スマートフォンのアプリで注文すれば、店頭で並ばずにコーヒーを受け取れる。そんなカフェが今、中国で話題を集めている。

在手机APP点单后,不用到门店排队就能拿到咖啡。目前这种咖啡店在中国引发热议。

配車サービスを手がける神州優車の元COO、銭治亜氏が2017年に設立したカフェチェーン「luckin coffee(ラッキンコーヒー)」は、2018年1月に北京と上海に店を構え、そこから店舗網を急拡大。わずか1年で、総店舗数は2000店舗超に達した(2018年12月末時点)。さらに、2019年末までに4500店舗越えを目指すという。

曾任汽车租赁公司神州优车首席运营官的钱治亚在2017年创办了连锁咖啡店“luckin coffee(瑞幸咖啡)”,2018年1月在北京和上海开店,之后店铺网络快速扩大。仅一年时间,总店铺数量就超过了2000家(截止2018年12月末)。并且瑞幸咖啡的目标是在2019年年末超过4500家店铺。

現時点で中国最大のカフェチェーンであるスターバックスが、20年前に中国に初出店してから現在に至るまでに3600店舗を出店している。ラッキンコーヒーの出店スピードは、それをはるかに陵駕しているのだ。

目前中国最大的连锁咖啡店是星巴克,20年前在中国开设第一家店铺以来,现已拥有3600家店铺。因此瑞幸咖啡开店的速度已经远远超过了星巴克。

ラッキンコーヒーにとって追い風になっているのが、現地におけるコーヒー消費量の拡大だ。中国のコーヒー消費量は年率15%で成長している。三井物産北京事務所の岸田英明シニアアナリストは「中国の1家庭あたりの可処分所得は、昨年の時点で1万2000ドル(133万円)超。都市部は1万5000ドル(167万円)に届くところまできた。

中国的咖啡消费量以每年15%的速度增长着,这种扩大也让瑞幸咖啡赶上了好时候,得以快速发展。三井物产北京公司的资深分析师岸田英明指出“中国一户家庭可自由支配的收入在去年超过了1万2000美元(约133万日元)。城市地区的家庭收入则接近1万5000美元(167万日元)。

この域になると、嗜好品や付加価値の高いサービスの需要が増えてくる」と指摘する。所得の拡大に伴い、中国でも嗜好品であるコーヒーをたしなむ人が増えてきている、というわけだ。

到了这个阶段,人们更加需要嗜好品(并非维持生命所必需的饮食品,提供刺激和快感)以及附加价值高的服务”。伴随着收入的增加,中国人中喜欢上嗜好品咖啡的人也就增多了。

■専用アプリで注文し、スマホ上で決済

■使用专用的APP点单,手机结账

3月下旬、中国·深圳のショッピングモールに店舗を構えるラッキンコーヒーを訪れてみた。

3月下旬,我们访问了中国·深圳购物广场里的一家瑞幸咖啡店。

顧客がラッキンコーヒーでコーヒーを注文するには、事前に専用のアプリをダウンロードする必要がある。そのアプリの画面に並んだコーヒーやサンドウィッチなどのメニューから、顧客は買いたい商品を選んでスマホ上で決済する。このように、あらかじめアプリを通じて商品を注文しておき、出来上がりの通知が来たらお店に取りに行く。

顾客要在瑞幸咖啡点单之前需要下载专用APP。从APP提供的咖啡、三明治等菜单中选择自己想要购买的商品,在手机上付款。像这样先通过APP点单,收到制作完成的通知后来店取走即可。

実際に店頭では、顧客が並ぶこともなく、スマホをQRコード読み取り機にかざして商品をスムーズに受け取っていた。

实际上门店里也没有顾客排队,大家都是将手机放在二维码识别器前扫一下,再有序地领取商品。

ラッキンコーヒーでは店頭での受け取り以外にも、指定した場所に店舗から配送してもらえるサービスもある。購入金額55元(914円)以上であれば、無料で配送してくれる。受け取り場所が近くなると、ラッキンコーヒーの配送員が近くまで来ていることを電話で顧客に知らせる。

