校と化粧の関係」について話題となりました。社会に出る前は、化粧やヘアワックスについて「メイクして学校に来ちゃダメ」「男子はワックス禁止」などと校則で禁止されているのに、社会に出た後は「社会人としてメイクは最低限の身だしなみ」「男性も整髪料を付けるくらいは常識」と言われることに疑問を感じる声に対し、「学校でメイクとスキンケアの授業やってほしい」「学校と会社でルールが違うのは当然では」など、さまざまな意見が上がっています。

日前,关于“学校与化妆的关系”这一话题在SNS上火了起来。在进入社会前,学校明令禁止学生“化妆入校”或“禁止男生涂发蜡”,但一旦出了学校,却又被要求“作为社会人,化妆是最低限度的仪容要求”、“男性涂发蜡,让头发整齐是常识”,这不是自相矛盾么?“希望学校开展与化妆、护肤相关的课程”“学校与社会的规则不同是理所当然的”等等众说纷纭。

化粧は、学校における教育の対象とすべきなのでしょうか。オトナンサー編集部では、駒沢女子大学人文学部の石田かおり教授(哲学的化粧論)に聞きました。

那么,化妆到底是否应该成为学校教育的一个环节呢?Otonanswer编辑部就此咨询了驹泽女子大学人文学部的石田かおり教授(哲学性化妆理论)。

「成人の証し」「大人の儀礼」としての化粧

作为“成年人的象征”“大人的礼仪”的化妆

Q.現代の教育現場では、なぜ化粧が禁止される傾向にあるのでしょうか。

Q.在现代教育环境中,为何还是倾向于禁止化妆?

石田さん「化粧は『成人の証し』であり『大人の礼儀』という長い伝統があるためです。これは少なくとも平安時代まで遡る1000年余りの伝統と言えます。成人年齢が20歳であっても、あるいは将来的に18歳となっても、社会では高校を卒業した時点で『大人』とみなされ、大人扱いされます。つまり、小・中・高校生は大人ではないのです」

石田教授:“化妆既是成年人的象征,也是大人的礼仪,是一种源远流长的传统。至少可以追溯到平安时代,大约拥有1000多年的历史。成年的年龄是20岁也好,或是将来规定为18岁也罢,社会上把高中毕业的人视为成年人,作为成年人来对待。换言之,小学生、初中生、高中生都不是成年人。”

Q.平安時代の伝統とはどのようなものですか。

Q.平安时代的传统是怎样的?

石田さん「平安時代の貴族(公家)は、成人式から生涯にわたって決まった化粧を続けました。その化粧をしないと『マナー違反』『常識のない人』とされ、貴族社会から排除されたのです。貴族の化粧は『白化粧』といい、当初は女性だけのものでしたが、11世紀からは男女共通となりました。その内容とは、手順に従って言えば『眉を抜く、または剃る(全部なくす)』『白粉を塗る』『眉を描く(額の骨の上。形には流行がある)』『お歯黒をする』『紅をさす(元の唇の約6割)』といったものです」

石田教授:“平安时代的贵族(官家)从成人仪式开始必须终生化妆。如果不化妆,就会被认为是违反礼仪、没有常识,会被排挤出上流社会。贵族的妆容称为白妆,最初是只有女性化妆的,但从11世纪开始男女就都要化妆了。化妆的顺序是先拔眉毛或全部剃除、涂白粉、画眉(在额骨上方,形状是时下流行的)、牙齿涂黑、涂红唇(大概涂唇部的6成左右)。”

Q.教育現場で化粧が禁止される理由として、ほかに何が考えられるでしょうか。

Q.在教育环境中禁止化妆的理由,是出于怎样的考虑?

石田さん「化粧が学校教育になじみにくい点が挙げられます。化粧を教える科目として考えられるのが保健、理科、家庭科などですが、これらの科目にはどれも、明治時代からの伝統があります。一方、これまで一度も教育に取り入れられたことがない化粧には科目の伝統が存在しません。また、化粧に関する研究は1950~60年代に始まったもので、化粧品の成分や肌といった自然科学的なものに限られていました。1990年頃からは、アンチエイジングや紫外線に対する効果が明らかになり始め、研究成果が一般に知られるようになりました。」

石田教授:“化妆要进入学校教育,有几个难点。可以把化妆作为教学内容的科目是保健、理科、家庭科,这些都是自明治时代开始就有的传统课程。而至今为止,化妆从未被采纳为课程内容,所以没有传统可循。另外,有关化妆的研究是从1950年-60年开始的,也仅限于针对化妆品的成分及皮肤等自然科学方面的研究。从1990年左右开始,化妆品对抗衰老及对抗紫外线有显著效果,这一研究结果才开始为普通大众了解。”

Q.化粧の意味や方法について、学校で教えるべきだと思われますか。

Q.关于化妆的意义和方法,学校应不应该教授呢?

