ここ数年、「かき氷」の人気が高まっている。新しいメニューが次々と登場し、スイーツの一部門を築いている。実は、かき氷の歴史は古く、これまで何度かの流行を繰り返し、氷の味わい方はどんどん進化してきたのだ。

最近这几年,“刨冰”的人气可谓是越来越高,在日本,市面上接连不断地出现新式刨冰,甚至建立了独立的甜点部门。实际上刨冰的历史相当久远,至今为止反复经历过多次的流行,刨冰的口味也在不断地进化。

早くも汗ばむ陽気が続き、冷たいものが恋しくなる季節がやってきた。軒先に「氷」の文字が入った氷旗をはためかせる店が目に付く。夏の風物詩である「かき氷」の登場だ。ここ数年は、かき氷がちょっとしたブーム。一年中かき氷を出す店やかき氷専門店が増えている。

让人汗流浃背的季节早已悄然而至,也到了贪恋冷饮的季节。房檐下飘舞着写着“冰”字旗子的店铺显得格外引人注目,而“刨冰”作为夏日独有的一道风景也隆重登场了。最近这几年,刨冰还真是引起一番热潮,一年之中新增的卖刨冰的店铺或刨冰专卖店数量明显上升。

現代の私たちにとって氷は身近なもの。だが、製氷技術のなかった時代、氷は大変な貴重品で、夏に氷を口にできるのは貴族などに限られていた。その氷は、冬の間に氷や雪を「氷室」に入れておくなどして、手間をかけて夏まで保存しておいたもの。

对于生活在现代的人们而言,冰是在我们身边非常容易得到的东西。然而在还没有制冰技术的时代,冰却是非常贵重的物品,夏天只有贵族才能吃到冰。那是候吃的冰,都是在冬天将冰或雪运到“冰室”里面,花费相当大的功夫来保存到夏天以供食用。

『日本書紀』には、氷室で保存した氷を朝廷に献上したという記録がある。また『枕草子』には、削った氷を金属の器に盛り、植物の樹液を煮詰めた汁をかけて食べたと書かれている。どうやら1000年も前にかき氷を食べていたらしい。

《日本书纪》中记载过将冰室里保存的冰向朝廷进贡的内容。《枕草子》也记载过,将切碎的冰装在金属器皿里,将植物的树胶熬干得到的汁液浇在冰上来食用。这应该是1000年前刨冰的食用方法。

江戸時代では、加賀藩の前田家が氷をはるばる江戸まで運び、将軍に献上したという話が知られる。氷は「お氷様」とよばれ、珍重された。

据说在江户时代,住在加贺藩的姓前田的一族曾将冰千里迢迢运到了江户,并把这冰进献给将军。那时候冰都是被称为“冰大人”的贵重物品。

江戸時代の末期に横浜港が開港したとき、米国人がボストンから天然の氷の塊を輸入し、販売して大儲けした。それを見た実業家の中川嘉兵衛が函館の氷を横浜に運び売り出したところ、高級品だったが大変な人気になった。

江户时代末期横滨港开放港口的时候,美国人从波士顿向日本输送了大量的天然冰块,用以贩卖从而获得大量的利润。当时的企业家中川嘉兵卫看到这些受到启发,将函馆的冰运到横滨出售,过去曾是高级品的冰开始获得超高的人气。

1869年には、町田房造が横浜の馬車道で「氷水店」を開いた。「あいすくりん」(アイスクリーム)とともに氷水を販売し、本格的なかき氷が登場した。

1869年,町田房造在横滨的马车道开设了“冰水店”,销售叫做“あいすくりん”(冰淇淋)的冰饮,真正的刨冰也由此登上历史舞台。

明治時代初期には、冬に池で氷を作り、保存しておいて夏に販売するという製氷業(今でいう天然氷の製造)が長野県など寒冷地で広まった。こうして、氷が比較的自由に手に入るようになると、かき氷が普及したが、やはり高級品だった。

明治时代初期,冬天在池子里制作冰,保存起来在夏天出售的制冰企业(如今称为天然冰的制造)在长野县等寒冷地区广泛盛行。此后冰也成为较为容易获得的物品,虽然刨冰具有了一定的普及程度,但仍然算是比较高级的产品。

