8月24日から東京の国立新美術館で「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」が開催される。国立美術館としては、手塚治虫以来28年ぶりとなる漫画家の個展。週刊少年ジャンプ黄金期を支え、30年以上も続く「ジョジョの奇妙な冒険」が主役だ。単行本は通巻120巻を超え、スピンオフ作品も生まれた。各界を代表するクリエーターや漫画界でもファンを公言する人が多い。独特の絵柄とストーリー展開から「ジャンプでは異端」の作品と呼ばれながらも、荒木さんは「これ以上、王道の漫画はない」と断言する。

8月24日开始东京国立新美术馆将举办《荒木飞吕彦原画展 JOJO 冒险的波纹》。对于国立美术馆来说,这是自手冢治虫以来28年未曾有过的漫画家个展。支撑着周刊少年JUMP的黄金期,连载30年以上的《JOJO的奇妙冒险》是这次的主角。单行本总数超过120卷,还出了外传。也有不少各界精英和漫画家公开表明粉丝身份。独特的画风和故事展开,其作品被称为“JUMP中的异端”,荒木则断言“没有比这更王道的漫画了”。

王道に反する「異端」

反王道的“异端”

58歳になる荒木飛呂彦さんは窓際にある大きな机でペンを走らせていた。机上には作画の参考にした馬のフィギュアと折り紙のカエルがある。

58岁的荒木飞吕彦在窗边巨大的桌上飞舞着画笔。桌上放着作画参考用的马的模型和纸折的青蛙。

細部の「リアリティー」が作品の生命線であり、世界を支える。そんな強いこだわりが垣間見える机だ。

细节的“真实”是作品的生命线,支撑着世界观。其讲究从书桌就可见一斑。

「僕にはこの机さえあればいい。そうすれば漫画が描けるから……」

“我有这张桌子就够了。这样就能画漫画了...”

描いているのは、連載中の「ジョジョの奇妙な冒険」第8部に当たる「ジョジョリオン」の最新話だった。原画展を前に、ミステリアスな物語は終盤に差し掛かっている。

正在创作的是连载中的《JOJO的奇妙冒险》第8部”JOJOLION“最新一集。在原画展前,神秘的故事即将收尾。

人気がなければ容赦なく打ち切られる少年漫画誌を中心に、荒木さんは30年以上にわたって「ジョジョ」の物語を描いてきた。今でこそ多くの人がファンを公言しているが、長く「異端」の存在だった。クラスの大半が話題にしあう作品というよりは、数人がひっそり集まって「実は『ジョジョ』好きなんだよね」「俺も」と打ち明け合うような、そんな漫画だった。その理由は独特の設定とストーリー展開だ。

在没有人气就会被腰斩的少年漫画杂志上,荒木连续30年以上创作着《JOJO》的故事。虽然现在有很多人公开表明粉丝身份,但在很长的一段时间里这部作品都被认为是“异端”的存在。比起全班大部分人都讨论的作品,JOJO是一部几人悄悄聚在一起说出“其实我挺喜欢jojo的“,”我也是“的漫画。其理由是独特的设定和故事展开。

連載開始は1987年。その4年前に連載が始まった「北斗の拳」がテレビアニメ化されて大ブレイク。3年前には「ドラゴンボール」が、2年前には「聖闘士星矢」がスタートしていた。荒木さんいわく、「少年漫画に集まった天才たち」による大ヒット作が次々に生まれた時代だ。

1987年开始连载。早它4年开始连载的《北斗神拳》动画化之后人气暴涨。另有此前3年开始连载的《龙珠》,2年前的《圣斗士星矢》。可以说,荒木生活在“少年漫的天才们”相继创作出大热作品的时代。

主人公が敵を倒す。するとさらに強い敵が現れ、その先にさらに強い敵が現れる、いわゆる「トーナメント方式」でストーリーが展開される漫画こそが少年漫画の「王道」で、部数も人気も集中した。読者が共感しやすいように、主人公は日本人の少年か青年であることが多い。舞台設定は、学校や身近さを感じさせる町だった。

