千葉県柏市の市立柏高で2018年12月、吹奏楽部に所属する2年の男子生徒が自殺した。市の第三者委員会が今年3月末に公表した調査報告書は、自殺の直接的な原因は特定できなかったとする一方、背景として部活の長時間練習を挙げ「授業時間と合わせると過労死ラインをはるかに超える。過多であったことは明らかだ」などと指摘。吹奏楽強豪校の過酷な練習実態を明らかにしただけでなく、学校側のずさんな対応も批判した。

2018年12月,千叶县柏市市立柏高一位吹奏乐部的高二男性学生自杀。市第三方委员会于今年3月末公开了调查报告书,报告书指出,该学生自杀的直接原因尚未明确,但社团练习时间过长确属事实:“(社团练习时间)加上上课时间早已超过了过劳死的极限。可以看出练习时间过长确属事实”。这不仅揭露了吹奏乐部强校高压的练习实态,还批判了校方的管理不善。

学校の中庭で…

学校中庭发现遗体

男子生徒は18年12月5日午前2時15分ごろ、柏高の中庭で倒れているのを巡回中の警備員に発見された。男子生徒のかばんからは「幸せな最期を迎える」という自殺を示唆するメモが見つかり、状況から自殺したとされる。前日も部活動の練習に参加、部員たちは第三者委の調査に、普段と変わった様子はなかったと振り返る。

2018年12月5日凌晨2点15分左右,在柏高校内巡查的保安发现了这位倒在中庭的男性学生。在该学生的包内发现了疑似自杀的纸条,上面写着“迎来幸福的最后人生”,并从现场观察为自杀。自杀前一天他依旧参加了社团练习,在第三方委员会进行询问时,社员也称他跟平常没有什么变化。

男子生徒は小学生から吹奏楽を始め、中学生からはパーカッションを担当。コンクールでの受賞経験もあり、マーチングをやりたいという思いから吹奏楽部の強豪校の柏高に進学した。父親には、将来は音楽関係の仕事に就きたいと話していたという。

该学生从小学开始练习吹奏乐,中学起担任打击乐手。也曾在大赛中获奖,出于参加行进乐队的愿望考入柏高这所吹奏乐强校。他的父亲称他未来想要从事音乐相关的工作。

休日の練習は午後9時を過ぎることも

休息日也要练到晚上九点多

報告書は、男子生徒の自殺の原因とみられる要素として「学業不振、異性問題、教職員からの指導、いじめ問題、部活への参加」と複数挙げたが、「どれが直接的な原因になったとは特定できない」と結論付けた。その上で、当時の生徒が自身の悩みに適切な対処ができなくなるまで思考力や集中力などが低下していたと指摘。その要因として強調したのが、部活の長時間練習だった。

关于该学生自杀的原因,报告书指出了以下几条:“成绩不好、异性问题、教师的指导、校园霸凌、社团练习”,并给出“无法确认哪项是导致自杀的直接原因”的结论。在此之上,报告书还指出当时学生自身无法妥善处理自己的烦恼,导致其思考力和集中力低下,而造成这种情况的原因报告书也做出了强调,就是因为社团练习活动时间过长。

部の正式な練習時間は平日が午後4~7時、休日は午前8時~午後5時ごろとされる。だが報告書によると、時間内に終わらないことが多く、休日は午後9時を過ぎることも。さらに「自主練」として朝練や昼練、居残り練習にもほとんどの生徒が参加し、事実上義務付けられていた。

吹奏乐部正式的练习时间是平时下午4点~7点,休息日上午8点~下午5点。然而报告书中指出,大多数情况下社团练习没有在这一时间段内结束,休息日甚至会练习到晚上9点多。再加上几乎所有社员都要参加晨练、白天练习、课后练习的“自主练习”,事实上已经形成了一种“练习义务”。

結果として平日で約5時間半、休日で約11時間の練習が行われていたと認定。「平日で2時間程度」などとした国の文化部ガイドラインを大きく超過していた。1カ月で計192・5時間となり、生徒が受ける授業時間(平日7時間と仮定)も含めると計346・5時間に。これは、労働者の「過労死ライン」とされる1カ月当たりの総労働時間(240時間)を大幅に上回っていた。

从结果来看,柏高吹奏乐部平时练习时间约为5个半小时,休息日则要练习11个小时。远超过国家文化部方针中“平时练习时长保持在两小时左右”的要求。如此计算,学生一个月累计练习192.5个小时,加上上课时间(假设平时上课7小时),合计346.5小时。这一时长远远超过了劳动者“过劳死极限时间”,即一个月总劳动时间240个小时。

自殺の後のチャリティーコンサートで…

自杀后的慈善演奏会

報告書は、生徒が亡くなった後の学校と柏市教委の対応にも苦言を呈した。まず取り上げたのは、吹奏楽部が毎年12月に開催している「チャリティーコンサート」に関する対応だ。

报告书还对学生自杀后校方和柏市教委的态度提出忠告。首先指出的就是对吹奏乐部每年12月举办的“慈善演奏会”的态度。

コンサートは3年生にとって事実上最後の重要なイベントとされ、この年は15、16日と22日から24日までの計5日間にわたって予定されていた。部では、男子生徒の死亡が判明した翌日に練習を再開、この日の練習中には複数の部員が泣くなどし、動揺が広がっている様子だったという。報告書は、再開前に生徒の意見を一切聞いてないなどとして「生徒への心のケアという観点から疑問が残る」とした。

