日本語学校はこの10年で2倍以上に急増している。その急増を支えているのは、労働目的で来日している「偽装留学生」だ。彼らはビザ更新が目的で、日本語を学ぶ意欲は低い。ジャーナリストの出井康博氏は「偽装留学生ビジネスには、ひとたび手を染めれば抜けられないうまみがある」と指摘する――。

日本语言学校的数量在这10年间快速增长达到2倍以上。促成这样快速增长的,是那些以务工为目的来日的“伪装留学生”。他们就读语言学校的目的是更新签证,学习日语的意愿不强。记者·出井康博指出“伪装留学生的生意,但凡尝过一次甜头就再也无法自拔了。”

■「悪質な学校」は本当に一部か

■“有问题的学校”真的只是一部分吗?

新聞などでは日本語学校の問題が取り上げられることがたまにあるが、やはり「一部に悪質な学校が存在する」といった論調だ。経済力のない偽装留学生を受け入れている日本語学校は「一部」に過ぎず、大多数の学校は真っ当に運営されているという認識なのだ。しかし、私が取材してきた印象では、むしろ偽装留学生の受け入れを拒んでいる日本語学校の方が珍しい。学校法人が経営する日本語学校であろうと大差なく、より悪質な学校も存在する。では、「悪質な」日本語学校の割合とは全体のどれくらいに上るのか。それを知るうえで興味深い研究がある。一橋大学大学院博士後期課程に在籍する井上徹氏がまとめ、2019年3月下旬にウェブ上で公開された『日本語教育の危機とその構造―「1990年体制」の枠組みの中で―』という論文だ。

报纸等媒体上偶尔会有关于日本语言学校问题的报道,而报道的论调基本是“确实有一部分有问题的学校存在”。大家普遍认为,接收经济困难的伪装留学生的日本语言学校只不过是“一部分”,大多数学校还是认真经营着的。但在我目前为止的采访印象中,拒绝接收伪装留学生的日本语言学校反倒是少见的。基本都是由学校法人经营的日本语言学校,没有什么巨大的差别,问题较之更加恶劣的学校也存在。那么,有问题的日本语言学校到底占整体的多少呢?为搞清楚这个问题,可先了解下这个颇有意思的研究。一桥大学大学院博士在读的井上徹整理了研究结果并于2019年3月下旬在网上公开了一篇名为《日语教育的危机及其构造——在“1990年体制”的框架中》的论文。

■定員割れの学校が偽装留学生の受け皿に

■学员招不满的学校就成了伪装留学生的接收所

この論文で井上氏は、文部科学省がまとめた「平成29年度日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況公表について」という資料をもとに、日本語学校の分析を試みる。文科省の資料には、459校の日本語学校に在籍する国籍別留学生、日本語能力試験合格者、進学者の数といった情報が載っている。井上氏が着目するのが、日本語能力試験「N1」と「N2」の合格者数と専門学校や大学などへの進学者数の乖離だ。専門学校などの授業についていこうとすれば、最低でもN2の日本語レベルは必要となる。にもかかわらず、日本語能力を問わず、留学生を受け入れる学校は増えている。少子化の影響で私立大学の半数近くは定員割れの状況にある。専門学校に至ってはさらにひどい。そのため営利目的で、偽装留学生の受け入れで生き残りを図っているのだ。

在这个篇论文当中,井上以文部科学省汇总的“关于平成29年度日语教育机构中对外国留学生进行教育的状况发表”这一资料为基础,尝试着对日本语言学校进行了分析。在文科省的资料当中,记录了459所日本语言学校在籍的不同国籍的留学生、日语能力考试合格者、升学者的数量等数据。井上关注到的是,日语能力考试“N1”和“N2”的合格者人数与升入专门学校和大学的人数之间的背离。要接受专门学校等机构的授课最低也需要N2的日语水平。尽管如此,不管日语能力如何,就接收留学生的学校正在增加。因为少子化的影响,有近一半的私立大学有招不满学生的状况。专门学校情况更甚。因此,一些学校以营利为目的,企图通过接收伪装留学生来获取生存。

一方、留学生は日本語学校から専門学校などに進学すれば留学ビザを更新でき、出稼ぎを継続できる。文科省の資料を井上氏が調べたところ、459校のうち366校が進学者数を公表していた。残りの93校は新設校で進学者が出ていない。そして366校全体で、N1もしくはN2の合格者は2016年度で1万3538人、進学者は3万618人だった。つまり、半数以上がN2の資格を持たず、専門学校などへ進学している。こうした進学者は、偽装留学生である可能性が高い。