主人公打败敌人。之后出现更强的敌人,之后出现更更强的敌人,即以“淘汰赛”的形式展开的漫画才算得上“王道”少年漫,发行量和人气都相当可观。为了让读者产生同共鸣,主人公多为日本少年或青年。舞台设定大多是学校或熟悉的街道。

「ジョジョ」は、いずれの点でも王道に反していた。

无论从哪一点看,《JOJO》都是反王道的存在。

30年以上続く物語は、こう始まる。舞台は19世紀、1880年のイギリス。父の死をきっかけに名門貴族ジョージ・ジョースター卿の養子となった貧民街出身の少年ディオ・ブランドーは、ひそかにジョースター家の乗っ取りを計画。少しずつ、ジョージの一人息子、ジョナサン・ジョースターを追い詰めていくが――。

持续30年以上的故事,从这里开始。舞台为19世纪,1880年的英国。以父亲的死为契机,平民窟出身的少年迪奥·布兰度成为了名门望族乔治·乔斯达的养子,秘密计划着夺取乔斯达家的一切。一点一点,将乔治的独子乔纳森·乔斯达逼上绝境。

「ジョジョの奇妙な冒険」第1部「プロローグ」から。ジョナサン(上)とディオの出会いのシーン

图为《JOJO的奇妙冒险》第1部“序章”。乔纳森(上)和迪奥相遇的场景

しかし、と荒木さんは断言する。

但是,荒木断言道

「これ以上、王道の漫画はない」

“没有比这更王道的漫画”。

それはなぜか?

这又是为什么?

「トーナメント方式」全盛時代を乗り越える

超越“淘汰赛式”的全盛时期

初代「ジョジョ」担当にして、デビュー前から荒木さんの作品を見てきた編集者、椛島良介さんは当時をこう振り返る。

负责初代《JOJO》,从出道前就一直看荒木作品的编辑,椛岛良介如此回忆当时的情形。

「早々に打ち切りを覚悟したし、設定にも懸念があった」

“早就有了被腰斩的觉悟,对设定也有担忧“

根拠はあった。荒木さんの「ジョジョ」以前の連載はいずれも短命に終わっている。椛島さんは理由をこう分析する。

这也是有根据的。荒木在《JOJO》之前的每一部连载都很短命。椛岛对理由是如此分析的。

「魅力的なキャラクターが足りなかった。主人公がいくら立っていても、それに並び立つようなライバルや敵キャラがいなければ成立しない。そこにきて次の作品は19世紀のイギリスを舞台に貴族が主人公だと言う。心配になりました。外国人の主人公が成功するわけない」

“缺少有魅力的角色。无论主人公做什么,没有和他等级相同的对手和敌人就没法成立。在这样的情况下,荒木说下部作品的主人公决定是以19世纪的英国为舞台的贵族。我就很担心。以外国人为主人公是不会成功的。”

しかし、荒木さんは折れなかった。

但是,荒木没有退缩。

「だったら、とスタートしました。ストーリー展開はもともと高く評価されていましたから、当時の編集長からもOKが出た。これまでと違うと思ったのは悪役です。ディオという悪役が実に良かった」

“既然这样,就开始吧。因为对故事展开的评价本来就很好,所以当时的主编同意了连载。和之前有所不同的是反派角色。迪奥这个反派实际上非常好。”

椛島さんは、少年漫画のキャラクターで魅力を高めるのは悪役なのだ、と語る。

椛岛说,其实是反派提升了少年漫画角色的魅力。

「貴族のジョナサンは間違ったことができず、常に紳士でないといけない。正論ばかり言う『良い子キャラ』では共感を得られない。人間を超えたいと願う悪役のディオが対比して置かれることで、ストーリーが輝く」

“身为贵族的乔纳森不能犯错,必须时常保持绅士风范,但老说大道理的“好孩子角色”是不能让读者产生共鸣的。所以将其和想要超越人类的反派迪奥放在一起对比,使故事出彩。“

