社会人になると女性は外出するまでがひと苦労という。化粧はマナーとされ、TPOに合わせたものが求められているからだ。ファンデーションに始まり、眉墨、アイシャドー、口紅……。朝の忙しい時間に化粧をしない男性のことが羨ましいに違いない。しかしなぜ男性は化粧をしないのだろうか?

工作之后的女性外出之前是要费上一番功夫的。化妆是一种礼仪,从粉底开始,眉笔、眼影、口红等等都要与外出时间、地点、场合相适合。因为早上非常忙碌,女人们一定是羡慕不用化妆的男人们的。但是男人为什么不化妆呢?

■日本男児は化粧好きだった

■日本男人曾经喜欢化妆

駒沢女子大学教授・資生堂客員研究員の石田かおりさんの著書『化粧せずには生きられない人間の歴史』(講談社現代新書)には「男は元来化粧好き」という章が設けられ、武士や江戸の町人ら日本男児の意外な洒落者ぶりが紹介されている。

驹泽女子大学教授、资生堂特邀研究员石田かおり老师在新书《不化妆不能活人类的历史》(讲谈社现代新书)中撰写了“男人原本就喜欢化妆”这样一个章节,介绍了武士和江户时代的城里人等日本男人竟然意外地喜欢打扮自己。

宮廷文化に憧れて、白塗りの顔に楕円の置き眉などの化粧を施した平家の公達。南北朝から室町幕府初期にかけ、身分が高く力のあった武士の間で生まれた「ばさら」の美意識は、伊達を気取ったツッパリ精神だった。戦国時代の武将も熱心に化粧に取り組んでいたという。

出于对宫廷文化的向往,平家的公子哥将脸涂白,画椭圆形的眉毛来装饰自己。从南北朝开始到室町幕府初期,在身份高贵有权力的武士之间产生的名为“ばさら”的审美感,其中心是追求虚荣和关注。战国时代的武将也热衷于化妆。

明治維新以降、男性が化粧をしなくなったわけだが、どういった背景があったのだろうか。著者の石田さんに伺ってみた。

明治维新以后,男人就变得不爱化妆了,这又是基于怎样的背景呢?为此我们询问了作者石田老师。

■近代社会の合理主義

■近代社会的合理主义

「なぜしなくなったのか。ひと言で申し上げれば近代社会の原理(合理主義)です」と石田さんが言い切る。そして「男女の性別役割分担(ジェンダーロール)を明確に分けた分業体制が近代国家の樹立と運営にとってもっとも都合が良かったためです」と続ける。

“为什么男人不化妆了?一言以蔽之就是因为近代社会的合理主义。”石田老师肯定地说,“因为明确区分男女性别角色的分工体制是建立和管理近代国家最合适不过的办法。”

明治14年の断髪令で、男性は短髪で化粧をせずにズボンを履く一方、女性は長髪を結って化粧をしてスカートを履くようになった。

明治14年发布短发令。男人剪短发、不化妆、穿裤子;而女人扎长发、化妆、穿裙子。

石田さんが「男性に課された役割である勤労(の結果の納税)のために装飾は不要ということで男性から排除され、男性に養われてシャドウワークを課された女性に化粧が囲い込まれたためです」と解説する。

石田老师解释:“就男人所肩负的劳动(的结果是纳税)来说,他们是不需要什么装饰的,因此化妆就排除在男人生活之外了,但在背后支持着男人们挣钱、承担无偿劳动的女性就迷上了化妆。”

■世界に浸透した「化粧なし」

■渗透世界的“不化妆”

列強諸国に追いつきたい一心で明治政府が「文明開化」と「富国強兵」を進めた結果、男性は化粧をしなくなったことが分かった。

一心想赶超列强诸国的明治政府推行“文明开化”“富国强兵”的结果,就是男人变得不化妆了。

「近代化が最初に始まった西洋から、近代化と同時に男性が化粧やカツラやハイヒールなどの身体装飾をやめて、ビジネススーツにネクタイという一定の服装が始まり、明治維新以降は日本もそれにならい、他の地域も同様になり、いまや世界で服装・髪型・化粧に差異のないグローバル化が浸透しています」(石田さん)

石田老师说:“近代化最先开始在西方,与近代化同时,男人也放弃了化妆、戴假发、穿高跟鞋等等装扮,开始穿西装、打领带的穿着。明治维新以后,不仅日本,其他地区也变得如此,现在世界对服装、发型、化妆的无差异化正在全球性地渗透着。”

一方、現代においては男女雇用機会均等法が浸透しつつあり、シャドウワークを抜け出して社会に進出する女性が現れて久しい。彼女らは例えば商談の時には強い印象を与えたり、デートの時には優しい印象を与えたりと化粧を使い分けていると聞く。

另一方面,现代由于男女雇用机会均等法的不断深入普及,摆脱无偿劳动进入社会工作的女性的出现已有一段时日。听说她们会利用化妆来呈现出不同的妆容,比如在商谈的时候给对方一个强势的印象,但同时在约会的时候给对方展现温柔的一面。

彼女らと伍して働く男性にも、化粧が求められる時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。

与她们一起工作的男人被要求化妆的时代也许就在不久的将来。

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