日本で長期滞在を経験した日本語上級者が「先生、日本語の省略語って本当に面白いですねと……」と話しかけてきた。中級レベルの時は「スカトレ」 (スカイトレイン)や「ロンドラ」(ロンドンドラッグ)などを聞いてとてもイヤがっていたのに・・・、どうしてと聞くと、日本で友達から「スタバに行こう」といわれてとっさに「スタンドバー」の略だと思い「私お酒飲めません」と答えてしまった。まさか「スターバックス」のことだとは夢にも思わず、逆に会話が盛り上がったとのこと。日本に住んで、何でも短くしてしまう省略語に何となくはまってしまったらしい。そして「マクドナルド」のことを関東では「マック」、関西では「マクド」と言い方が違うんですよと彼女から教わってしまった。更に「メリクリ」(メリークリスマス)や「アケオメ」(明けましておめでとう)もメールなどに使うのは知っていたが、彼女いわく、日本では若い人の日常会話にも結構使われていると聞いて驚いてしまった。そして最後にチラッと皮肉っぽくこんな質問を・・・、「全然おいしいです」は間違いですよね・・・である。日本の友達同士の会話の中でよく耳にしたようで、日本語学校で「全然の 後ろは必ず否定形ですよ」と厳しく教えられた彼女にしてみれば「全然おいしい」はとても気になったのであろう。

长期驻留日本的日语高级学习者向我倾诉:“老师,日语中的省略语真的非常有意思啊。”在学习中级日语的时候,一听到「スカトレ」 (スカイトレイン)(普通航班),「ロンドラ」(ロンドンドラッグ)(伦敦药店)之类的词明明是很讨厌的,为什么现在又觉得有意思了呢。我问他为什么,回答道在日本,被朋友邀请去星巴克,以为「スタバ(星巴克的省略)」是「スタンドバー(站立式酒吧)」的缩略语,于是回答道“我不喝酒”。完全没想到说的是星巴克,因为意外,大家围绕这个话题聊开了。住在日本,慢慢地就不论什么都想简短都想用缩略词来代替了。另外她告诉我,「マクドナルド」(麦当劳)在关东被称作「マック」,在关西被称作 「マクド」,说法都不一样的。我虽然知道「メリクリ」(メリークリスマス)(圣诞快乐)和「アケオメ」(明けましておめでとう)(新年快乐)会在邮件中使用,但是我听到她说日本年轻人在会话中经常使用的时候感到很吃惊。另外还问了我这样一个问题——「全然おいしいです」。在日本朋友之间经常能听到这样的表达,但是在日语学校接受的教育是“全然的后面一定要跟否定形式”,对于这一点很在意吧。

確かにこの「全然」は昨今いろいろ取り沙汰されている言葉である。日本語教師養成講座を受講している日本の生徒さんと話をしていると「全然大丈夫です」とか「全然平気です」などの表現がよく出てくる。そんな時「え、全然……」というと、舌をペロっと出して「すみません」というのである。若い人でも皆 さんこの「全然大丈夫」がおかしな言い方だと分かっているのだが……。私もこの「全然」の後ろには打ち消しの言い方や否定的な意味の言葉が来るものと信じて疑わず、日本語教師として生徒さんにそのようにずっと教えてきた。

确实「全然」是一个备受争议的词语。我跟在日语老师育成讲座上听讲的日本学生聊天,发现经常会有「全然大丈夫です」,「全然平気です」这样的表达。那个时候,一说出口,就吐舌头,连声道歉。原来连年轻人都知道「全然大丈夫」是奇怪的表达,但是为什么还经常使用呢。在「全然」后面接否定形式或跟否定意味的词语,对此我深信不疑,作为日语老师我也是这样教给学生的。

この「全然」は言葉の乱れの一つとして大いに気になるところであった。しかしいろいろ本を読んだり、調べていくうちにこの「全然」の問題はそう一筋縄では いかない思いがしてきた。現在の日本人は大部分の人が「全然」は打消しや否定的な語とセットで使うものと思い込んでいる。「でもなぜ・・・」。明治や大正時代はどうもそんな決まりはなく、夏目漱石や森鴎外なども「全然」を必ずしも打消しと一緒に使っていない。作品の中に「生徒が全然悪い」や「全然同じ」などと書かれおり、「全然」は「全く」と同じで肯定にも否定にも使われていたのである。

「全然」这个词属于语言的一种混乱。但是在阅读了很多书,查阅了很多资料之后,我明白了关于「全然」的问题不是能轻易解决的。现在大多数日本人都认为「全然」与否定的词汇搭配使用,这是为什么呢。在明治、大正时代并非有明确规定,夏目漱石、森鸥外等也并没有把「全然」和否定形式一起使用。在他们的作品中,出现了「生徒が全然悪い(学生们完全错了)」,「全然同じ(完全相同)」,「全然」就和「全く」一样既可用于肯定又可用于否定了。

ではどうして今の我々日本人はこの「全然おいしい」に目くじらをたてるのであろうか・・・。こうなるとなかなか明快な説明をしている専門家はいらっしゃらない。言葉はその時代の人々の生活感などがいろいろ影響して変化していくものである。今の若者世代はこの「全然」を否定的なに入れたくない感覚を持ちつつあるのであろう。明治の人達と同じような・・・。すると生徒さんには「全然よくない」も「全然いい」も「全然ダメ」もみんな「全然オーケーですよ」と教 えたほうがいいのでは・・・。一体「私」はどうすれば・・・、「全然」の嘆きが聞こえてきそうである。

但是为什么现在的日本人开始纠结这个「全然おいしい」了呢,没有专家能够给予简明清晰的解释。所谓语言,就是受那个时代的人们生活观念等影响而发生改变的。现在的年轻一代是不是不想把「全然」放入否定的结构中呢,这点跟明治时代的人一样。那么是不是告诉学生「全然よくない」,「全然いい」和「全然ダメ」全都是正确的?到底我该怎么办,我仿佛听到了「全然」的叹息。

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