それでも、「ジョジョ」の人気はなかなか出なかった。

然而《JOJO》依旧人气不高。

ここで荒木さんは、椛島さんも驚く手を打つ。主人公の交代だ。

此时荒木的做法让椛岛也惊奇地拍手叫好。那就是主人公的交替。

ジョナサンが主人公の第1部から、第2部はジョナサンの意思を受け継ぐ子孫、ジョセフ・ジョースターを主人公にした明るい冒険活劇で物語を盛り上げた。

乔纳森是第1部的主人公,第2部则是继承乔纳森意志的子孙,乔瑟夫·乔斯达为主人公,展开明朗的冒险故事。

これが同時に、トーナメント方式を回避するという効果をもたらした。以降、「ジョジョリオン」に至るまで8人の主人公を通して「ジョジョ」は描かれてきた。

与此同时,也回避了淘汰赛式的故事结构。从此,到《JOJOLION》为止通过8名主人公来描绘《JOJO》的故事。

荒木さんが振り返る。

荒木回顾道。

「当時はバブルに向かうころでしたから、時代の空気は上へ、上へと向かっていたんです。トーナメント方式を採用したマンガは時代の空気と重なっていました。僕はその空気に乗れなかった。上に行ってもいずれ頭打ちになったら、どうしたらいい?って考えてしまうんです」

“当时正值泡沫经济的高潮,时代的氛围是不断朝着上方前进的。淘汰赛式的故事正好和当时的氛围重合。但我没有迎合这种氛围。就算迎合了这种氛围也会有极限,所以好好思考了该怎么做。“

だからこそ、時代に流されず、自分が描きたい漫画を描くことが大事だったのだという。

所以,不随时代潮流,画自己想画的漫画才是最重要的。

「僕はサスペンスを描きたいのであって、それ(トーナメント方式)は描きたい漫画ではない。自分が描きたいものがぐらついたら漫画は終わりです」

“我想画悬念,那种(淘汰赛式)不是我想画的漫画。如果不是自己想画的,那漫画也就结束了。“

そして「スタンド」でブレーク

然后“替身”大红

信じたものを描き続けることで、やがてブレークの時がやってくる。

一直坚持画自己想画的东西,终于迎来了自己的繁盛期。

ロードムービーの手法を取り入れ、ジョースター家の血統を継ぐ日本の高校生・空条承太郎が仲間とともに、よみがえった一族の宿敵・DIO(ディオ)を倒すべくエジプトに向かう第3部が転機になる。

选取公路电影的手法,继承了乔斯达家族血统的日本高中生·空条承太郎和伙伴一起为了打倒复活了的家族宿敌·DIO向埃及进发的第3部成为转机。

「ジョジョ」の世界観を象徴する、超能力を擬人化した「幽波紋(スタンド)」というアイデアが初めて使われた。椛島さんは「これでヒットだ」と思ったという。

象征着《JOJO》的世界观,首次将超能力拟人化“幽波纹(即替身)”的主意。让椛岛觉得“这个能行”。

「1部と2部で使っていた『波紋』という超能力は地味で、荒木さんのストーリーの面白さを引き立てるのに、これではダメだと思った。だから3部では新しいアイデアにしてくれ、と言いました。そうして誕生したのがスタンド。誰も見たことがない発想だし、3部にして主人公も悪役もハマっている」

“第1部第2部使用的”波纹“超能力很不起眼,要衬托出荒木故事的有趣性,这样是不行的。于是被要求第3部要有新的创意。于是替身诞生了。谁都没见过的表现方式,第3部的主人公和反派都令人着迷。“

スタンドの能力は人それぞれ違う。力と力がぶつかり合い、力が強いものが勝つという少年漫画のパターンをなぞるのではなく、能力同士の相性や知恵を使う頭脳戦というメソッドを確立した。