石田さん「教えるべきだと思います。化粧教育が野放しになっている現状を見るにつけ、正しい知識を得る機会に恵まれず、化粧の意味を考えることもなしに、興味や自己表現が偏重される傾向があります。化粧に対する正しい知識は、自分に合った化粧品の選択や使い方につながり、結果として健康な肌に結びつくものです。また、化粧の意味を知ることは外見について考える機会となり、不必要かつ不適切な自己評価の解消や解決にもつながると考えられます」

石田教授:“我觉得应该教。放任化妆教育的现状就是既无法获得正确的知识,也从不考虑化妆的意义,一味偏重于兴趣及自我表现。正确的化妆知识,是与选择适合自己的化妆品和化妆方式息息相关的,最终的目的是想要获得健康的肌肤。另外,明白了化妆的意义,就能成为思考自己外表的机会,也能消灭、解除不必要和不适合的自我评价。”

Q.化粧教育はいつ、どのような方法(内容)で行われるべきでしょうか。

Q.化妆教育应该何时、用何种方法(内容)进行传授呢?

石田さん「まず、中学生の時期に基本のスキンケア(洗顔・化粧水・乳液)、化粧の社会的意味や道徳を取り入れるのがよいでしょう。高校生の時期にはスキンケア方法の復習に加え、化粧の歴史や社会的意味、道徳をより詳しく知ったり考えたりする機会を設けることが適切ではないでしょうか。大学生の時期になると、大人のフルスキンケアと就職活動に必要なメイクや表情、また、自分が将来親や社会人として、子どもに対応する立場になった時のための知識を身につけ、社会的意味や道徳的意味を考えることが望ましいです。そして、加齢に伴う体の変化を知り、それに応じた健康な生活を送るための化粧やスキンケアを知ることも良い人生にとって必要でしょう」

石田教授:“首先,初中生阶段,可以学习基本的护肤(洗脸、化妆水、乳液),以及了解化妆的社会性意义和道德取向。到了高中,比较适合在复习护肤方法的基础上,建立深入了解化妆的历史及社会性意义、道德取向的机会。进入大学后,就可以学习成人完整的护肤体系以及找工作过程中必须的化妆技术和表情塑造,另外,作为未来的家长及社会人士,掌握能够教授给孩子的知识,对化妆的社会性意义和道德取向的意义有所思考才是我们所希望的。而且,随着年龄的增长,了解身体的变化,为了更健康的生活了解对应的化妆及护肤技巧,对过好生活是必要的。”

Q.理想的な化粧教育とは、どのようなものだとお考えですか。

Q.理性的化妆教育,应该是怎么样的呢?

石田さん「私は『スロービューティー』を提唱し、普及活動をしています。スロービューティーとは『人それぞれ・年それぞれの美しさ』のことで、アンチエイジングと正反対の考え方です。日本社会では、美の基準がごく狭い範囲に収れんしており、皆、同じ顔と体形を目指して美容に励んでいます。その結果、人は同じような外見になります。現に、メイク前の素顔と比較すると、メイクを施した後は個人の判別度が下がるのです。自分の外に置いた基準に自分を合わせると自分が欠点だらけになり、自己評価が低下するため、マイナスをゼロにする欠点修正型の美容が主流となっています」

石田教授:“我提倡慢美容,也正在进行普及活动。所谓的慢美容,就是将每个人不同个性的美、不同年龄的美表现出来,与抗衰老正好是相反的思考方式。在日本社会,美的标准被定义在一个狭窄的范围内,大家朝着同样的面容、同样的体型努力进行着美容。导致的结果是所有人看起来都是一样的。如今,与化妆前的素颜相比,化了妆后的个人识别度就下降了。以完全不考虑自己情况的标准要求自己,岂不是都觉得是缺点,降低了对自己的评价,而从负到零的缺点修正美容正成为主流。”

石田さん「しかし、人は皆違う顔や体を持っています。それを生かし、自分にしかできない表現をすることがその人を幸福へと導くのではないでしょうか。大切なのは、自分の外にある美の基準を自分の中に置き、人それぞれの美しさを引き出すことです。また、過去の自分を基準にする限り、不幸は増す一方になってしまいます。年齢とともに似合う服や髪型、メイクが変化するということは、その年齢にしかできない自分の表現があるということ。それを見つけて一つずつ歳を重ねていくことは、自分の中の『基準の多様化』『年それぞれの美しさ』につながります。化粧教育は、こうしたスロービューティーの発想に基づくべきだと思います」

石田教授:“每个人的外貌和形体都各有不同。活用自己原有的一切,才能表现出自己特有的地方,从而踏上幸福之路。重要的是,如何将外界对美的标准内化,打造出每个人不同的美。还有,一味以过去的自己为标准,只会不断增加不幸感而已。根据年龄变化服装、发型和妆容,展现只有这个年龄才能表现的自我。明白这一点,就能把岁月的增长与自己内在的多样化标准、属于各个年龄段的美联系起来。化妆教育,我觉得应该以慢美容的想法为基础来建立。”

本翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

相关阅读推荐:

值得学习:日本女生每天坚持化妆的意义

女生必看:适合初学者的日本化妆品