近年、若い女性の間で、自撮りカメラや画像編集などのアプリを駆使して、自分の容姿を可愛らしく加工して「盛る」ことが流行っています。

近年来自拍相机与修图软件盛行,在年轻女性间流行把自己“修饰”得更加可爱。

自らの容姿を勝手に「編集」されたことへの怒り

对擅自过分“美图”的愤怒

2019年3月7日、女優のジャミーラ・ジャミールさんが、自身の加工された写真について「自分はこんな容姿じゃない。これは死ぬほど編集されている。こんなものを信じないで」と怒りを表すツイートを投稿しました。

2019年3月7日,女演员杰米拉·杰米露针对自己过度美图的照片愤怒发推“我不长这样,这图修得太过分了。别相信这种鬼东西!”

投稿された写真は、実際の彼女の外見よりも腕を細くしたり、肌の色を薄くしたりと「理想的」と思われるような編集がなされており、ジャミールさんは、「こんな編集をされた写真を見たら精神的にすごく落ち込む。この写真のような人間にならなきゃいけないと思ってしまう」とコメントしています。

投稿的照片比实际上的她手腕更纤细,肤色更浅,被修成了大众“理想型”。杰米露对此评论:“看到这种修过的照片非常失落,会产生不得不变成照片中那样的人的想法”

加工で作り出された「完璧な容姿」の危険性

修出的“完美外表”的危险性

ジャミールさんは10代のころに長期にわたる摂食障害に苦しんだという過去を持っています。この経験から彼女は「自分のありのままの姿を受け入れよう」という考え方に賛同し、メッセージを発信してきました。

杰米露在十几岁的时候有很长一段时间受厌食症的折磨,这种经历让她赞同“接受自己原本的长相”这种思维方式,并在公众前说出了这种看法。

雑誌に載っているモデルの「完璧」な容姿に憧れて、それが編集されたものだと気づかずに多くの女性が無理なダイエットをして苦しむことになる。彼女はそう説明し、見た目を大幅に変えるような画像加工の危険性を訴えています。

因憧憬杂志上刊登的模特的完美容颜,却并未意识到那是P过的,导致许多女性苦于无谓的减肥。她指出这点,并控诉过度修图的危害。

ジャミールさんの投稿には6万回以上の「いいね」がつくなど大きな反響があり、同意の声や「モデルの美しい容姿を見慣れているせいで自分の容姿が好きになれない」という悩みを訴える投稿が多く見られました。

杰米露的投稿点赞超过6万次,引起了极大反响,网友对此表示赞同,也有很多人诉说了他们的苦恼:看惯了美丽的模特于是无法喜欢上自己的外表。

有村藍里さんが美容整形を受けた理由

有村蓝里靠整容火了的原因

「完璧な容姿」といえば、日本でも最近、話題になった女性がいます。

说到“完美的长相”,日本最近有位女生引发热议。

タレントの有村藍里さんが2019年3月3日、自身のブログにて美容整形を受けたと発表したことが大きなニュースになりました。

艺人有村蓝里于2019年3月3日在自己的blog上承认整过容,这成了巨大的新闻。

彼女は有名女優・有村架純さんの実の姉です。もともとこのことは公表していませんでしたが、3年ほど前、新聞記事によってこの関係が暴露されてしまいました。このことで「有村架純の姉」として注目されるようになると、彼女に対して「口元が残念」などと容姿を誹謗中傷する声が多く届くようになり、だんだんと自分の容姿に自信が持てなくなってしまったそうです。

她是有名的女演员有村架纯的亲姐姐。本来这件事未被公布,但约在三年前因为新闻报道关系曝光。因此她开始作为“有村架纯的姐姐”受到关注,很多人喷她颜:“嘴长得太抱歉了吧”,导致她渐渐对自己的容貌失去了信心。

手術後、彼女は「勇気を出してコンプレックスな部分を変えた。口紅を塗るのが楽しくなった」などと嬉しそうに話し、手術してよかったときっぱり言い切っています。

术后她欣喜地说道:“鼓起勇气整了让我自卑的部位,现在涂口红都变成享受了”,直言“整容真是太好了”。

コンプレックスを解決するための美容整形

为解决自卑问题的整容

こうして彼女は美容整形という手段を通して自らのコンプレックスを解決することに成功したわけですが、そもそも彼女のコンプレックスは、人々の容姿に対する誹謗中傷からできてしまったものではないでしょうか。

像这样她通过整容手段成功解决了自己的自卑问题,不过她的自卑原本不就来自于人们对其容貌的恶意中伤吗?