替身的能力因人而异。并不是力和力的碰撞,力量更强的一方获胜的少年漫模式,而是采用了同样拥有超能力的人利用其属性和智慧的头脑战。

弱すぎるがゆえに逆に手ごわくなる敵キャラクター、トランプやテレビゲームまでバトルのなかに取り入れた。頭脳戦は今でこそ、多くの少年漫画が採り入れている方法だが、その道を切り開いたのは「ジョジョ」だ、と言えるかもしれない。

由于太弱反而棘手的敌人,甚至在战斗中加入了扑克和电视游戏。头脑战如今是很多少年漫画会采用的方法,而开辟出这条道路的可以说就是《JOJO》了。

荒木さんは言う。

荒木说。

「波紋はダメだと言われたので、どうしたらいいのだろうと考えました。超能力を漫画で表現するという発想の延長で擬人化はどうだろうと思い付いたのです。ジャンプでは、他の先生方のアイデアを使ったと思われることもNGでしたから、絶対にやってないことをやろうと思った。それもあってか、はじめはスタンドとは何かがほとんど理解されなかった。『スタンドってなんなの?』ってよく聞かれましたよ」

“编辑说波纹不行,我就思考该怎么办。从用漫画表现超能力的想法到考虑拟人化会怎么样。在少年JUMP,用其他大师的想法肯定是不行的,就想着一定要做没做过的事。因此有了替身的创意,不过一开始谁也不理解替身是什么。经常被问”替身是什么?“。

承太郎たちがエジプトに向かうまで、インドなどをすごろくのように訪れ、そこで戦う。トーナメント方式のように次から次へ強いキャラクターやスタンドが出てこなくてもストーリーはうまく展開する。

承太郎他们在去往埃及的途中,像玩大富翁似地途经印度等地,然后在那里战斗。即使不采用淘汰赛的方式让强敌或替身逐一出现,也能使故事展开。

荒木さんは戦いに「必然性」があればいいと考えていた。力が強い敵が単純に出てくるより、能力を生かした敵のほうが「怖い」。怖さがあれば、物語は前に進んでいく。

荒木认为战斗是有“必然性”的,比起力量强大的敌人单纯地发起进攻,能活用能力的敌人才“恐怖”。只要有恐惧,故事就能继续向前。

大人気となった第3部でもDIOを倒して、物語は潔く完結する。第4部では設定も大胆に切り替え、日本の杜王町という小さな町を舞台にした。高校生の主人公・東方仗助が町に潜む連続殺人犯を探し出すという、サスペンス色を強めた展開を採り入れた。

极受追捧的第3部也是在打倒DIO以后,很干脆地结束了故事。第4部大胆转换设定,以日本杜王街一个小街道为舞台。采用了高中生的主人公·东方仗助找出潜伏在街道中的连续杀人犯,这样充满悬疑色彩的展开。

荒木さんは、2000年に出版された画集『JOJO A-GO!GO!』のなかで、好きなキャラクターの1位に東方仗助を選んでいるほど思い入れが強い。

荒木在2000年出版的画集《JOJO A-GO!GO!》中,把东方仗助选为最喜欢的角色第一名,可见一斑。

「第4部は初めて日常を描くことができたって思ったんですよね。それまでは神話を描いているような気分だったんです。承太郎はクールで、ある意味で完成されている。でも仗助はその辺(空いている椅子を指さす)にいるような感じ。すぐそばにいるキャラクターなんです」

“第4部开始想要描绘一下日常生活。到目前为止都是在描绘神话的感觉。承太郎很酷,某种意义上是相当成熟,已经完成的角色。但仗助就好像生活在那边(指着空椅子)的感觉。是就在身边的角色。“

日常に潜む恐怖を描ける力を付けたことで、「ジョジョ」の型は完成し、第8部まで新しい要素を貪欲に取り入れながら物語は進む。

增强了潜伏在日常中的恐怖描写,《JOJO》的型已定,到第8部为止一边添加新的要素,一边让故事发展。

「常に前向きでなくてはいけない」

“不经常向前看是不行的”

