持ち場にもよるが、20年前はスーツを常用する新聞記者はそれほど多くなかったと思う。現場で動きやすい軽装が一般的で、使い込んで、戦友のようになった一着があったものだ。

虽然根据工作岗位的不同而不同,但笔者认为20年前把西装作为常用服装的新闻记者并没有那么多。在现场穿容易活动的轻装是很一般的,习惯了之后,有一件衣服就好像是自己的战友一样。

実際、その薄手のブルゾンは、持ち主の分まで戦っているように見えた。20年前の憲法記念日、朝日新聞の阪神支局が襲撃(しゅうげき)され、記者2人が死傷した。29歳で命を絶たれた小尻知博記者の上着が、支局にある襲撃事件資料室で初めて公開された(3日まで)。

实际上,看到那件轻薄的防寒夹克就如同它的主人在战斗一样。20年前的宪法纪念日,朝日新闻的阪神分局遭到袭击,有2名记者死伤。29岁死亡的小尻知博记者的上衣在分局的袭击事件资料室首次公开展出(3日为止)。

サイズはM。左ポケットのわきに、卵大の穴が開いている。至近距離から放たれた400粒の散弾が、ひとかたまりで脇腹(わきばら)に飛び込んだ跡だ。色あせた青い木綿の生地は、運ばれた病院で切り裂かれ、左半分が褐色(かっしょく)に染まっている。展示ケースに収める前、手にとり、そっと顔を近づけてみた。古着(ふるぎ)のにおいだけがした。

衣服的尺寸是M。左边荷包的旁边有一个鸡蛋一样大的洞。这是从近距离射出的400粒散弹一小撮射入腹部的痕迹。褪色了的青色木棉衣料在送去治疗的医院被剪开,左边一半染上了褐色。衣服被收在展览箱之前,笔者将它那在手上,悄悄地靠在脸旁边,只感到有旧衣服的味道。

事件の1週間前、統一地方選挙の開票日に支局で撮られた写真が、小尻記者の残像(ざんぞう)として広まった。書棚の前で左手に紙を持ち、はにかむように笑いながら、記者はあのブルゾンを着ている。京都の百貨店で買ったという分身(ぶんしん)は、時を超え、忘れてはならない怒りを発信し続ける。

袭击事件发生的1周前,统一地方选举的开票日时在分局照得相片,作为小尻记者的遗像广为流传。他在书架前左手拿着纸,腼腆地笑着,穿着那件防寒夹克。这件在京都百货店买的夹克,是小尻记者的一个延续,表达了即使时间流逝也不可忘记的愤怒。

小尻記者のもう一つの分身、当時2歳だった一人娘はこの春、父親と同じメディアの道に進んだ。一連の朝日新聞襲撃事件はすべて時効となったが、表現と言論の自由を守る闘いに終わりはない。

小尻记者的另一个化身,他当时2岁的独生女于这个春天和父亲踏上了同样的媒体之路。一系列的朝日新闻袭击事件已经全部过去了,但保护表现言论自由的战斗没有终点。

憲法は明日、施行60年を迎える。その半分も生きられなかった仲間の無念を引き取り、彼のブルゾンを心に羽織って(はおる)歩いてゆこうと思う。

明天将迎来宪法执行的60周年。带着连这一半的时间都没有活到的伙伴的悔恨,心里披着他那件防寒夹克,慢慢地走下去。

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