1990年代後半のモーニング娘。から2000年代中盤のAKB48系グループ、そして地下アイドルに至るグループアイドルの系譜の中で、ファンの間のみで通じていた“専門用語”から、一般社会でも使用されるような現代用語にまで発展・進化してきたのが「推しメン」という言葉だ。当初は「イケメンの派生形?」、「推しメンのメンは男?」(実際はメンバーのメン)と思う人もいたようだが、今ではアイドル以外のアニメやゲームのキャラ、声優などへも使われる汎用性の高い“パワーワード”となっている。単なる「ファン」や「担当」よりもカジュアルに使えて、「好き」以上の意味合いも持たせた思い入れのある「推し」。その言葉としての“深み”を検証する。

从90年代后期的早安少女到2000年代中期的AKB48系组合,包括地下偶像在内的日本偶像团体谱系中,出现了一个神奇的“专业术语”——“推(推しメン・oshimen)”,原本这是一个粉丝内部才知道的词,但现在已经发展进化成大众都在使用的现代用语了。最初还会有人误解“这是'帅哥(イケメン)'的延伸吗?”,“推しメン的メン指的是男人(men)吗?”(其实是メンバー(member)的メン)不过现在除了偶像,这个词也可以用于游戏角色、声优等处,成了一个通用性很高的“热词”。“推”这个词比起“粉丝”或“担当”要随意一些,但又比简单的“喜欢”程度更深。那这次就来探讨一下这个词的“深度”吧。

「推す」とは、デジタル大辞林によると「…人や事物を、ある地位・身分にふさわしいものとして、他に薦める。推薦する」の意であり、用例としては「候補者に―・す」、「優良図書に―・す」などが挙げられている。

“推(推す)”一词在大辞林中的解释是“…将符合某种地位、身份的人或事物推荐给其他人。推荐。”例子有“推荐为候补者”,“推举为优秀书籍”等。

つまり、「推す」ということは「推される」対象が存在するということで、言ってみれば他人に推薦するほど“対象”を認めている、気に入っている、好きであるということになる。今の「推し」の発祥には諸説あるが、もともとはアイドルファンやオタクを中心に使われていたようで、モー娘。やAKBの登場以降、ファンとアイドルとの関係性の変化とともに「推す」の意味合いも変わっていったようだ。

也就是说,“推”必须要有一个“被推”的对象,而自己认可并喜欢这个“对象”,觉得可以把TA推荐给别人。关于这种“推”的用法起源众说纷纭,原本是偶像宅们使用的词,在早安少女和AKB登场之后,随着粉丝和偶像关系的变化,“推”的意思也发生了变化。

単にファンが「アイドルの◯◯が好き」ということで終わらずに、他人にも推薦・アピールする、つまり「推し」ていくことで、アイドルの認知度があがる。「ファンがアイドルを育てる」という意味にも近い流れが形成されていった。その新たなムーブメントが「AKB48選抜総選挙」のようなイベントを生み出すことにもつながり、アイドルとファンとの距離が近づくと同時に、ファンたちに一種の“タニマチ感”を与えることになった。

粉丝并不会止步于“我喜欢xx这个偶像”,而是会向别人推荐宣传,也就是通过“推”TA,提高偶像的知名度。逐渐有了近似“粉丝培养偶像”的意思,并且随之诞生了“AKB总选举”这样的活动,既拉近了偶像和粉丝的距离,也给粉丝一种自己是“小金主的感觉”。

もともとオタク用語だった「推し」は、今ではアイドル以外にも普通に使われるようになり、SNSなどを見ても対象が人ではなくてもOKで、たとえば飲食物に「推し」を使うのも当たり前となっている。むしろ、「好き」という言葉に含まれる多少の“重さ”がなくなるので、自分の「好き」をカジュアルに公言できる。そして、自分を「もう若くない」と思っている年齢層でも、「◯◯推し」とならフランクに使える。そうした意味では「推し」のハードルは低く、コスパが高い言葉ともいえるのである。

