河童の大好きな物に「尻子玉」というものがあります。

在河童喜欢的东西中,有一样叫“尻子玉”的东西。

河童が人間と相撲を取って、人間が負けるとこの尻子玉を抜くと言われています。尻子玉を抜かれてしまうと人間は腑抜けになってしまうそうですが、それではそもそも尻子玉とはいったい何なのでしょうか?

相传如果河童和人类比赛相扑,并且人类输了的话,尻子玉就会被河童取走,而被取走尻子玉的人类则会变成一个窝囊废。那么说到底,尻子玉到底是个什么东西呢?

■よくわからない架空の臓器・尻子玉

■谜一般的架空脏器·尻子玉

尻子玉が何なのかについては、実はよくわかっていません。

尻子玉到底是什么,其实至今仍没有一个详细的说法。

一般的に言われる解説では「尻の穴のなかにある架空の臓器」とされ、河童にその尻子玉を抜かれると溺れ死ぬ、といった説明が多いかと思います。しかし、その「尻子玉=架空の臓器」というものが、もうひとつはっきりとはしません。

通常人们会把尻子玉解释为“位于后穴之中的架空的脏器”,并认为如果被河童夺走尻子玉,人就会溺水而死。然而,关于这个“尻子玉=架空的脏器”到底是什么,还是没有弄清楚。

人間が尻子玉を抜かれると腑抜けになり、それが溺死の原因になると言われていますが、これについては人が溺死してしまうと肛門括約筋が弛緩して肛門が大きく開くことから、河童がそこから手を入れて尻子玉を抜いたという伝承になったという説明がされます。

虽然有说法称人是因为被取走尻子玉、变成了窝囊废,所以才会溺死的。但据说其实是因为人溺死后,肛门括约肌松弛、肛门扩张,所以才会有河童从中入手取走尻子玉这一传说。

しかしこの説明でも、尻子玉そのものについてはわからないのです。

可即使有了这么一种解释,也还是没搞清楚尻子玉本身到底是个什么东西。

よく使われる「腑抜け」の「腑(ふ)」とは、「臓腑」つまり「はらわた」で内蔵のことで、同じく内蔵全体の意味もある「肝試し」の「胆(きも)」が気力や精神力を表すように心や性根のことも表し、人が底力を出すときに力を入れる場所だと考えられて来ました。

常用词“腑抜け(窝囊废)”中的“腑”,指的是“脏腑、内脏”,与同样代指所有内脏的“肝試し(试胆)”中的“胆”一样,是气力、精神力以及毅力的象征,向来被当作人潜力的源泉。

つまり尻子玉を抜かれると腑抜けになるということは、尻子玉には人間の気力や精神力、底力のもとがあるということなのでしょうか。

如果说人一旦被夺去尻子玉,就会变成窝囊废,那不就代表尻子玉中蕴含着人类的气力、精神力以及潜力吗?

■龍王に捧げられる尻子玉は宝珠??

■贡奉给龙王的尻子玉是宝珠??

河童が人間の肛門から抜いた尻子玉をどうするのかというと、龍王に税金として納めるのだという話があります。この伝承がどこから来たのかはよくわかりませんが、龍王は水神であり、河童は水神が落ちぶれた妖怪、または水神の依代(よりしろ=神様が依り憑くモノ)か眷属(けんぞく=その神の配下または関係するモノ・動物)とも言われますから、水神の世界の子分である河童が親分の龍王に尻子玉を捧げたということでしょうか。

河童从人类的肛门中取走尻子玉,要用来做什么呢?一说是用来当作税金上缴给龙王。虽然并不清楚这一传说出自何处,但龙王是水神,而河童则是由水神堕落成的妖怪、水神的依附对象或眷属,那么在水神世界中身为小弟的河童,给自己的老大——龙王贡奉尻子玉也是说得过去的吧。

江戸時代後期の戯作者で浮世絵師、「東海道中膝栗毛」で有名な「十返舎一九(じゅっぺんしゃいっく)」が「河童尻子玉」という絵を描いています。この絵では、河童に襲われて川べりでぐったりと倒れている前髪立ちの少年と、手に尻子玉を持つ河童が描かれていますが、その手にした尻子玉は大きなタマネギのような、あるいは「玉(ぎょく)」のようなものです。

江户时代后期有一位以《东海道徒步旅行记》闻名的小说家兼浮世绘师名叫十返舎一九。他画了一幅《河童尻子玉》,里面描绘了一个被河童袭击、倒在河岸边垂髫少年,和一个手持尻子玉的河童。画中河童手上的尻子玉就像一个巨大的洋葱,或者一块玉石。

■玉が好物の龍王

■爱好玉石的龙王

龍が好物とするのはまさに「玉」で、長崎くんちの龍踊(じゃおどり)に見られるように、龍は好物の「玉」を追い求めているのです。また龍王が持つとされ、神通力の源とされる「如意宝珠(にょいほうじゅ)」という宝の「玉」は、龍の首の下、または脳の中に隠されていると言われていますが、この如意宝珠のカタチこそが上部が円錐形になったタマネギ形であり、例えば橋の欄干の上に付けられている「擬宝珠(ぎぼし)」は名前の通りこの如意宝珠を擬したものなのです。

龙最喜欢的东西正是“玉石”,就像在长崎九日节中看到的舞龙那样,龙总是在追逐着自己最喜欢的“玉石”。而传说中由龙王所持、隐藏在龙的脖子下或脑袋中的神力之源“如意宝珠”,其形状正像洋葱那样,上部呈圆锥形。比如桥栏杆上常见的“拟宝珠”,就正如其名,是仿照如意宝珠的模样来制作的。

つまり十返舎一九は、尻子玉を如意宝珠のカタチとして描いたということで、尻子玉とは人間の力の源となっている「玉」であり、龍が好む宝珠だからこそ河童は龍王に捧げると考えられていたのでしょうか。東洋医学や「内丹術」という思想では、人間の気の力は「丹田(たんでん)」という下腹部(ヘソ下3寸)に溜まるとされています。

也就是说,十返舎一九是按照如意宝珠的形状来描绘尻子玉的。正因为尻子玉是人类力量的源泉、龙王喜爱的宝珠,所以才会有河童得到尻子玉后便贡献给龙王这一说法吧。另外,在东洋医学或“内丹术”的思想中,人的气力就储存在“丹田”——脐下三寸之处。

もしかしたら尻子玉は、この丹田にある人間のエネルギーを生みだす「玉」なのかも知れません。そうだとすると、単なる架空の臓器という説明ではとても言い表せない奥深いものですね。

这么一想,尻子玉说不定就是一块位于丹田、在人体中散发能量的“玉石”。如果真是这样,那么尻子玉,还真是一种不能以“架空脏器”一带而过的深奥的东西呢。

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