やぶ医者

向こうから、お医者(いしゃ)がやってきました。
そこへ店(みせ)の小僧(こぞう)が、かけてきてぶつかり、医者は、弾み(はずみ)でで転(ころ)んでしまいました。
「ああ、危ないではないか、これ。」
医者は立ち上がって、小僧の襟首(えりくび)をつかまえ、手をあげて叩(たた)こうとしますと、小僧が、
「足で蹴(け)るのは構(かま)いませんが、手でぶつのだけは、ご勘弁(かんべん)ください。」
と言います。
医者は、可笑(おか)しなことを言うものだと思って、
「はて、なぜ、そのようなことを言う?」
と聞くと、小僧、
「足で蹴られても、命(いのち)はなくなりませんが、お手にかかると、とても助(たす)からないと、もっぱらの評判(ひょうばん)でございますから。」

参考译文:

庸医

从对面走来一位医生,正在这时,店里的小伙计跑过来撞上了他,医生一下子被撞倒在地上了。
“啊,这不是太危险了吗?”
医生站起来,揪住小伙计的脖颈抬手就要打。小伙计说道:“用脚踢没有关系。请您饶了我,就是别用手打。”
医生觉得他说这话很奇怪,就问他:
“你为什么这么说话?”
小伙计回答说:“挨您脚踢,总不至于丢了性命,人家都说,要是落到您的手里,那可就没救了。”

遺言

あるところに、たいへんへそまがりな息子(むすこ)がおりました。
親父(おやじ)が病気になり、もう死ぬという時に、息子を呼んで、
「もはや、わしも、この世(よ)におさらばじゃ。いっておくが、わしが死んでも、必ず(かならず)、葬式(そうしき)などはするなよ。こもに包んで(つつんで)、川(かわ)へながせ。」
と、心にもないことを言いました。
実は、この親父、前前(まえまえ)から、息子のへそまがりぶりを知っていましたから、遺言(ゆいごん)は、反対(はんたい)の事を言っておけば、立派(りっぱ)な葬式をするだろうと思ったのです。
ところが、親父の遺言をじっと聞いていた息子、
「安心してください。これまで、親(おや)のいうことは、何一つ(なにひとつ)、聞かなかったから、せめて、一生(いっしょう)に一度ぐらいは、言われた通りにしましょう。」

参考译文:

遗嘱

在一个地方,有一个脾气很倔的儿子。
父亲生病临死前,将儿子叫到身边说:“我已经快要告别这个世界了,记住,我死后一定不要举行葬礼。把尸体卷在草席里扔到河里去。”
其实,这些并不是父亲的真心话。他早就知道儿子和人做对的怪脾气,所以想如果在遗嘱中说反话,也许能够使儿子为他举行一个隆重的葬礼。
可是,儿子认真地听了父亲的遗嘱后说道:“请您放心。以前我没有听过父母的一句话。至少,在一生中,我要有一次按照您说的去做。”