主人公も設定も変わるのに、なぜ一本の漫画として続けているのか。それは「人間賛歌」という一貫したテーマがあるからだ。過去の著作で荒木さんはこう語っている。

主人公和设定都变了,为什么还能作为一部漫画继续下去呢。那是因为“人间赞歌”这一贯彻的主题没变。在过去的著作中荒木如此说道。

「『人間は素晴らしい』という前向きな肯定です。何かの困難に遭ったとき、それを解決し、道を切り拓いていくのは人間の力によるのであって、そこで急に神様が来て助けてくれたり、魔法の剣が突然落ちてきて、拾って戦ったら勝ってしまった、という都合のいい偶然は『ジョジョ』ではけっして起こりません」(『荒木飛呂彦の漫画術』から)

“‘人类是了不起的”这是积极的肯定。遇到了什么困难,解决它,开辟道路依靠的就是人类的力量,像突然有神仙相助、突然掉落魔法之剑,捡起来战斗取得胜利这种偶然的好运气在《JOJO》里是绝不会发生的。“(选自《荒木飞吕彦的漫画术》)

作品を貫くテーマがあり、少年漫画のルールにのっとっているからこそ、ジョジョは「王道」なのだと荒木さんは語る。

作品有一致的主题,且依照着少年漫画的规则,所以荒木才说JOJO是“王道”。

「僕が『ジョジョ』を王道だと呼ぶのは、主人公、悪役であってもキャラクターの志は前向きだからです。人生に悩むのは普通のことなので、退屈になってしまう。前向きな志同士がぶつかり合うことで、化学変化やサスペンスが生まれると思って描いています。大原則は成長すること。闘うことに悩まないこと。そして、闘うときは孤独であることです」

“我之所以把《JOJO》称为王道,是因为无论主人公还是反派的意志都是向前的。对人生感到烦恼是很普通的一件事,故事会变得无聊。拥有前进意志的同士相互碰撞,产生化学变化和悬念。大原则是成长。对战斗不犹豫。以及战斗是孤独的。“

「ジョジョ」の登場人物は主人公であれ、悪役であれ、「血統」や「運命」といった自分の力ではどうすることもできない現実に直面しながら、それに抗い、自らの力で道を切り開こうとする。

《JOJO》里的登场人物不管是主人公还是反派,直面“血统”和“命运”等凭自己的力量无法解决的现实,与之对抗,用自己的力量开辟道路。

「少年漫画の登場人物は常に前向きでなくてはいけないというのがルールです。後ろ向きになる、闘うことを悩み続けるというマイナスな要素を入れ込むと、読者はうんざりしてしまう。『ジョジョ』はこのルールに忠実にのっとっている。だから、王道だと言ってきました。主人公たちを過酷な状況に追い込み、成長しながら道を切り開かせる。闘うときに、偶然や誰かに頼っているようでは『ジョジョ』は成立しません。1人で立ち向かわなければいけないのです」

“少年漫画的规则是登场人物必须积极向上。如果加入了消极,对战斗感到苦恼等负面要素,读者就会厌烦。《JOJO》忠实地遵守着这个规则。所以说是王道。主人公们被要求直面严酷的状况,一边成长一边开辟道路。战斗时,依靠偶然或者他人的话就不是《JOJO》了。不能独自面对的话是不行的。“

悪役さえ前向き

连反派也不服输

荒木さんは、悪役であってもこのルールを適用している。

荒木说,反派也适用于这个规则。

「例えば第4部のボスである連続殺人犯、吉良吉影がそうです。吉良がやっていること自体は許されないのですが、彼には反省も迷いもありません。自分自身を認めているんですね。自分自身の平穏な生活のために、主人公たちに追い詰められてもなお闘いに挑み、自分で道を切り開こうとする。だからスタンド能力も成長していくんです」

“比如,第4部的反派连续杀人犯吉良吉影。吉良所做的事情本身是无法原谅的,但他不反省不迷茫。自己认可自己。为了自己平稳的生活,被主人公们追击且迎击,自己开辟道路。所以替身的能力也在不断成长。“

