電柱(電信柱)が地面から伸び、電線がクモの巣のようにあちこちに伸びる姿は日本人にとっては当たり前の風景です。アニメのワンシーンにそういった電線の姿が登場しても特に気にとめることなくスルーしてしまう人が多いはず。しかし、海外では電線を地下に埋めている場所が多く、日本のような電線を珍しいと感じる人も多くおり、「どうしてこんなにいろんなアニメで電線が登場するんだろう?」と疑問に思う人が多くいるようです。

对于日本人来说电线杆在地面延伸,电线像蜘蛛的巢一般到处伸展的景象是理所当然的。就算动漫中出现这样个场景,很多人应该都不以为意。但是,在海外,因为大多数地方的电线都埋在地下,对日本那样的电线感到新奇的人也不少,似乎很多人都有“为什么许多动漫中都会出现电线呢?”的疑问。

Tumblr上には映画やドラマの食事シーンだけを延々と集めるブログや誰でも使ってOKな写真素材を保存するブログ、「奇妙なTumblr上のブログ」を集めているブログなど、さまざまなブログが存在します。

Tumblr上有不断收集动漫和电视剧中出现吃饭场景的博客以及保存着谁都可以使用的照片素材的博客,收集“奇妙的Tumblr上的博客”的博客等等,存在着各种各样的博客。

そんな「奇妙なTumblr上のブログ」の中に、「アニメの中で登場する電線」だけを集めた「Power Lines in Anime」が存在します。

在这些“奇妙的Tumblr上的博客”中,存在着只收集“动漫中出现的电线”的“Power Lines in Anime”的博客。

「Power Lines in Anime」は日本アニメで登場する電線の画像を集めるブログです。運営者のwhitequarkさんは、2014年に放送されたアニメ「月刊少女野崎くん」を視聴している際に背景に描かれた電線が気になったそうで、「『月刊少女野崎くん』を見ている時、ガラスに反射した風景の中で初めて電線の存在に気づきました。それから私は『なぜこんなにたくさん電線があるのか?』と考えるようになりました。こういった構造物は詳細に描くのに時間がかかるはずなのに、どうして一貫して描かれているのだろう?」と語っています。

“Power Lines in Anime”是收集日本动漫中出现的电线的场景的博客。似乎是运营者whitequark先生在观看2014年播出的动画《月刊少女野崎君》的时候对背景上画着的电线产生兴趣,他说“在看《月刊少女野崎君》的时候,从玻璃上反射的风景中第一次注意到了电线的存在。从此我开始思考‘为什么会有这么多电线呢?’仔细描绘这样的构造物应该非常费时,为什么还要画出来呢?”

「Power Lines in Anime」に初めて投稿された画像も「月刊少女野崎くん」の背景に写り込んでいる電線でした。

“Power Lines in Anime”中首次投稿的画像也是映在《月刊少女野崎君》的背景中的电线。

Atlas Obscuraいわく、アニメのジャンルがスポーツだろうがファンタジーだろうが日常モノであろうがSFであろうが、現代の地球を舞台にした作品ならば電線と電柱は高確率で登場し、驚くほど詳細に描かれているとのこと。そして、比較的シンプルなキャラクターが交流しあうような作品の場合、精細な背景に合わせて電線も一緒に立っている場合が多いとのこと。

据Atlas Obscura所说,不管动漫的种类是运动漫,幻想漫,日常番还是SF,如果作品的舞台是现代的地球的话,会有很高的概率出现电线,令人吃惊地将所有的细节都画出来。此外,相较简单的人物在交流的场合,和精致的背景配合出现电线的场景也很多。

whitequarkさんは、「電線は物語上の何らかの意図を持っているわけではありません。繰り返し登場するわけでもなく、強調されているわけでもなく、有用な意図は一切持っていないように思えます。しかし、そこに確かに存在します!誰かが外に出て写真を撮り、トレースして色をつけて完璧に仕上げることでと『可愛がって』います」と、アニメ作品の画面の中で一際目を引く電線や電柱への愛を語っています。

Whitequark先生说“我认为电线在故事讲述上没有任何的帮助。不是反复登场,也不是为了强调,没有任何有用的目的。但是,它确实存在在那里!不知是谁外出拍了照片,复写之后上色,完美地画出了它,对它很‘宠爱’。”讲述了动漫作品的画面中格外引人注目的电线和电线杆的爱。