另一方面,留学生从日本语言学校升学至专门学校等机构后,可以更新自己的留学签证,可以继续外出打工挣钱。井上调查了文科省的资料后发现,459所学校中有366所学校公开了升学人数。剩下的93所学校因为是新开设的学校,所以还没有升学者。而在公开数据的366所学校当中,N1或N2的合格者在2016年度有1万3538人,升学者有3万618人。也就是说,半数以上的人是没有N2的资格证书就升学进入专门学校的。这样的升学者,是伪装留学生的可能性很高。

■711校の8割以上が「普通校」以下

■711所学校中百分之八十以上达不到“普通学校”水平

さらに井上氏は、各日本語学校のN1とN2合格者と進学者の比率を調べた。比率が高ければ、日本語能力を身につけた留学生が進学していることになる。結果は、進学者全員がN2以上に合格し、井上氏が「優良校」とみなす学校が11.2%、70%以上が合格という「普通校」が16.1%だった。一方、N2以上の合格者の比率が4割以下の「不良校」が57.2%にも上っていた。日本語学校の数は2018年8月時点で711校まで増えていて、文科省の資料に載っていない学校も252校に上る。こうした未登録校も、偽装留学生の受け入れによって成り立っている疑いが強い。一方、井上氏が「優良校」か「普通校」とみなす日本語学校の数は、文科省のデータを提出した459校のうち100校に過ぎない。そのなかにも偽装留学生を一部受け入れている学校はあるはずだが、711校の大半は「悪質」とみなすことができる。つまり、少なくとも8割以上の日本語学校は、偽装留学生の受け入れで経営が成り立っている疑いが強い。

更者,井上还调查了各大日本语言学校中N1和N2考试合格者与升学者之间的比率。若是比例高的话,说明掌握了日语能力的留学生成功升学。结果是,升学者全员都达到N2及以上水平,也就是被井上认为是“优良学校”的占11.2%,达到70%以上合格率的“普通学校”占16.1%。而N2及以上合格者比例在40%以下的“不良学校”占到了57.2%。日本语言学校的数量在2018年8月已经到达711所,没有记载在文科省资料上的学校已经多达252所。这样未登记的学校很可能是靠着接收伪装留学生经营下去的。另一方面,被井上定义为“优良学校”或是“普通学校”的日本语言学校,在文科省数据中有记录的459所学校中都不超过100所。这当中应该也有接收了一部分伪装留学生的学校,那么711所学校大部分都是有问题的。也就是说,最少也有80%以上的日本语言学校靠接收伪装留学生维持经营的可能性很高。

■かつての留学生が学校経営者に

■曾经的留学生成为了学校的经营者

日本語学校の経営者には、在日中国人や在日韓国人が極めて多い。その背景には、日本語学校業界の歴史が影響している。日本語学校の設立ブームは、政府が「留学生10万人計画」の達成を目指していた1990年代後半から2000年代前半にかけて一度あった。日本語学校を統括する一般財団法人「日本語教育振興協会」のデータによれば、日本語学校の留学生数は1996年の1万1124人が2003年までに4万2729人と4倍近くになった。同じ時期、日本語学校の数も287校から409校へと増えている。現在の「留学生30万人計画」と同様、「10万人計画」の最中にも留学ビザの発給基準が大幅に緩んだ。結果、中国を中心に偽装留学生が大量に流入した。そして中国人に続く多さだったのが韓国人留学生だ。この頃、留学生として来日した中国人や韓国人たちに祖国とのコネクションを活かし、日本語学校の経営を始めた者がいる。だから日本語学校には、中国人や韓国人経営の学校が多いのだ。

日本语言学校的经营者中,在日中国人及在日韩国人非常多。这一背景受到日本语言学校业界历史的影响。日本语言学校一度兴盛于日本政府以达成“10万留学生计划”为目标的1990年代后半到2000年代前半。根据包括日本语言学校在内的一般财团法人“日语教育振兴协会”的数据显示,日本语言学校的留学生人数从1996年的1万1124人到2003年的4万2729人,增长了近4倍。同一时期,日本语言学校的数量也从287所增加到了409所。与现在的“30万留学生计划”一样,当时为实现“10万留学生计划”,留学签证的派发基准大幅度放宽。结果是,以中国人为主的大量伪装留学生进入了日本。而除中国人之外,韩国留学生数量是最多的。那时,有一些作为留学生到日本的中国人和韩国人充分利用自己与祖国的联系,开始经营日本语言学校。因此,在日本语言学校当中,中国人和韩国人经营的学校很多。