善か悪かは実のところは「表裏一体」なのだと荒木さんは言う。敵には敵なりの信念があり、闘うべき理由がある。第7部最大の悪役である大統領も彼には彼なりにアメリカという国を繁栄させたいという私欲を超えた動機があった。

荒木说善恶实际上是“表里一体”的。敌人有敌人的信念,有战斗的理由。第7部中最大的反派大统领他也有自己想让美国这个国家繁荣的超越私欲的动机。

「最終的な善悪の判断は読者の視点次第でいくらでも変わります。キャラクター次第で変わり、それが激突する。『ジョジョ』の登場人物はとにかく成長したいと思っています。陰湿な敵であっても自分の信念を貫いていたり、高潔だったりすれば読者からの共感は得られる。ここが重要なんですね。前向きだと怖いんです」

“最终善恶的判断根据读者视角而变。根据角色而变,这是冲突。《JOJO》的登场人物都想要成长。就连阴暗的敌人也贯彻着自己的信念,因其高洁本质和读者产生共鸣。这里很重要的。不服输是很可怕的。“

主人公とベクトルが同じ前向きな悪役を配置することで、「ジョジョ」の世界観に不可欠な恐怖感は増す。

有了主人公和同样不服输的反派,再加上在《JOJO》的世界观中不可欠缺的恐怖感。

「ただし善悪を分ける、守るべき一線はあります。『ジョジョ』の悪役は自分の理念を実現するために他人を利用することをよしとする。いくら高潔な理念があったとしても、これは許されないという視点で描いています。連載開始時よりも悪役を複雑に描けるようになりましたが、その一点はぶれていないですね。理念を実現したいなら一人であってもやらないといけない。他人を利用してはいけない」

“但要区分善恶,有必须守护的一线准则。《JOJO》的反派为了实现自己的理念会利用他人。无论是多么高洁的理念,这一点是不能原谅的。比起连载开始时,反派的塑造更复杂了,但这一点没有改变,想要实现理念就算只有一个人也要去做。利用他人是不行的。”

ジョジョは常に主人公側の勝利ばかりが描かれる漫画ではない。敗北もまた勝利と同じくらい重要なシーンとして描かれる。そこにジョジョに込めた、もう一つのテーマがあると荒木さんは言う。

JOJO不是只画主人公一方胜利的漫画。败北也和胜利一样是很重要的场景。荒木说这里JOJO表现着另一个主题。

「敗れはしても、決して負けていないと描いています。僕が描きたいのは勝利のカタルシスでは無いんです。そのほうがウケがいいのかもしれないけど、僕が描きたいものからはずれてくる。戦う過程のなかで、その人間が何を選択するのかに僕は興味がある。人は死んで終わりではない。残された人に意志を残し、受け継がれていくというのが『ジョジョ』のもう一つのテーマなのです。敗北したとしても、誰かが意志を継いでいく。僕はそれを人間の美しさだと思っています」

“就算败了,也绝不是输。我想画的不是胜利的宣泄,虽然这样画更受欢迎,但和我想画的东西有区别。我感兴趣的是,在战斗的过程中,他会作何选择。人不是死了就结束了。为剩下的人留下意志,并获得继承是《JOJO》的另一个主题。就算败北,意志也会被某个人继承。我认为这是人类的美。“

漫画家も「画家」である

漫画家也是“画家”

「王道」とセットで荒木さんがよく使う言葉がある。それは「サスペンス」だ。サスペンスとは、荒木さんが考える「良い物語」「おもしろい物語」の基礎にあるもの。いったい、この後どうなってしまうのか。読者がドキドキしながら、ページをめくらずにはいられなくなる要素だ。

荒木有一个和“王道”搭配经常使用的词语。那就是“悬念”。悬念是荒木考虑“好故事”“有趣的故事”的基础。到底,之后会发生什么。是让读者一边激动,一边手不释卷的要素。