他人から「完璧」な容姿を求められたことによって、自分自身も「完璧な容姿であるべきだ」「完璧じゃない自分は醜い」と思い込み、苦しむようになってしまう。美容整形を受ける理由は人によってさまざまでしょうが、このような理由を持つ女性も少なくないのではないかと思われます。

因为被其他人要求容貌“完美”,自己也会认为“我应该长得完美”“不完美的自己太丑了”,从而变得痛苦。接受整容的理由因人而异,但我认为有不少女生是基于这种理由的。

前出のジャミールさんは、「完璧な容姿」への複雑な思いから摂食障害になってしまいましたが、「完璧な容姿」を追うあまり、自分は醜いと思い悩み、美容整形を繰り返す女性の存在も、同じような根っこを持つ問題ではないでしょうか。

上述的杰米露也是纠结于“完美的容颜”才患上厌食症的,过度追求“完美容颜”,苦恼自己太丑,从而不停整容的女生,她们都存在同样的问题。

どこからが「過度な整形」?

整到什么程度算是“整容过度”?

ジャミールさんの投稿には多くの「いいね」がつき、また容姿について誹謗中傷を受けた有村藍里さんには同情的な声が多く寄せられていることからもわかるように、「完璧な容姿」を追い求めることに疑問を抱く人は少なくないようです。

杰米露的投稿收获很多赞、以及被喷颜的有村蓝里获得同情这些容易理解,但可能有许多人对追求“完美容貌”存在质疑。

一方で、外見の一部が重視されることや、それを気にして容姿を「完璧」に修整することが、一概にすべて批判されているわけでもありません。

但我们并非以偏概全,批判所有重视外貌或对其进行修饰以求“完美”的人。

たとえば、歯の矯正は最もポピュラーな「整形」と言えるのではないでしょうか。「芸能人は歯が命」という言い回しもあるように、歯は真っ白で綺麗に並んでいることが理想の形とされています。歯並びを治すために高額な歯科矯正を経験した人も決して少なくはないでしょう。

例如牙齿矫正可谓是最流行的一种“整容”。正如“对艺人来说牙就是命”这句话所说,牙齿洁白、排列整齐是理想状态。肯定有不少人为矫治牙列不齐进行了高额的牙齿矫正。

(被日本男性票选出的“美牙”上户彩)

また、アメリカでは日本よりもずっと「美しい歯を持つこと」への意識が高く、歯科矯正はごく当たり前の行為として受け入れられています。「歯並びがいい=歯の矯正を受けられるほど裕福な家庭に育った」として、育ちの良さをアピールできる一種のステータスにもなっているそうです。

再者,美国人比日本人更具有“有一口漂亮的牙齿”的意识,牙齿矫正被当做理所当然的行为被大众所接受。“牙齿整齐=在可以进行牙齿矫正的富裕家庭长大”,这已经成为展示成长环境的一种身份标志了。

このように、「完璧」を求めて容姿を修整する行為の中には一般的なものもあり、どこからが過度といえるのか、程度の線引きをすることは難しいものです。

追求“完美”进行整容的行为中也有如同这样一般被普遍认可的,很难说从哪开始就算过度、哪里算是分界线。

自分の「ありたい姿」で生きられる社会に

建设能以自己“本来面目”生存的社会

2014年に国際美容外科学会が発表したランキングによると、日本はアメリカ、ブラジルに次いで、世界で3番目に美容整形が多く行われているそうです。ただ、これはシミ取りやレーザー脱毛などの「プチ整形」も含んだもので、メスを使った外科手術での整形の件数は世界平均を下回っています。

根据2014年国际美容外科学会发布的排行榜,日本是继美国、巴西之后世界第三大整容大国。但这是把祛斑、激光脱毛等“微整形”都涵括进去了的。动刀子的外科整容则低于世界平均水平。

(从小美到大的纯天然美少女桥本环奈)

「ありのままの美しさ」を重視するあまり「親からもらった体にメスを入れるなんてとんでもない」と美容整形を忌避したり、美容整形を受けた人を「天然の美人じゃなきゃ意味がない」と批判する風潮は、日本ではよく見られるものです。

日本已经形成了这样的风潮:太过重视“天然美”,以致忌讳整容,认为“身体发肤受之父母,竟然动刀子,简直不可理喻”,或对整过容的人进行批判“不是天然的就没意义”。

ただ、「ありのままの姿であるべきだ」という考え方も、他人の勝手な理想の押し付けとも言えるかもしれません。そもそも整形を受けるかどうか、どのような姿でいるかということは、本来その人自身の自由であるべきでしょう。

一味认为“应该保持本来的样子”,可谓是把自己的想法强加到别人身上。话说整不整容,以什么样的姿态示人,本来就应该是那个人的自由。

他人からどう見られるかを気にして、「完璧な容姿」に縛られて無理をしたり、生まれ持った容姿が自分の望まない姿であることに悩んだりするような人々が減り、自分が本来そうありたいと願う姿で自由に生きられるような社会になればいいですね。

希望“在意他人眼光,被“完美容颜”束缚痛不欲生、烦恼自己天生容貌”的人越来越少,能够建成以本来面目自由生活的社会就好了。

本翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

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