​ここ数年、芸能界で目立つ所属事務所からの「独立」のニュース。

这几年,在娱乐圈,从所属事务所“独立的”新闻在娱乐圈很引人注目。

“アイドル帝国”ジャニーズ事務所からは中居正広、山下智久や長瀬智也など。“美の総合商社”オスカープロモーションからは、米倉涼子や剛力彩芽ら。スターダストプロモーションから柴咲コウ、太田プロダクションからは前田敦子。そして吉本興業からは、オリエンタルラジオの藤森慎吾と中田敦彦やキングコング・西野亮廣、極楽とんぼ・加藤浩次などが次々と退所、独立を発表した。

从“偶像帝国”杰尼斯事务所独立的有中居正广、山下智久和长濑智也等。“美的综合商社”奥斯卡宣传公司有米仓凉子和刚力彩芽等人。星尘传播有柴崎幸、太田制作有前田敦子。随后,东方之声的藤森慎吾、中田敦彦、金刚·西野亮广、极乐蜻蜓·加藤浩次等人相继离开吉本兴业,宣布独立。

いわゆる「大手」の芸能事務所を辞め、個人活動や個人事務所でのマネジメントへの移行――、「独立系芸能人」の増殖が止まらないのだ。もちろんそれまで置かれていた環境や独立理由は十人十色だが、2020年からのコロナ禍にとみに増えたこの現象を、いくつかの側面から読み解いてみよう。(ちなみに今回「独立系」として注視するのは、自ら独立を選んだパターンだ。スキャンダル発端の契約解除等については別枠とする)

辞去所谓的“大型”经纪公司的工作,转向个人活动和个人经纪公司的管理——“独立艺人”的增殖倾向势不可挡。当然,在此之前所处的环境和独立理由也各不相同,但从2020年疫情开始后就突然增加了,让我们从几个侧面来解读一下这一现象。(顺便一提,这次“独立系”中需要注意的是自主选择独立的模式。关于丑闻发端的合同解除等另当别论

经纪费扣除规则

まず大きいのは、【金銭面】。

首先最大的是金钱方面

「コロナが始まって2020年の夏までの数か月間、ノーギャラだった」

“从疫情开始到2020年夏天的几个月里,我都没有出场费。”

そう話すのは、とある中堅俳優だ。舞台やテレビドラマで活躍しCMでも顔を見かける。芸能活動だけで充分に家族を養える稼ぎがあった。

说这话的是一位中坚演员。活跃于舞台剧和电视剧,在广告中也能看到她的脸。光靠演艺活动就能赚足养家糊口的收入。

「事務所とは完全歩合の契約だったので、コロナのせいで流れた舞台作品、テレビのロケバラエティ番組などのギャラがゼロになった。芸能界での感染対策も確立して現場が少しずつ再開したが、『板の上に立つ人数』を少なくしなきゃならないとの理由で、椅子取りゲーム状態。仕事自体が減ったために、事務所の取り分を痛手に感じるようになった」

“因为和事务所签订的是完全提成的合同,由于疫情,舞台作品、电视外景综艺节目等的演出费都没有了。娱乐圈的感染对策确立以后,线下也逐渐恢复开工。但由于不得不减少“站在舞台上的人数”,就像是“抢凳子游戏一样”大家纷纷哄抢名额。工作少了,事务所收取的利益也备受打击。”

事務所によってその配分は異なるが、多くは事務所を通してギャラを得るとき、5割から7割くらいをマネジメント料として引かれるのが通例だ。固定給や一部歩合給の契約になっていればともかく、完全歩合の場合には、収入ゼロが現実となる。そこで浮上するのが「独立案」だが、事務所サイドからすれば多額の投資をして売り出し、営業をかけて一人前の「稼げる芸能人」に仕立ててやったのにという遺恨が抜けないことにもなる。

事务所不同,收入分配比例也会有所不同。但大多数情况下,通过事务所获取演出费时,一般会扣除5到7成的经纪费。如果签的是固定工资或部分提成的契约的话还好说,如果是完全提成的话,就会出现收入为零的情况。这时就会出现“独立案”,但从事务所的角度来看,他们会觉得明明花了大量的投资来进行营销,才把他培养成为独当一面的“能赚钱的艺人”,却无法摆脱这样的遗恨。

束缚的消灭

そこに繋がるのが、【シバリの消滅】だ。

造成这样局面的是束缚的消灭

昭和から平成の芸能界で存在したのが「1年縛り」や「2年縛り」などと呼ばれた暗黙のルール。大手の事務所を辞めると、1~2年間はテレビ等に出演できないなどの休業状態となることが多かった。悪く言えば、「干される」わけだ。

从昭和到平成,演艺圈存在着一项被称为“1年束缚”和“2年束缚”的潜规则。很多人从大的事务所辞职之后,1 ~ 2年内无法上电视等,处于休业状态。说得不好听点,就是“被雪藏”。

「不文律の場合もあれば、契約書に『退所のあとは〇年間芸能活動を休止する』と書かれていた場合もあったが、業界内ではそれが粛々と守られていた。だがここ数年で急激にそのシバリはなくなってきたように見える」(芸能事務所幹部)

“也有不成文的情况,有的合同中会写明‘退所后〇年停止演艺活动’,演艺界也一直在严格遵守这一规定。但是,最近几年,这一束缚似乎消失了”(演艺事务所干部)

