中国で最も知名度が高い日本人俳優の矢野浩二は、善良な日本人留学生から残虐な日本人軍人、頭の切れる日本人ビジネスマン、正義の日本人スパイなどを演じただけでなく、過去に何度か世論の重圧にさらされている。

在中国具有高知名度的日本演员矢野浩二,不仅饰演过善良的日本留学生、残忍的日本军人、精明的日本商人、正义的日本间谍等角色,过去还多次遭到了舆论的抨击。

そんな彼が中国語で執筆した初の自伝「有夢不怕路遠(夢さえあれば遥かな道のりも怖くない)」が出版された。自伝では、彼はかつて居酒屋のバーテンダーで、夢を求めて東京に行き、芸能人の付き人からエキストラ俳優となり、さらには中国語が一言も話せない北漂(北京に出てきて奮闘する地方出身者)に、そしてスターになり、バラエティ番組「天天向上(Day Day Up)」の司会者となるまでの波乱に満ちた経歴が紹介されている。また中国と日本の民族的な性格に対する彼なりの分析や教育理念への見解、中日文化に対する思いなどが語られている。

他用中文撰写的第一本自传《有梦不怕路远》现已出版。书中介绍了他波澜壮阔的人生经历,从一个居酒屋的调酒师,为了追逐梦想来到东京,从一名艺人的跟班到成为临时演员,一句中文都不会的他甚至选择了“北漂”,最终成为明星,并担当起综艺节目“天天向上”的主持人。

この本の編集担当者は「浩二の文章にはほとんど修飾的な編集を加えていないため、読者にとって巧みな、美しい文章とは感じられないかもしれないし、表現方法も一部硬かったり、スムーズでないかもしれない。ただこれが彼の真の姿であり、中国を15年間漂泊した日本人俳優の心の底から発せられたリアルな情感なのだ」とした。

本书的责任编辑坦言,“浩二的文章几乎没有被修饰性地编辑过,对于读者来说,可能文字并不那么精致、优美。而且有一部分表达方式也比较生硬、不够顺畅。不过,这就是他真实的写照,是一位在中国漂泊15年的日本演员从内心深处所发出的真实情感。”

「有夢不怕路遠」のなかで、矢野は「人生には準備された乗り越えなければならない多くの舞台がある。そして僕は森田さんの付き人から始まり、中国で仕事の無い日々に耐え、自分の心をすり減らしながら鬼子(日本兵に対する蔑称)を演じ続けた。その後はバラエティ番組の中でうまく自分を表現できずに落ち込み、失言から困難に陥った。一つの舞台を越えてもすぐに別の困難が僕の前に立ちふさがった。そのたびに苦悩し、涙を流しながら、それでも色々考えて前に進み続けた。そうして今日の僕がある。このように舞台を乗り越えて前に進み続けることこそ人生である。完璧な演技というものが無いように、人生もこうやって続いていくのだ」と記している。

在《有梦不怕路远》一书中,矢野记述道,“人生必须要准备跨越的舞台有很多。我从森田先生的跟班开始做起,曾经在中国忍受着没有工作的日子,压抑着自己的内心不断饰演日本鬼子。之后在综艺节目中因为自己不会说话而沮丧,陷入说错话的纠葛。就算登上了一个台阶,却又立刻有其他困难摆在我眼前。每每苦恼不已,抹着眼泪却也在不断思索、摸索着前进的道路。这才有了今天的我存在。人生,便是因为这一步一步向上爬的经历才显得弥足珍贵。就像没有完美的演技一样,人生也只能这样蹒跚前行。”

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