戦前に「雪」「みぞれ」「氷金時」が庶民の夏の風物詩に

战前时期“雪”、“みぞれ”、“冰金时”成为平民喜爱的夏日美食

かき氷が庶民の口に入るようになったのは、明治時代の後半に機械製氷の技術が発達してからだ。鉋(かんな)を応用したかき氷機が発明され、かき氷の旗も使われるなど、今の私たちがよく知るかき氷のルーツはこのころにある。

到了明治时代的后期,机械制冰的技术迅速发展,普通老百姓平常也能够吃到刨冰了。使用了刨子的刨冰机被发明出来,卖刨冰的店也都开始悬挂刨冰旗,我们现在所常见的刨冰最原始的版本就是在这个时候。

昭和時代の初期にかき氷機が広まると、さらにかき氷の人気が高まった。

昭和时代初期刨冰机得到了更为广泛的应用,刨冰也因此在大众中更受欢迎。

戦前のかき氷は、削った氷に砂糖をかけた「雪」、蜜をかけた「みぞれ」、小豆を載せた「氷小豆」または「氷金時」などだ。かき氷用のシロップが出たのは戦後のこと。氷イチゴや氷メロンなど、色とりどりのかき氷を楽しむようになった。

战前时期的刨冰,往切碎的冰里加砂糖的,叫做“雪”,加蜂蜜的叫做“みぞれ”,在冰上放红小豆的叫“冰小豆”,另外还有叫做“冰金时”的等等。刨冰用的果汁糖浆是在战后出现的。有草莓冰、蜜瓜冰等颜色各异的刨冰可供人们享用。

かき氷のおいしさは、削った食感にある。氷を削るとふわふわの舌触りがもたらされるとともに、シロップのなじみがよくなり甘さがいっそう引き立つのだ。以前、米国でカラフルなシロップをかけた「シェイブド・アイス」(Shaved Ice)という氷菓を食べたことがあるが、日本のかき氷とは風味は異なっていたことを覚えている。

刨冰的美味之处在于冰被削碎后的口感。被削碎后的冰给舌头带来软绵绵的触感,而更能凸显出糖浆浓郁的香甜味道。以前在美国,人们常吃的刨冰是一种添加多种颜色果汁糖浆的叫做“Shaved Ice”的冰点,不过这个跟日本的刨冰味道还是有差别的。

かき氷の魅力は、おいしさに加え、氷の涼し気な美しさにもある。明治時代には「氷コップ」というかき氷専用の器が生まれた。小ぶりで着色したり、水玉などの模様をつけたりしたガラスの器だ。昭和初期にはレース模様などを型押しした氷コップが量産された。業務用のかき氷機にある富士山や松などの装飾、氷の旗にある波に千鳥のモチーフもしゃれている。日本人独自の美意識で氷を楽しんでいたことがわかる。

刨冰的魅力,除了好吃美味,更吸引人的还有它作为冰的冰凉清爽感。明治时代出现了叫做“冰杯”的刨冰专用容器。是一种型号比较小巧且染着颜色,有些还刻着圆点花纹的玻璃器皿。昭和初期开始用压制蕾丝花纹的模具批量生产装刨冰的杯子。用于生产业务的刨冰机有了富士山、松树等装饰,卖刨冰的旗子上也逐渐有了以海浪上的千鸟为主题的图案。日本人带着自己独特的审美来享受着刨冰带来的欢乐。

かき氷は駄菓子屋で気軽に味わえるようになり、すっかり庶民の夏の味になった。しかし、アイスクリームの普及によりその人気に陰りが見えてきた。1950年代にはカップ入りのアイスクリームやコーンアイスが販売されると、アイスクリームが身近になった。さらにフリーザー付きの冷蔵庫が普及するとアイスクリームの販売量も増加し、いつしか駄菓子屋の店先からかき氷は消えた。

刨冰的美味在粗点心店就可以随时体会到,它已经完全成为大众喜爱的夏日美食了。但随着冰淇淋的普及,刨冰似乎不像以前那么有人气了。1950年代杯装的冰淇淋和甜筒大量销售,冰淇淋成为随时出现在大众身边的美食。后来带冷冻功能的冰箱越来越普及,冰淇淋的销售量大大增加,不知不觉中,刨冰开始从粗点心店逐渐消失了。

