執事とメイドの裏表
―イギリス文化における使用人のイメージ [著]新井潤美

[評者]楊逸(作家) [掲載]2012年01月22日 [ジャンル]歴史 社会

管家与女仆的表里——关于英国文化中雇佣人的印象  【著】新井润美

【评论者】杨逸(作家)  【刊登日期】2012年1月22日【类型】历史社会

评论者简介

楊逸,1964年中国ハルピン生まれ。作家。87年に来日。2007年『ワンちゃん』(文學界新人賞)で作家デビュー。08年『時が滲む朝』で芥川賞受賞。他に『金魚生活』『すき・やき』『陽だまり幻想曲』、エッセー集に『おいしい中国』など。

杨逸,1964年出生于中国哈尔滨市。作家。87年来到日本。2007年以作品《小狗》(获文学界新人奖)作为作家出道。08年以《渗时之晨》获芥川奖。其他作品还有《金鱼生活》、《寿·喜·锅》、《艳阳幻想曲》、随笔集《美味中国》等。

文芸作品に探る階級社会の文化

昨年、「家政婦のミタ」というドラマが大ヒットしたようだ。見ていなかったのが残念だが、宣伝ポスターに写った主人公の無表情な顔を眺めると、古いイギリス映画によく見る「厳しくて威厳がある」「家政婦」をついつい思い浮かべてしまう。

探索阶级社会文化的文艺作品

去年,《家政妇三田》这部电视剧大热,虽然没看到有点遗憾,瞧了瞧宣传海报上主人公毫无表情的脸庞,不知不觉浮现出在英国老电影中常见的,“严肃的、保持威严”的“佣人”形象。

家政婦の仕事というと、日本では掃除、洗濯、炊事、おそらく主人の靴磨きのようなことも含むかもしれない。かつて階級社会であったイギリスでは、日本と違ってその内容が細かく分けられ、それぞれの役割に応じた呼び方をしていたものだった。

说起家政妇的工作,在日本就是打扫、洗衣服、做饭,恐怕还得包括给主人擦皮鞋。而在曾经是阶级社会的英国,工作的内容与日本不同,分得更细致,各种职务都有相应的称呼。

執事はワインの管理をはじめ、エールやビールを作り、ひびの入ったグラスを修理するほか、食器管理、食卓の用意などが主な仕事であった。そして映画でおなじみの怖いおばさん「家政婦」は、ハウスキーパーと呼ばれ、使用人の多いお屋敷ではメイド総監督という管理職であり、そうでない家では、主人の世話をするというものだ。

管家以管理红酒、酿制啤酒、修理破损的玻璃、管理餐具、准备饭菜为主要工作。另外在电影里看起来同样恐怖的“家政妇”,被称为housekeeper。雇佣人较多的宅邸里,他们担任女仆总管的职位,如果没有的话,就需要亲自照顾主人的起居。

キッチンは料理人の居場所だし、メイドにも、キッチンメイド、パーラーメイド、ハウスメイド、ナーサリーメイド、ランドリーメイドなどの種類がある。

厨房是厨师的所在地,女仆中,还有厨房女仆、会客女仆、房屋女仆、托儿女仆、浆洗女仆等种类。

フランス革命時にイギリスに逃げて料理人として働くフランス人が、「情緒不安定で、感情的で、気まぐれ」で扱うに手を焼く芸術家気質であるにもかかわらず大人気になり、引き抜かれないように、雇い主は常に神経を使っていた例もあるとか。

法国革命时期,逃离到英国、作为厨师工作的法国人,虽然有“情绪不稳定,感性、反复无常”等难以应付的艺术家气质,但还是非常有人气,雇主常常为了不让他们被挖走而费尽心思。

更に表仕事の多い下男は、身長ときれいな脚が必須条件であり、従僕の多くは主人よりも知性と教養とが備わっていて、「紳士つき紳士」とも呼ばれたという。そもそも主人たるイギリス紳士とは、ワーキングクラスの乳母によって育てられたのである。

另外,对外工作较多的男佣,身高和漂亮的腿型是必要条件。大多数仆从比主人更具备才智和教养,被称为“绅士中的绅士”。说起来,英国绅士般的主人是工人阶级的保姆带大的。

本書は多くの文芸作品を引き合わせ、使用人文化を通して、近代イギリス社会を浮き上がらせた。大変面白く興味深い一冊だ。 

本书引用了很多其他的文艺作品,通过雇用人的文化的展示,浮现出近代英国社会的现状。真的是非常有趣、颇有深意的一本书。

白水社・2100円/あらい・めぐみ 中央大学教授。比較文学・比較文化専攻。『自負と偏見のイギリス文化』など。

白水社·2100日元/新井润美 中央大学教授。比较文学、比较文化专业。另著有《自满与偏见的英国文化》等。

声明:双语文章中,中文翻译仅代表译者个人观点,仅供参考。如有不妥之处,欢迎指正。