『江戸時代の恋愛事情』(板坂則子/朝日新聞出版)

《江户时代的恋爱情况》(板坂则子/朝日新闻社)

いつの時代も「恋愛」は物語の人気テーマです。しかし恋愛の対象は時代によって大きく変わります。

无论什么时代“恋爱”都是故事的人气主题。但是,恋爱的对象却根据时代不同有很大的变化。

『江戸時代の恋愛事情』(板坂則子/朝日新聞出版)は、江戸時代に人気を博した創作物から、当時の人々がどのような恋愛観を抱いていたのかを読み解きます。

《江户时代的爱情情况》(板坂则子/朝日新闻社),从江户时代颇具人气的作品中,分析当时人们抱着怎样的一种恋爱观。

例えば、最近のマンガやアニメで女性に人気のBLですが、江戸時代にも男色(同性愛)が大流行していて、しかもその読者の大半は男性であったというから驚きです。

比如,最近在女性中颇具人气的BL漫画和动漫作品,其实江户时代也流行男色(同性爱)作品,而且,读者大半都是男性,这一点令人震惊。

江戸時代の男女に人気だった恋愛とは、いったいどのような物語だったのでしょうか。

对于江户时代的男女而言有人气的恋爱故事,究竟是怎样的呢。

■高貴な男色と卑近な女色

■高贵的男色和浅显的女色

「男色」の文化は古くは室町時代にまで遡ります。ときには寺院で見目麗しい稚児をめぐって、高僧たちの争いまであったとか。

“男色”文化最早可以追溯到室町时代。有时在寺院里会看到长得好看的孩子被高僧们争抢。

戦国時代には武将の身の回りには常に美少年が仕えるようになり、男色は武家の嗜みとなります。

战国时代,武将的身边经常会有美少年侍奉,男色是武家的嗜好。

江戸時代に移ると多くの書物(仮名草子)に描かれ、なかでも『藻屑物語』は、寛永十七年(1640年)に実際に起こった心中事件をモデルにしているといいます。

从江户时代传来的多数书(假名草子)中也描写过,其中《藻屑物语》是以宽永17年(1640年)实际发生的殉情事件为原型写的。

要約するとこんなあらすじです。

概括起来是这样的故事。

美少年の伊丹左京には契りを交わした舟川采女という武家の青年がいた。そこへ細野主膳という男が左京に横恋慕する。

与美少年伊丹左京有婚约的是一位武家青年丹川采女。而名为细野主膳的男性也爱恋着左京。

主膳に強引に迫られた左京は、主膳を斬り殺してしまい切腹を命じられる。事態を知った采女は左京と共に浅草慶養寺で切腹する。

被主膳强迫的左京,被命令杀死主膳后就切腹自尽。知道事态后的采女和左京一起在浅草庆养寺切腹自尽了。

命懸けで相手に尽くす姿勢が武家や上流階級の人々の琴線に触れたのでしょう。この話は『風流嵯峨紅葉』『男色大鑑』『男色義理物語』といった作品の題材にも用いられます。

拼尽全力为对方奉献的姿态触动了武家和上流阶级的人们。这些故事题材被用于《风流嵯峨红叶》、《男色大鉴》、《男色义理物语》等作品中。

『心友記』(1643年)では、「武道」や「茶道」のように男色の心得を説き、「衆道」が確立されていきます。

《心友记》(1643年)则像讲解“武道”和“茶道”一样讲述男色的心得,确立了“众道”。

■江戸の女性が憧れた美男子

■江户的女性所憧憬的美男子

江戸時代も中期を過ぎ、庶民の生活が安定してくると、女性たちも読書の楽しみを覚えます。

江户时代中期,百姓的生活开始安定,女性也感受到了读书的乐趣。

絵と文章の合わさったマンガの祖ともいうべき草双紙(黄表紙)は、物語性に富んだ男女のドラマを描くようになり、女性読者の支持を得ます。

图片和文章结合的可以说是漫画的鼻祖的草双纸(黄表纸)描绘了故事性极强的男女故事,受到了女性读者们的支持。

南仙笑楚満人作『敵討義女英』(1795年)は、題名からわかるように女性を主人公とした次のような物語でした。

南仙笑楚满人作《敌讨义女英》(1795年)是从名字就可以看出是以女性为主角的故事。

美しい娘「小しゅん」は兄の仇を探す青年・岩次郎と恋に落ちる。小しゅんは彼の探す仇が自分の父であることを知る。

美丽的姑娘“小俊”爱上了正在寻找杀兄仇人的青年岩次郎,小俊知道他正在寻找的仇人是自己的父亲。

小しゅんの手引きで岩次郎は屋敷に忍び込み、寝ている仇の首を切るが、それは父の代わりに身を差し出した小しゅんであった。

通过小俊的引导,岩次郎潜入了房间,砍下了正在熟睡的敌人的首级,然而那正是代替了父亲的小俊。

この話のように、男女が数奇な運命に翻弄されながら仇討ちや恋に明け暮れる物語が大量に作られていったといいます。当時の女性たちが夢中になったのも、やはり「イケメン」だったようです。

如同这个故事一样,出现了大量男女主被坎坷的命运玩弄,着重于复仇和爱情的故事。而当时的女性们沉迷的,果然还是“帅哥”。

というのも挿絵で描かれる登場人物のほとんどは、人気歌舞伎役者の似顔絵でした。

插画中大部分登场人物,都是仿照人气歌舞伎演员画的。

この他にも、激しい嫉妬と恋の愛憎劇であったり、身分の差がある男女のロマンスであったり、恋人が力を合わせて困難を乗り越える活劇であったり、甲斐性なしの男としっかり者の女の喜劇であったりと、どれも現代のマンガ、ドラマ、映画のストーリーに通じる物語ばかりです。

其他,还有激烈的嫉妒和爱交织的爱憎剧,身份有差的男女之间的爱情故事,恋人合力克服困难的武剧,毫无建树的男子和努力向上的女子之间的喜剧,都是和现代的漫画电视剧电影一样的故事情节。

現代人の私たちも、江戸時代の人々も、恋バナに一喜一憂する本質はそんなに変わっていないのかもしれません。

无论是现代人的我们,还是江户时代的人们,对恋爱亦喜亦忧的本质也许并没有改变。

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