「漫画家としてデビューしたころにトリュフォー(1950年代末からのフランスの映画運動「ヌーベルバーグ」を代表する映画監督)がヒチコックにインタビューをした本『映画術』が出たんですよ。そこで、サスペンスの巨匠であるヒチコックが自分の映画を一作ごとに細かく解説しているんです。カメラの位置から心理描写のテクニック、映画の撮り方が本当に細かく書いてある。これを読みながら、ビデオや名画座でヒチコックの映画をまた見て勉強しましたよ」

「我作为漫画家出道的时候,特吕弗(1950年末法国电影运动中“新浪潮派”代表性的电影导演)采访希区柯克的书《电影术》出版,在这本书中悬疑大师希区柯克细致解说了自己每一部作品,从摄影机机位到心理描写的技巧、电影的拍摄方法,真的是非常细致地写了下来,一边读这本书一边看录影带和去名作电影馆看希区柯克的电影来学习」

サスペンスを描きたい。その一心で好きな映画から理論を抽出し、自身の漫画に取り入れた。普遍的な「おもしろい」ものを求めて今でもインプットは欠かさない。

想画悬疑。于是从喜欢的电影中提取理论,加入到自身的漫画里。如今也探求着大众意义上的“有趣”,不断吸收是必不可少的。

荒木さんはレオナルド・ダビンチらによるイタリア絵画の影響も公言している。ルーブル美術館全面協力のもと、ルーブルを舞台にした作品を描いたこともある。

荒木还公开表明莱昂纳多·达芬奇等意大利绘画对他的影响。在卢浮宫美术馆的全力合作下,还画了以卢浮宫为舞台的作品。

「漫画家も『画家』です。絵を描いていますからね。絵として見てほしいんです」と荒木さんは言う。

荒木说“漫画家也是‘画家’。因为在画画嘛。希望能被当做是画作。”

「印刷された漫画とはまったく違うものが見えてくると思います。原画には印刷されたものとは違う魅力があります。もともと、印刷されるという意識で僕は描いていないんです。どんな形で印刷されるかに関係なく、きちんと描いてきました。原画からその魅力を感じ取ってもらえると思います」

“印刷出来的漫画是完全不同的。原画比起印刷稿有其独特的魅力。原本,画的时候就没有在意印刷。和以什么形式印刷没有关系,认真地画着。我想这份魅力可以通过原画传达。

ファンが真似する独特のポージング「ジョジョ立ち」も原画で見るとかっこいいですよね、と言うと、荒木さんは間髪をいれずにこう返す。

粉丝们都模仿的独特姿势“JOJO立”在原画上看起来一定很酷。这么说了之后,荒木老师没有一丝犹豫,如此回复:

「ありがとうございます。本当に細かいところまで見てほしいです」

“谢谢。真的是希望大家可以关注细节。”

時代に流されず、しかし、しなやかに変化を取り入れながら30年以上にわたって荒木さんは新しい漫画を描き続ける。

不随时代大流,一边加入细微变化一边持续30年以上新漫画的创作。

最後に、いよいよクライマックスに突入しそうな第8部「ジョジョリオン」の展開を聞いてみた。

最后,我们问了有关即将进入最高潮的第8部《JOJOLION》的展开。

「僕は細かく展開を決めながら物語を描くことはありません。最初からゴールを決めるのではなく、描きながら考えています。全体の構成も、一つ一つの闘いも同じ。これから第8部の舞台は病院に移っていきます。いよいよ物語が収れんしていくと思います」

“我不是决定好详细展开再画的。不是一开始就决定了终点,而是一边画一边想。全体的构成,一场场的战斗都是如此。之后第8部的舞台会移到医院。故事终于要收尾了。“

まだ決まっていないクライマックスに向かい、荒木さんは今日も考えながら机に向かい、ペンを走らせている。

朝着还没决定好的最高潮,荒木老师今天也一边思考一边在桌前飞舞着画笔。

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