原本是阿宅用语的“推”,现在也普遍用在偶像以外的人身上,社交网络上甚至还有人将“推”用于食物上,看来对象不是“人”也可以。“喜欢”一词多少还带着一些“重量”,而“推”则可以更轻松地向别人表达“喜欢”。而且即使是觉得自己不再年轻的人,也可以没什么顾虑地说出“推xx”。这种用法的“推”门槛很低,大家都愿意使用。

また、オタク用語としての「推し」も、一般化の流れの中で多種多様な派生語が誕生していった。あくまで1人を推し続ける「単推し」や2番目に推す「二推し」、特定のメンバーを激しく推す「神推し」や「激推し」など。そして、付随する現象にも「箱推し/全推し(グループ全体を推す)」、「推し変(推しているメンバーを変える)」、「推し増し(推すメンバーを増やす)」、同好の士の間で推しメンが被(かぶ)ってしまう“推し被り”に至るまで、「推し」という言葉一つで何パターンも“化学変化”を起こし続けている。

另外,阿宅用语的“推”在普及过程中也产生了很多派生词。比如只推一个人的“单推”,以及第二推的“二推”,疯狂推某一特定成员的“神推”“激推”等等。另外还有“箱推/全推(推整个团)”,“变推(改变推的成员)”,“增推(增加推的成员)”,同好之间推了同一个人的“撞推”等等,“推”一个词产生了各种各样的“化学变化”。

さらには、「推し」は“経済効果”も生み出している。実際、「マクドナルド」ではSNSで“推しバーガー”などとして、キャンペーンで「推し」という言葉を使用していたのも記憶に新しい。

而且“推”还带来了“经济效果”。麦当劳就曾经在社交网络中使用“(你的)首推汉堡”一词来为自己的活动做宣传。

いつの間に拡大している「推し」ムーブメントだが、あらためて「推し」という言葉の意味を振り返ってみよう。先述のように「推す」には「推薦する」の意が含まれ、誰かに「薦(すす)める」こと。つまり自分の中だけで完結させずに、自分の好きな対象を他人にも知ってもらいたい、できれば好きになってほしいという想いを伝えることなのである。そういう意味では、「推し」は他人と想いを同じにするという“共感力”を生み出す可能性も持っている。

不知不觉间“推”的热潮席卷全国,在此我们复习一下“推”这个词的含义吧。上文中也讲过,“推”有“推荐”的意思,也就是说不光自己喜欢,还要让别人知道自己喜欢的对象,并且尽可能地让别人也喜欢上TA,“推”就是这样表达自己感情的一种行为。在这个意思层面上,“推”暗藏着和别人产生“共鸣”的可能性。

また、「推し」には「誰かを立てる」、「リスペクトする」といった意味合いもあるようだ。初めは単なる「ファン」や「好き」という感情から始まったことが、「推し」という言葉によって他人ともつながり、“共感”が育まれ、やがては同じ「推し」を持つ者同士の“絆”を生み出していく。こうしたアイドルグループとファンたちが形成するムーブメントが社会現象化していくにともなって、「推し」という言葉も一般化・定着し、親しまれるようになった。果たして、今後も「推し」に代わる言葉が生まれるのだろうか。最近では、「推し」のさらに“向こう側”に行った人がハマる=「沼」という言葉もよく聞かれるようになったが、まだまだ“オタク発”の日本語の多様性には可能性がありそうである。 

另外,“推”还有“尊敬”的意思在里面。从最初的“喜欢”“粉上了TA”开始,到“推”TA,和别人产生“共鸣”,接着和同“推”的人之间产生“联系羁绊”。偶像组合和粉丝之间的这种情感变化渐渐形成社会现象,“推”一词也随之得到了普及,被大家所接受。今后究竟还会不会产生代替“推”的词呢?说起来,最近还经常听到“沼”(坑)这个词,这是一种比“推”更加疯狂的沉迷状态,果然阿宅们的造词能力潜力无限啊。

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