「女の肉体で生まれたからには、出産の喜びを」、「社会保障制度のために子どもは産むべき」、「子育てをしないで自由を謳歌する女はわがまま」――前時代的に感じられるこれらの意見は、雑誌『FRaU』（2016年3月号）にて、結婚20年を迎えた女優・山口智子さんの「子どもを産まなかったことは後悔していない」という発言に投げかけられた批判だ。女性の生き方は多様化しているが、“女は子どもを産んで一人前”という価値観はいまだ根強いことがうかがえる。

“女人用自己的身体诞下麟儿的喜悦之情”、“为了社会保障制度的顺利实施，女人应该生孩子”、“不生娃整天讴歌自由主义的女人太任性”——这些仿佛上个世纪的言论，最近针对在迎来结婚20周年的女演员山口智子发出的“没生孩子，我并不后悔”的发言提出了批判，并刊登在《FRaU》杂志（2016年3月号）上。女性的生活方式虽说已然呈多样化的当下，看来“女人生了孩子才是完整的”这种价值观至今依然根深蒂固。

今もなお、このような偏見が残るのはなぜなのか。主体的に人生を歩むとは、どういうことなのか。これらをテーマに語りあうイベントが、新宿眼科画廊にて行われた。主催は、現代美術彫刻家で文筆家の柴田英里氏。ゲストにフランスで同性婚をしたタレント・文筆家の牧村朝子氏、ゲイの夫を持つ中村うさぎ氏の2名を招いて行われたトークの模様をレポートする。

为何这种偏见残留至今呢？在新宿眼科画廊举办了一场以“该如何主动把握人生之路”为主题的对话活动。主办者是现代美术雕刻家、作家柴田英里。嘉宾是在法国已同性结婚的艺人及作家牧村朝子和有gay丈夫的中村Usagi，活动以谈话形式进行了报导。

「子どもを産まなかった人生を後悔していない」発言の余波
“没生孩子，我并不后悔”发言的余波

まずは柴田氏が、山口智子さんの件に触れた。「本当は子どもが欲しかったくせに」といった反響について、中村氏は「こうした批判は女性同士なら言いやすいけど、男性はかなり慎重になっているのでは」と分析。柴田氏も「自分がハラスメントの加害者になる恐怖と、親や学校からの社会的教育が関係している」と同調した。

首先，柴田提到了山口智子的这一发言事件。关于“其实你是想要孩子的吧”反馈，中村分析说“类似这样的批判，女性之间可能容易出口，如果是男性的话，会非常慎重。”柴田还表示，“这和怕自己成为折磨的加害者，以及在家庭、学校所受到的社会性教育有关。”

子どもを産まない人生を自主的に選択したことを“負け惜しみ”と言われることは中村氏も経験があり、以前「生理がなくなってスッキリした」という内容のコラムを書いた際、「本当は出産したかったくせに」などの批判があったそうだ。

中村也有过明明是主动选择了不生孩子的人生，却被说成“嘴硬”的经历。她之前还撰写过一则内容是“例假没了，整个人都轻松了”的文章，也被评论“明明是想生孩子的吧”。

中村氏は、「女に生まれたからには、子どもが欲しい。そう思うのが自然だと捉えている人は男女関わらずものすごく多い。知り合いの女性からも、『本当は子どもが欲しいのに肩肘張らないでよ。女は男の遺伝子が欲しいからセックスをする。女はそういうものだよ、私はそう』と言われたこともある。こっちとしては、『は？』って感じだけど、本人は悪気がない。子どもが欲しい人はそういう考え方になってしまうのだろう」と続けた。

中村还说，“女人天生就是想要孩子的。自然而然就这么认为的人很多且无关性别。我认识的女性朋友也对我说过，‘真的想要孩子就别逞强了。女人是想要男人的遗传基因才做爱的。女人天生如此，我就是的’。而我的反应却真的是觉得莫名其妙，虽然她并无恶意。这大概是想要孩子的人，就是会这么想吧。”

子どもを産みたいか産みたくないかは、母親の影響が強い？
想不想生孩子，母亲的影响力很大？

「子どもが欲しくない女性はこの世にいるはずがない！」。その断罪に悪気がないとしたら、そうさせる要因はなんなのだろうか。

“这个世界上根本不存在不想要孩子的女人！”这种极端断言虽然并无恶意，但形成这种想法的原因到底是什么呢？

話題は、その要因のひとつは自身の母親の存在ではないかという流れに。牧村氏は、出産経験をしてみたい気持ちは強いと語る。その理由として、「昔から母親が繰り返し『女の哲学者がいないのは何故だと思う？女は産むと全てを悟るの。女には哲学の必要が無いのよ』と言っていた。今はこの人は何を悟ったんだろうと思えるけど、子どもの時はそれを聞いて、『私も悟りたい！』と思った」（牧村氏）と幼少期を振り返った。

其中一个主要原因，可能是自己母亲的影响力。牧村说自己想要体验生育经历的想法十分强烈。回顾孩童时代，牧村说“从小母亲就反复给我灌输‘你知道为什么没有女哲学家吗？女人生了孩子，就全都大彻大悟了。对女人来说，哲学毫无意义。’”如今想来，到底那个人悟出什么来了呢？不过当时还是孩子的自己，听了这个后，就想着“我也要大彻大悟！”