瑞幸咖啡除了能在门店领取之外,也可以配送到指定地点。满55元(914日元)即可免费配送。快到外卖地点时,瑞幸咖啡的外卖员会电话通知顾客。

デジタル技術を活用した利便性の高さに加え、ラッキンコーヒーのもう1つの売りは価格の安さだ。「割引クーポンが豊富で、価格が安いから使っている」(北京市在住の30代男性)。

除了电子技术带来的方便快捷外,瑞幸咖啡另一个卖点就是价格便宜。“有很多优惠券,使用后会很便宜”(北京市在住的30代男性)

スタバのアメリカンコーヒーが25元(415円)なのに対し、ラッキンコーヒーのアメリカンコーヒーは類似サイズで1杯21元(349円)と割安。さらに、アプリ内のプリペイド機能を使うと、クーポンを使ってより安く買うこともできる。プリペイド機能を使ってコーヒーを2杯買えば、1杯無料でもらうことも可能だ。

星巴克的美式咖啡是25元(415日元),与之相对瑞幸咖啡更为便宜,差不多大小的美式咖啡1杯21元(349日元)。另外,使用APP中的预付功能,可以用优惠券让价格更便宜。使用预付功能也可能获得买一送一的福利。

顧客の支持を得て、一気呵成に拡大をもくろむラッキンコーヒー。ただ、勢いはあるものの、現状はまだ赤字のもよう。ラッキンコーヒーは業績を公表していないが、「2018年の1月から9月の累計収入は3.75億元(62億円)、純損失は8.57億元(141億円)だったようだ」と、東洋証券の奥山要一郎氏は語る。

瑞幸咖啡获得了顾客的支持,快速壮大了业务。不过瑞幸咖啡虽势如破竹,但现在仍然是赤字状态。虽然并没有公开业绩,但东洋证券的奥山要一郎表示“(瑞幸咖啡)2018年1月至9月的累计收入是3.75亿元(62亿日元),纯损失是8.57亿元(141亿日元)。”

奥山氏は「中国の新興企業には『目立ってナンボ』という風潮がある。ラッキンコーヒーも赤字覚悟でクーポンをばらまいている」と指摘する。クーポンのばらまきを減らしても顧客から支持を得ることができるのか、今後問われることになる。

奥山指出“中国新兴企业流行'不惜一切来吸引注意'。而瑞幸咖啡也是以亏本为觉悟来派发优惠券的。”瑞幸咖啡今后的课题是“减少优惠券后能否继续得到顾客的支持”。

一方で、スタバは上海に、コーヒーの製造過程を見ることができる体験型店舗「スターバックス リザーブ ロースタリー」を2017年12月に開業した。さらに昨年8月には、現地eコマースの最大手であるアリババグループと戦略提携を発表。9月中旬から、アリババと組んで配送サービスを始めている。

另一方面,星巴克于2017年12月在上海开设了能看见咖啡制作过程的体验店“星巴克臻选上海烘焙工坊”。且去年8月,宣布与中国最大的电商阿里巴巴集团进行战略合作。9月中旬起与阿里巴巴联合的配送服务正式启动。

ライバルはほかにもいる。マクドナルドは中国全土で2900店以上を展開中(2018年11月時点)。同社が扱うアメリカンコーヒーは類似サイズで21元(349円)と、ラッキンコーヒーと同額だ。マクドナルドも、運営する「マックカフェ」の出前アプリを使って、一部店舗でカフェの配達を始めた。

此外,瑞幸还有别的竞争对手。麦当劳在中国共开设了2900家以上的门店(截止至2018年11月)。麦当劳的“美式咖啡”与瑞幸的大小差不多,且同样是21元(349日元)。麦当劳也推出了McCafé的外卖APP,在一部分店铺开始咖啡的外卖服务。

ラッキンコーヒーが展開を強化する競合から抜きん出るためには、価格とは別の差別化が必要になってくるだろう。

瑞幸咖啡要在愈演愈烈的市场竞争中脱颖而出,比起价格,寻求其他方面的差异性越发重要。

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