方向を表す「に」と「へ」

表示方向的“に”和“へ”

Q:台風の進路を伝えるときは、「北向かっている」と「北向かっている」のどちらがよいでしょうか。

Q:在传达台风走向的时候,“北向かっている”和“北向かっている”哪种表达更恰当?

A:どちらも使えますが、どちらかというと「北向かっている」のほうがいいかもしれません。

A:两种表达都可以使用,非要说的话“北向かっている”的表达或许更恰当一些。

<解説>

<讲解>

「北向かっている」と「北向かっている」の「に」と「へ」は格助詞で、いずれも、「向かう」という移動を表す動詞の到達点や方向性を示しています。一般的に、「に」が到達点そのものに焦点が当てられているのに対して、「へ」はそれよりも広い範囲、つまり到達点とともにそれに向かう経路や方向性に焦点が当てられています(『みんなの日本語事典』参考)。台風の進路を伝える場合は、台風が向かう到着点が決まっているわけではなく、重要なのは「向かう方向」なので、どちらかというと「北へ向かっている」のほうがいいかもしれません。しかし、こうした「に」と「へ」の意味の使い分けは現代では、たいへんあいまいです。

“北向かっている”和“北向かっている”中的“に”和“へ”都是格助词,他们都表示比如“向かう”这样的移动性动词的着落点或者这个动作所指的方向。一般来说,“に”着重表示动作的着落点,而相比之下,“へ”表示的范围更广,也就是说“へ”表示动作的着落点以及动作经过的路径和方向(参考《みんなの日本語事典》)。在传达台风走向的时候,台风朝向的目的地并不确定,重要的信息是“台风行进的方向”,因此,非要从“に”和“へ”选一个的话,似乎是“北へ向かっている”这样的表达更为恰当。但是现在, “に”和“へ”的区别非常的含糊不清。

『日本語文法大辞典』によると、「へ」は、もともとは、名詞、特に場所を示す語に付いて、「道の辺(へ)」「浦の沖辺(へ)」などと用いられた名詞「へ(辺)」が格助詞に転成したもので、奈良時代から平安時代にかけて成立したとあります。移動の意を持つ動詞とともに使われ、その動作の方向を示す働きが本来のものでした(万葉集の「新羅へか家にか帰る壱岐の島行かむたどきも思ひかねつも<新羅へ行くか家に帰るか、行く手がかりも思いつかない>」には、本来の「へ」と「に」の使い分けが示されています)。それが、平安時代中期頃からは、「へ」が、本来、動作の帰着・到着点を示す格助詞「に」の用法に侵入して、「帰着・到着点」を示すようになり、現代の「に」と「へ」の使い分けのあいまいさにつながっていると、同辞典では解説しています。

根据《日本語文法大辞典》的解释,从奈良时代到平安时代,主要接在表示场所的词语后面比如“道の辺(へ)”、“浦の沖辺(へ)”等等的名词“へ(辺)”渐渐向格助词转化,最后形成了“へ”这个格助词。格助词“へ”本来是与移动性动词一起使用,表示这个动作的方向(万叶集中的“新羅へか家にか帰る壱岐の島行かむたどきも思ひかねつも<新羅へ行くか家に帰るか、行く手がかりも思いつかない>”这一诗句,给出了一开始的“へ”和“に”的区别用法)。但是,从平安时代中期开始,“へ”被本来表示动作的归结、着落点的格助词“に”所影响,变得也具备“に”的含义了,现在“に”和“へ”已经相互渗透,区分不清了,这些在《日本語文法大辞典》中均有说明。

「明日、東京行く」と「明日、東京行く」では、意味を伝えるうえでは、どちらを使っても支障はありません。しかし、「へ」を使った前者は「方向としての東京」を示すのに対して、「に」を使った後者には、「ほかのどこでもない、東京」という到着点が強調されるニュアンスがあります。また、『明鏡国語辞典』(第2版)では、動きの展開をする方向を特に表す「前へ前へ突き進む」「公益法人、民営化の方向へ」などでは「に」は不自然になるとされています。場面によっては、こうしたニュアンスを考慮して、「へ」か「に」かを選ぶことも必要でしょう

“明日、東京行く”和“明日、東京行く”这两种说法在意思的传达上都没有问题。不过,使用“へ”的前一种说法,表示的是“东京的方向”,而使用“に”的后一种说法,有强调“不是别的地方,正是东京”的细微差别。另外,《明鏡国語辞典》(第2版)中,强调动作进展方向的“前へ前へ突き進む”(不断前进)、“ 公益法人、民営化の方向へ”(公益法人,朝着民营化方向发展)之类的句子中,使用“に”则显得不自然了。因此我们有必要根据不同场合,推敲诸如此类的细微差异,之后选择使用“へ”还是“に”

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