中村氏は「痛い思いをしたくないし、そもそも子どもが嫌いだけど、出産にネガティブなのは昔から母親に『あんたのせいで妊娠中にカルシウム吸い取られて歯がボロボロなのよ』と言い聞かされてきたことも関係している。虫歯になるたびに『あんたのせいで……』と言われ、幼心に申し訳ないなと感じていた」とエピソードを明かした。

中村还说了一个趣事，“我虽然很怕痛，原本又不喜欢小孩子，不过消极对待生娃这件事，也跟从小母亲唠叨着‘都因为怀了你，把我的钙质都吸收掉了，害我现在牙齿一塌糊涂’有关系。每每她害了龋齿，就会说‘都是你的错……’，让我幼小的内心深深地感到了抱歉。”

柴田氏も「私も全く産みたいと思わないけど、母親から『あんたを産んだせいで太った』と言われてきた」と共感を示した。三者の話からは、母親が出産経験に対してどんな考えを持ち、どう教育してきたかが、子どもの出産観に大きく影響することがわかる。

柴田也表示“我虽然也完全不想生孩子，不过跟妈妈总说‘就因为生了你，我才胖了’相当有关系。”从三位的谈话中可以看出，母亲对于生产经历有着怎样的想法，又是如何教育孩子的，对于下一代的生孩子观念有着巨大的影响。

産まない女だけでなく、産んだ女にものしかかる抑圧
不仅是没生孩子的女人，生了孩子的女人也受到压迫

柴田氏が「子どもの人生に責任を取り続けることの不安から、産みたくないと思う女性もいます。中村さんは、どう思われますか？」と質問すると、「現在は、子育てへのプレッシャーをお母さんにすべて抱え込ませる風潮がある。育児放棄をしているわけでもないのに、『子どもを外に預けるなんてかわいそう』『お母さんが子どもを預けて自由にしているなんて、わがままだ』という思い込みと決め付けが根強い。世間が共有している“母親像”を一度壊してしまう必要があるのではないか」と話した。

柴田提问道“也有女性因为对要负责孩子的人生而感到不安，从而不想生孩子。中村你怎么看呢？”“现在，社会风气使得育儿压力全都让妈妈承担着。并非放弃育儿，有一些标签却钉得死死的，比如‘把孩子寄托在外，孩子好可怜的’、‘妈妈把孩子寄托，放自己自由，简直太任性了’。是否有必要打破一次这种社会所共同认知的‘母亲像’呢。”

すると牧村氏は「『母親はこうするべきだ』と言う人は、自分の母親にして欲しかったことを求めているだけなのでは？」とポツリ。自分が抱えている理想の母親像をすべての母親に要求し、そのレベルに届かない母親を糾弾してしまう、という構図が生まれているのかもしれない。

于是牧村还说了一句，“说着‘母亲应该这样做’的人，是不是仅仅希望自己的母亲应该这样做呢？”也许就会产生这样一个构造，即自己所想象的理想母亲像，要求所有的母亲都做到，如果做不到这个水平的母亲就会被谴责。

芸能界で活躍するママタレについて話が及ぶと、柴田氏は「母乳で育て、レシピ本を出し、手の込んだおやつを手作りするなど、ブログなどで100点満点の母親像を発信している。彼女たちが賞賛されることによって、世の中のお母さん達は圧迫を受けている」と語る。牧村氏は「ママタレが圧迫の源のように見えるけど、彼女たちも理想を求められて圧迫を受けている。まるで圧迫のメリーゴーランドだ」と、すべての母親が抱える生きづらさに胸を痛めた。

谈及在演艺圈活跃的妈妈艺人，柴田说到，“那些母乳喂养、出烹饪书、手工制作复杂点心的妈妈艺人们，在博客上发布着自己满分模样的母亲像。她们在备受赞许的同时，也令社会上的母亲们压力重重。”牧村也认为，“妈妈艺人简直就是母亲们压力的源头，但妈妈艺人自己也是为了追求被理想而备受压迫。这一切就如同是压力的旋转木马，看不到尽头。”为所有母亲艰辛的生存现状痛心疾首。

中村氏は一連の話の総括として、「批判をする人は、自分の理想とは違うことをされたり、足並みを乱されたりすることへの恐怖や怒りが根底にある。誰にも迷惑をかけていないのに『あなたがそうするのはあなたの勝手』という意識を持てないのは、同調圧力が当たり前になっているから」と、日本全体が持つ、すべての人間の多様性を認める意識の低さを指摘した。

中村将一系列的谈话总结为，“在行批评之能事的人，根本上是对与自己理想有差异、打乱了自己阵脚而产生的恐惧和愤怒所导致的。没有那种既然没给任何人添麻烦‘你想怎样是你的事’意识的人，是因其把同一步调看作成理所当然的事。”中村指出，日本全社会在承认人类多样性的意识上十分薄弱。

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