私は、女性誌の編集者として20年近く活動している。そのなかで、多くの女性たちから話を聞いてきた。雑誌をつくる時に最も大切なのは、「生の読者の声」だ。それゆえ、リサーチが雑誌の鮮度を決める。今まで、雑誌の購買層に合わせて、10~40代の2000人ほどの女性に会った。

我做女性杂志的编辑也有近20年的时间了。其间,我采访了很多女性。做杂志最重要的便是倾听“现实生活中读者的声音”,所以采访调查决定了杂志的鲜度。至今为止,配合杂志的购买人群,我采访过10~40代约2000多名女性。

彼女たちは、みなキラキラしていて、人当たりがよくポジティブだ。編集者側が「最近、周囲で流行っているブランドは?」「食べ物は?」「レストランは?」と話を振ると、東京の女性の間で流行っている最新情報を競うように教えてくれた。

她们外表光鲜靓丽、待人接物也积极向上。编辑们但凡抛出“最近,周围流行的品牌是?”“流行的美食是?”“流行的餐厅是?”这样的话题,大家会争先恐后地为我们提供东京女性间流行趋势的最新情报。

例えば、

比如

「(高級フレンチの)ジャン・ジョルジュ・トウキョウに友達と行ってきたんです」

“我最近去了Jean-Georges Tokyo(高级法式料理店)”

「先月、アメリカのパワースポット・セドナに一週間行ってきました」

“上个月,去美国著名的能量地塞多纳旅行了一周”

「ハワイのオーガニックフード合宿に参加したんですよ。すごくデトックスになったんです」

“我参加了夏威夷有机食品合宿,排毒效果非常好。”

というように。ピカピカの髪と肌と爪、そして、ほっそりとしたひざ上には、10~30万円クラスのブランドバッグの新作が鎮座していた。

诸如此类。她们从发丝到肌肤甚至指甲都发着光,她们苗条的腿上得体地放着10~30万日元的品牌包包的新品。

年収300万円以下、非正規でも消費が止まらない女たち

年收300万以下,工作是非正式编制也无法停止消费的女性们

これが、年収500万円以上で実家に住んでいる“パラサイト系女子”であれば、「ふーん、そうなんだ」で終わる。しかし、前述のような話を語ってくれた女性たちは、年収300万円程度、もしくはそれ以下だ。

如果这是年收500万元以上住在父母家的“寄生系女子”的话,大概就会“恩、这样啊”结束对话。但是,上文所描述的与我们谈话的女性们,年收在300万元的程度,甚至在此之下。

勤務先として有名企業の名前を出しているので、どんな仕事をしているのかを聞くと、「実は派遣なんです」という人も少なくなかった。しかし、2000年代の女性誌が取材対象者に求めていたのは“キラキラ感”だ。そのため、そういった“負の告白”は聞かなかったことにして、同僚男子のスペックや彼女たちの恋愛模様を重点的に聞き出していた。

了解她们工作情况时,很多人都说出名企的名字,继续追问从事怎样的工作之时,不少人都回答:“实际上是派遣人员”。只不过,2000年以后的女性杂志谋求的是采访对象的闪光点。因此很少问一些“负面问题”,主要提问一些关于同僚男子的情况以及她们自身的恋爱情况。

ハイブランドのアイテムを持ち、流行最先端のレストランに行き、習い事やエステ、整体などの自分磨きに余念がなく、話題のスポットに旅行する……彼女たちの話を聞きながら、「こういった過剰な消費を行うのは、他者からの評価を期待しているからではないか」と考えた。

入手高端品牌的物件、去流行前端的餐厅、学习、做美容、按摩等,她们埋头磨炼自己,去流行的胜地旅游等……一边听着她们讲述一边不禁会思考,“她们这般过剩消费的行为,是否在期待来自他人的评价。”

「女子力アップ」の呪縛で借金300万円をリボ払い

 被“提升女子力”这一咒语所束缚,甚至有人借款300万日元分期定额还(利息高)

少し前に「マウンティング」という言葉が流行したが、その裏にあるのは「自分の優位性を知らしめたい」という欲求だ。

前一阵有一个词语“mounting”很是流行,其背后有着“想让别人知道自己的优越性”的欲求。

しかし、女性は男性のように、わかりやすいアイテムを持っていることだけで「あいつはすごい」とは思わない。たとえ、世界的に有名なブランドのバッグを持っていても、不美人なら嘲笑の対象にされる可能性もあるし、全方位を最新ファッションで固めた美女でも、そこに知性がなければ称賛されることはない。

但是,女性不像男性,凭借一些一目了然表示阶级性的物品就轻易判断“这个人很厉害”。比如,就算你拿着世界有名的包,颜值不高还是可能会成为被嘲笑的对象;就算是全方位走在流行前端的美女,如果不够知性也不会得到过多的赞赏。

そこで出てきたのが、「女子力」というキーワードだ。女子力を上げるために、多くの女性が、モノ(服、バッグ、靴、アクセサリーなど)やコト(エステ、旅行、フラワーアレンジメントや料理などの習い事、セミナー、勉強会)にお金を使うようになった。

这时出现的便是“女子力”这一关键词。很多女性为了提高女子力,在物(服装、包包、鞋、首饰)、事(美容、旅行、插花、料理等学习、研讨会)上花费大量金钱。

「自分が何をしたら幸せになるか」ではなく、目的が「女子力を上げること」になっている。そこに対して無自覚だと、どんなにお金があっても貧困女子になる可能性がある。それに、今は会社員であれば誰でも借金ができる時代だ。

不是以“自己做什么会感到幸福”而是以“提升女子力”为目的进行修行,如果对此毫无自觉,无论你有多少钱,也可能会变成贫穷女子。现在又是一个但凡有工作谁都能借到钱的时代。

私が取材した「パッと見、普通」の30代OLのなかには、借金が100~300万円という人もザラにいる。彼女たちの最終目的は、女子力を上げたことによる堅実な男性との結婚だ。

我所采访过的“一眼看上去普通”的30代OL中,有着100~300万日元借款的人十分常见。她们的最终目的是通过提升女子力找一个坚实可靠的男性结婚。

しかし、そういう男性は借金がある女性を避ける。だから、彼女たちは誰にも言わずに借金をリボ払いで返し続ける。

但是,这种男性会避开有借款的女性。所以,她们都在默默地分期定额还借款。

また、「借金がある」ことは、築き上げた女子力の低下に直結する。分割払いが困難になれば、リボ払いという方法がある。その高額な利子と追加で行われた消費によって、借金はみるみるうちに膨れ上がってしまうのだ。

另外,“有债款”也会直接导致你一直以来构筑的女子力受到牵连。分期付款困难的话,还有分期定额付款(利息高)。由于附加高额利息的消费,借款转眼间膨胀开来。

この「女子力を上げたい→消費する」という構図に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ブームが拍車をかけた。(本人が思うところの)上がった女子力を、すぐに披露できる場(SNS)があることで、どこまでもそれを追求してしまう……そんな蟻地獄に、無自覚に陥っているのだ。

网络社交热潮更是给这“提高女子力→消费”的构成添了把火。自己提高了女子力的成果立刻有了展示的场所(SNS),所以变得一发不可收拾,时时刻刻都在追求女子力……很多人就这样陷入了难以摆脱的困境。

曖昧模糊な女子力を追求していては、お金がいくらあっても足りない。それに気付かない女性たちが、都会型の貧困女子になっていると感じる。

如果一味追求暧昧模糊的女子力,花多少钱都不够。没有注意到这一点的女性们,会渐渐觉得自己成为了都市型贫穷女子。

本翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

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