ワンダーフェスティバル 2017[夏]で見つけた「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 鋭意制作中」というポスターにも電線と電柱が描かれています。

Wonder Festival 2017 夏中出现的《新世纪福音战士剧场版:|| 全力制作中》的海报上也画着电线和电线杆。

「アニメにとって最も重要な要素は物語と視覚的要素である」と語るのは、コンコルディア大学の映画研究者であり日本のアニメに関する本「Anime's Media Mix: Franchising Toys and Characters in Japan」の著者であるマーク・スタインバーグさん。スタインバーグさんは日本のアニメについても研究を行っており、アニメの背景に電線が多く存在することにも気付いていたそうです。

协和大学动漫研究者,著有和日本动漫有关的书《Anime's Media Mix::Franchising Toys and Characters in Japan》的作者Marc Steinberg先生说“对于动漫来说最重要的要素是故事和视觉的要素。”Steinberg对日本动漫进行研究,似乎对电线经常出现在动漫的背景中也很在意。

「私が思うに、(電線が多く登場するようになったのは)新世紀エヴァンゲリオンが流行して以降の話だと思う。ある種の独特で、クレイジーとも呼べるストーリーラインに加え、新世紀エヴァンゲリオンでは日常生活の中の物体に焦点が当てられています。それ以前のアニメではそういったことはありませんでした。新世紀エヴァンゲリオンでは電線の他にも、公衆電話や玄関口、鉄道の踏切などがピックアップされています。これらのものは当時の日本にとっては日常生活の一部と言えるものでした」と、スタインバーグさんは述べています。

Steinberg叙述道“我想的是(电线经常出现)是新世纪福音战士流行以后的事。由于某种特殊的东西,增加了叫做crazy的故事线,新世纪福音战士把日常生活中的物体当作焦点。这在以前的动漫中是没有的。新世纪福音战士中除了电线,公共电话和玄关,铁路的道口等也被提及。这些东西对于当时的日本来说可以说是日常生活的一部分。“

Atlas Obscuraは「新世紀エヴァンゲリオンの中では、公衆電話や電車の踏切などよりも特に電線が目立っている」としており、その理由は主人公たちが搭乗するエヴァンゲリオンの背部にある巨大なコード「アンビリカルケーブル」と電線が合わさり、幻想的で傑出した印象を与えてくれるから、としています。

Atlas Obscura指出“新世纪福音战士中比起公共电话和电车的道口来说电线特别引人注目”。理由是主人公们搭乘的福音战士的背部巨大的代码“中央电缆”和电线相合,给予人充满幻想的杰出印象。

この電線を用いるという傾向は新世紀エヴァンゲリオンシリーズだけにとどまらず、一種の記号となっていきます。「新世紀エヴァンゲリオンにはさまざまな電線が描かれており、大人向けアニメが人気を博していった1990年代後半から2000年代初頭にかけてのトレードマークのようなものになっていきました」とスタインバーグさん。また、スタインバーグさんは1998年に放送された「Serial experiments lain」も電線を一般化する助けになったとしています。

使用电线这种倾向不仅仅停留在新世纪福音战士,而是成为了一种记号。Steinberg先生说“新世纪福音战士中描写了许许多多的电线,作为成人向动漫博得人气的1990年代后半到2000年代开头的时候,成为了一种象征。”此外,Steinberg先生还说1998年播出的《玲音》也为电线一般化起了推波助澜的作用。

Atlas Obscuraは、「電線が多く登場する最も明白な理由は、多くのアニメの物語が東京や日本をベースとした舞台で起こるから」としています。日常生活を伝えるための道具として使用される電線ですが、これはアニメの中で定期的に登場する唯一の物体というわけではないものの、最も一般的でありながら最も視覚的に複雑なものとしています。

Atlas Obscura认为“电线经常出现的最显然的理由是,许多动漫的故事是以东京和日本为背景发生的”。电线作为传达日常生活而使用的道具,这虽然不能说是动漫中定期出场的唯一物体,确实最普通且最有视觉效果,复杂的物体。

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