■2度目のブームで新興国から大量流入

■第2次留学热潮 从新兴国家大量进入的留学生

「留学生10万人計画」は2003年に達成された。そして同じ年、日本中を震撼させる事件が起きる。中国人留学生3人による「福岡一家4人惨殺事件」である。日本人の夫婦と子どもの家族4人が殺害され、遺体が博多湾で見つかった痛ましい事件だ。3人の中国人留学生は皆、日本語学校を入り口に来日していた。そのうち2人は私立大学と専門学校に進んでいたが、いずれも生活費の工面に苦労していた、そこで犯行に及んだのである。この事件もきっかけとなり、留学ビザの発給基準はいったん厳しくなった。

“10万留学生计划”在2003年完成。而同年,发生了一起震撼全日本的案件。3名中国留学生犯下的“福冈一家4口杀人案件”。夫妇和孩子共四名日本人被杀害,最终遗体在博多湾被发现的悲惨案件。3名中国留学生都是通过日本语言学校到日本的。三人中有两人已经进入了私立大学和专门学校,但三人生活费方面都很拮据,因此犯下了这样的罪行。以这一事件为契机,留学签证的发放基准变严格了。

その後、事件のほとぼりが冷めた5年後の08年、福田康夫政権が「留学生30万人計画」を策定した。当時約12万人だった留学生を2020年までに30万人まで増やすという計画だ。そして今度は、中国に代わってベトナムなどアジアの新興国から偽装留学生が流入する。その結果、日本語学校の留学生が急増し、業界は2000年代前後とは比べものにならない“バブル”に沸くことになる。自らも留学生だった中国人や韓国人、さらにはかつて中国などから偽装留学生を入学させていた日本語学校経営者は、「偽装留学生ビジネス」に精通している。違和感や罪悪感を抱くこともなく、偽装留学生の受け入れに邁進しがちだ。結果、彼らの経営する学校が規模を拡大し、大きな利益を上げることになる。

这之后,事件余温冷却的5年后,也就是2008年,福田康夫政权制定了“30万留学生计划”。也就是将当时约12万人的留学生,在2020年增加到30万人的计划。这次,越南等亚洲新兴国家取代中国,有许多伪装留学生进入日本。结果,日本语言学校的留学生人数激增,业界达到了2000年代前后无法比拟的“泡沫经济”般的热度。自己也曾是留学生的中国人和韩国人,甚至曾经也曾让从中国等国家来日的伪装留学生得以入学的日本语言学校经营者,十分精通“伪装留学生业务”。完全没有违和感和罪恶感,不断接收伪装留学生。结果,他们经营的学校规模不断扩大,也获得了巨大的利益。

2018年9月、大阪市の専門学校「日中文化芸術専門学校」で300人以上の留学生が退学となっていたことが発覚し、新聞などで大きく報じられた。同校は定員を大幅に上回る留学生を受け入れた後、大阪府から是正を求められ、一部の留学生を退学にしていた。退学となった留学生のうち7人のベトナム人は、同校の張永勝・理事長らに損害賠償を求める訴えを起こしている。なぜ、「日中」を名乗る専門学校にベトナム人留学生が在籍し、定員超過の末に退学という事態が起きたのか。この事件には、日本語学校から専門学校、さらには大学にも広がる偽装留学生ビジネスの闇が象徴されている。

2018年9月,很多报纸等媒体对大阪市的专门学校“日中文化艺术专门学校”中300名以上留学生退学一事进行了大量报道。该学校接收了大量超过规定学生人数的留学生后,被大阪府政府要求整改,让一部分留学生退学。留学生当中有7名越南人,向该学校的张永胜理事长等人发起损害赔偿的诉讼。为什么以“中日”为名的专门学校中会有越南籍的学生,并且发生学生超过规定人数并导致退学的事呢?这起事件象征了从日本语言学校到专门学校,甚至涉及到大学的伪装留学生业务的阴暗面。

「読売新聞」の調査(2018年10月8日朝刊掲載)によれば、留学生の割合が9割以上という専門学校は全国で少なくとも72校、学生全員が留学生という学校も35校に上っている。日中文化芸術専門学校も9割以上が留学生だった。日本語学校の関係者と話すと、専門学校の「営業」に関する話題がよく出る。少子化で学生不足に陥った専門学校が、日本語学校を回って営業し、留学生の受け入れで経営難を凌ごうとしているのだ。

根据《读卖新闻》的调查(2018年10月8日早报刊载),留学生的比率在90%以上的专门学校在日本全国最少也有72间,学生全员都是留学生的学校也超过了35间。日中文化艺术专门学校中90%以上的是留学生。与日本语言学校的相关人士交流后发现,专门学校进行的“营业”有关话题经常出现。因少子化而陷入学生不足的专门学校,拜访日本语言学校进行营业,通过接收留学生来克服经营困难。

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