这场演奏会对高三学生来说是最后一场最重要的活动,于每年12月的15、16日以及22日~24日举办,共计5天。社团在该学生宣布死亡的第二天便重新开始社团练习活动,当天练习过程中几位社员纷纷流泪哭泣,人心动摇。报告书中称,重新开始练习前,校方完全没有听取学生的意见,指出“在校方是否关心学生心理健康这一观点上存疑”。

第三者委員会の聞き取りに対し、部員からは「男子生徒が抜けちゃっていないのにこのまま普通に何も変わったことがなかったかのようにやるのが結構つらかった」「男子生徒のことは触れるなみたいな暗黙の了解みたいなのができていた。誰も話題に出しちゃいけないみたいな感じになっていた」などの意見も出た。

面对第三方委员会的询问,社员们给出了自己的意见:“学校男学生自杀了还要当做什么都没发生,真的很痛苦”“现在大家似乎默认都不能再提这位男学生的事情,好像变得谁都不能说这个话题了”。

教頭が遺族に「明けましておめでとう」

教务主任对死者家属送上“新年快乐”祝福

第三者委員会が次に問題視したのが学校側の遺族対応だ。

接下来,第三方委员会指出的另一大问题就是校方对死者家属的态度。

遺族は遅くとも亡くなった翌年2月には、第三者による調査を求めていたが、市教委側は調査をするための手続きがないと誤認して第三者委員会の設置を拒んだ。結局、第三者委の設置は、遺族の代理人弁護士が要望書を提出した後で、生徒の死から1年が経過していた。

死者家属在学生自杀后的第二年2月才要求第三方介入调查,当时市教委误认为调查手续不全拒绝设置第三方委员会。结果在死者家属代理律师提交请愿书后才得以成功设置,此时距离学生自杀已经过去了一年。

こうした経緯をたどって作成された報告書は学校側の対応を厳しく非難した。「いじめの事実がない段階では第三者委員会を設置できない」などとする説明は誤りだったと認定。学校生活アンケートで生徒が「からかいがあった」と申告しており、いじめの疑いがあると判断して十分に設置できたと指摘した。

因此,报告书严厉谴责了校方的应对措施。认定“在没有霸凌事实的阶段不能设立第三方委员会”等说明是错误的。学校生活问卷调查显示学生称“有霸凌现象”,因此报告书判断存在霸凌可能,是完全有理由设置第三方委员会的。

他にも(1)自殺から1カ月もたたないうちに吹奏楽部の交流サイト(SNS)に楽しげな様子を掲載した(2)教頭が翌年の遺族対応の際に「あけましておめでとうございます」とあいさつした(3)校長が人からもらった菓子折りを遺族に贈った疑いがある―などの一般的な配慮を欠いた対応があったと問題視した。

此外报告书还指出了三点问题:(1)学生自杀不满一个月就在吹奏乐部的交流网站(SNS平台)中刊载社团其乐融融的样子;(2)教务主任在事故第二年向死者家属送去“新年快乐”的祝福;(3)校长可能将别人送的点心转赠给了死者家属。这些都是欠考虑的行为和态度。

悪質なデマも

恶意谣言

第三者委員会は今年3月25日に記者会見した。第三者委員会の委員長を務めた福原亮弁護士は会見の終盤「部員の保護者から、亡くなった生徒は再婚家庭で連れ子だったため問題を抱えていた」という事実無根の情報提供があったと打ち明けた。福原弁護士は「このような言説は遺族や再婚家庭の生徒も傷つける」と強調し、冷静に状況を見極めてほしいと訴えた。

第三方委员会于今年3月25日召开了记者招待会。委员长福原亮律师在招待会结尾指出,校方曾提供“社员监护人声称自杀学生身处再婚重组家庭所以才会产生心理问题”这一毫无事实依据的情报信息。对此福原律师强调“这种言论会伤害到死者家属以及再婚家庭学生”,并希望校方能够冷静观察情况。

少しは真相に…

逐渐了解真相

報告書を受け取った父親も記者会見し、「少しは真相に近づけた。吹奏楽部の現状は、多くの生徒の犠牲で成り立っていることを、全ての大人たちは気付かなければならない」と訴えた。取材に対しては「自責の念もあり、最後にしてあげるのは真相を究明することだと思って踏ん張ったがきつかった」と本音を明かした。

接过报告书的死者父亲也出席了记者招待会,他说:“现在我们稍微离真相更近了一些。(柏高)吹奏乐部如今的辉煌是建立在很多学生的牺牲之上的,这值得我们所有父母引起注意”。面对采访,他也坦言:“我也十分自责,虽然我抱着最后能为儿子做的就是查明真相的心态一直坚持到现在,但还是非常痛苦”。

遺族代理人の児玉勇二弁護士は「ブラック部活の問題点をいま一度検証し、二度と同様の事件が起きることのないよう改善してほしい。」と述べた。

死者家属代理律师儿玉勇二也称:“借此机会希望各方能够重新检讨黑心社团活动的问题,避免悲剧重演”。

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