芸能人の独立や事務所移籍を阻む古く悪しき慣習は、15年ののん(能年玲奈)の事務所独立騒動や16年からのSMAP解散と元メンバー3人の移籍にまつわるトラブルなどにより社会問題化。18年2月には、公正取引委員会が独占禁止法に触れる可能性を指摘する事態となった。

阻碍艺人独立或移籍的陈规陋习,随着15年Non(能年玲奈)从事务所独立引起的骚动、16年起SMAP解散以及3名原成员移籍引发的纠纷等,逐渐成为社会问题。2018年2月,公平交易委员会指出这些有可能触犯《反垄断法》。

该图片为19-21年3月各事务所独立艺人名单

该图为16-21年杰尼斯动向

「翌19年には公取委がジャニーズ事務所に、『新たな事務所に移籍した稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛の3人をテレビ起用しないように局に圧力をかけている疑い』について、注意をした。これには業界内で衝撃が走り、その後変わる大きなきっかけとなった」(同前)

“第二年19年,杰尼斯事务所疑似给电视台施压,让电视台不要任用转到其他事务所的稻垣吾郎、香取慎吾、草彅刚3名艺人,引起了公平交易委员会的注意。这一事件直接给演艺界造成冲击,也造成了后面的大变革。”(同前)

たとえ両者納得の円満退社であっても、1年・2年縛りがあればその間食うのに困る事態になる。それが解消され、翌日からでも新たな環境で仕事ができるのは新たなムーヴメントだ。

即使是双方都同意的圆满辞职,如果有1、2年束缚的话,在这期间吃饭都将成为问题。这问题消除之后,第二天开始就可以在新的环境中工作,这是一种新的趋势。

向往自由的艺人

かたや芸人の世界から多くあがるのは、【コンプライアンスの更新についていけない】との声だ。

另一方面,艺人中也出现了很多跟不上规章制度的更新的声音。

「大手事務所は昨今のコンプライアンス事情に敏感で、クレームや炎上を防ごうと一生懸命。所属芸人からすると、テレビで出来ないネタや、放送では使えないとされる言動ばかりが増えた感じがする。やりたいネタをやるためには、自分で小屋を借りてライヴ活動をメインにするしかない」(大手所属芸人)

近来“大型事务所对最近的规章制度情况很敏感,努力阻止投诉和上热搜的情况发生。从所属艺人的角度来看,感觉就是只增加了在电视上不能讲的段子,在广播中不能使用的言行。为了用自己想用的段子,只能借用自己的‘小屋’,做一些直播活动”。(大型事务所艺人)

テレビに多く出たい、幅を広げて役者業にも挑戦したいといった野望がないのであれば「独立系」になったほうが自由だという選択だ。だが所属する大手事務所が制作に関わるテレビ番組に優先的に出演できたり、バーターと呼ばれる抱き合わせ仕事が回ってきたりする機会は失われる。なによりも「営業活動」と「マネジメント」を任せられる場所がなくなるのだ。

如果没有想要更多地出现在电视上,也没有想要更大范围地挑战演艺事业的野心,成为“独立系”还是比较自由的选择。但(独立系)会失去优先出演所属大事务所制作的电视节目,也将失去被称为“易货”的捆绑工作的机会。最重要的是失去了可以委派“营销活动”和“管理”的地方。

 

ところがここには、【SNS等の台頭】が後押しをした。

但是,在这里,【SNS等的兴起】起到了推波助澜的作用。

以前だったら、事務所の立派な公式サイトや連絡先を活用し、仕事のオファーを受けるのが常套手段。だが今はInstagramやTwitterで手軽にアカウントを開設し、そのDMで仕事を受けられる。コロナ禍のステイホームがプラスに働いて、YouTubeで近況を発信すれば視聴数も多い。「窓口と発信はそれで充分」だという芸能人が増えてきている。

如果是以前的话,艺人的惯用的途径就是利用事务所气派的官方网站和联系方式,接受工作邀请。但现在可以轻松地在Instagram和Twitter上开设账号,通过DM接受工作。疫情以后的居家隔离也起到了积极作用,他们在YouTube上发布近况的话播放量也不错。越来越多艺人认为“有窗口和发送信息就足够了”。

独立系的弱点

そのうえで見えてきた「独立系」の弱みもある。ギャラ交渉や請求書を送るなどの事務、経理関係だ。

独立之后才发现“独立系”的弱点。协商出场费、发送账单等事务,都是经纪人的工作。

「いち芸能人が、やったこともない作業を急にできるわけもない。元から稼ぎが多く税金対策で個人会社を持っていたならともかく、新たに事務所を登記しようと思っても法人口座がなかなか作れないことに、初めて気づくんですよ」(前出・芸能事務所幹部)

“一个艺人不可能一下学会之前没接触过的事情。如果原本就赚了很多钱,成立了个人公司应付税金也就另当别论了,但是独立以后才开始的话,就会发现即使想注册新的事务所,也无法办理法人账户。”(前演艺事务所干部)

その道に明るい従業員を雇ったり、税理士と顧問契約することとなり「実はかなり支出がある」と愕然として、ふたたび事務所と契約する芸能人も少なからずいるのだという。

据说有不少艺人雇用熟悉这个途径的员工,和税务师签顾问合同时,惊讶地发现“实际要花好多钱”,于是又再次和事务所签合同。

大手事務所のトップが軒並み代替わりの様相を呈すいま、「独立系芸能人」たちの快適な活動への模索が始まっている。

在各大经纪公司高层纷纷更替的当下,“独立系艺人”们也开始摸索舒适的活动方式。

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