だが、1970年代になるとかき氷は「フラッペ」と名前を変えて、喫茶店やレストランに登場した。これは、人気の低迷を危惧したかき氷機メーカーが新しいかき氷メニューを開発して、レストラン業界にピーアールしたことによる。フラッペはかき氷にアイスクリームや果物をトッピングしたもの。もともとは砕いた氷にリキュールを注いだものだったが、かき氷として扱われるようになった。これが全国に広がり、再びかき氷の人気が高まったのだ。

然而到了1970年代,刨冰改名为“フラッペ(frappe)”,在咖啡厅和餐厅开始销售。出现这种情况是因为刨冰机制造商们担心刨冰的人气一直低迷下去,于是开发出了新的刨冰甜品,是在餐饮业界内进行宣传的一种手段。刨冰冷饮是在刨冰上面加上冰淇淋或水果进行装饰而制成的冷饮。其实这种冷饮原本是在碎冰中注入利口酒制成的,后来逐渐演变成刨冰。刨冰冷饮在国内广泛流行起来,于是刨冰的人气也再度回升。

近頃、フラッペはかき氷状のドリンクに姿を変えて、コンビニエンスストアやスターバックスに登場している。若い人ならこちらを思い浮かべるかもしれない。スターバックスの「フラペチーノ」は、フラッペとカプチーノからきた造語という。

最近,刨冰冷饮又从刨冰形态的饮料改变了形态,在便利店以及星巴克中登场了。年轻人对此一定不陌生。星巴克的产品“星冰乐(frappuccino)”,其名字就是取自“刨冰饮料(frappe)”和“卡布奇诺(Cappuccino)”的合成词。

近年「ひんやりスイーツ」としてブーム再燃

近几年出现的冰爽甜点又掀起一番热潮

こうしてかき氷は、夏の定番として不動の地位を築いたのだが、ここ数年、また新たに「ひんやりスイーツ」の一角をなすものとしてブームをもたらしている。女優の蒼井優さんの著書『今日もかき氷』(2011年、マガジンハウス刊)が火付け役だという説もあるが、単純にここ数年の猛暑によるものかもしれない。

就这样,刨冰成为了夏季特定的美食而具有不可动摇的地位,这几年又出现了新的名为“冰爽甜点”的产品掀起了热潮。有一种说法认为刨冰的热潮起因是女星苍井优的写真书籍《今天也要吃刨冰》(2011年,magazine house出版),不过也可能是因为这几年天气太过炎热。

近頃のかき氷は、昭和のフラッペよりもさらに多様になっている。シロップのみならず、キャラメルやナッツなどトッピングもバリエーションに富んでいる。氷も果汁を凍らせたものや、パウダー状のものなどがあり、新しい味わい方が目白押しだ。

近几年的刨冰,比昭和时代的刨冰冷饮要更加多样化。相比传统的添加果汁糖浆的产品,又推出了很多添加焦糖、坚果等品种丰富多样的产品。既有冰或果汁冰冻的产品,也有粉末状的产品,新口味的产品真是一个接一个不断出现。

台湾や韓国、ベトナムなどアジアの国々のかき氷も話題で、日本に進出しているものもある。果物やアイスクリーム、餅や豆などをたっぷりトッピングしたボリュームのあるものが多い。日本のかき氷が海外で独自の形に発達し、また日本に帰ってきたのは興味深い。日本各地には、鹿児島県の「白熊」、沖縄県の「ぜんざい」などのご当地かき氷もある。旅先や物産展などで楽しんでみたい一品だ。

在亚洲的许多地区如中国台湾、韩国、越南等地,刨冰也都成为极具话题的美食,其中也有不少引进日本,很多刨冰冷饮顶端都添加了分量充足的水果、冰淇淋、饼干或者豆子。日本的刨冰在海外以独具特色的形态不断发展,而后又回到了日本,这种情况还是颇有意思的。在日本国内的地区,像是鹿儿岛县有“白熊”刨冰、冲绳县有“善哉”甜品,这些都是当地有名的刨冰甜品,这些也是在旅行中或者特产展览会上能看到的极品美味。

かき氷の流行は繰り返される。素材が単純なものであるがゆえに、バリエーションがどんどん豊かになっていく。

刨冰经历了多次反复流行的过程,虽然其食材都是些很简单的东西,但却不断呈现出丰富多样的产品。

予報によると、今年の夏も猛暑となるらしい。かき氷を楽しんで、暑い夏を乗り切りたい。

根据天气的预报情况来看,今年也将是一个炎热的夏天,真想吃着美味的刨冰度过这个炎热的夏日啊。

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