卒業式の歴史学 [著]有本真紀
[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]歴史

《毕业典礼的历史学》【著】有本真纪
【评论】渡边靖(庆应大学教授·文化人类学)【刊登】2013年04月21日【范畴】历史

日本に特有の「涙」はいつから
3月の風物詩といえば卒業式。ふと思い浮かべる曲は何だろう。〈仰げば尊し〉、〈贈る言葉〉あるいは〈旅立ちの日に〉。ハレの日にもかかわらず、そこにはうら悲しさが漂う。級友や恩師との別れに涙した人も多いだろう。

日本特色的“泪”,起源于何时?
3月的风物诗是毕业典礼。说到毕业典礼,一瞬间脑海中浮现的曲子是哪一首?《敬仰师恩》、《临别赠言》还是《启程之日》?离别之际,就算晴空万里,也悲悲戚戚。为同学和恩师的离别潸然泪下的人不在少数吧。

しかし、著者によると、そうした雰囲気の卒業式は「ほとんど日本に特有の学校文化」というから驚きだ。

可是,作者却说,这种气氛的毕业典礼“几乎是日本才有的学校文化”。让人大吃一惊。

しかも「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう」という斉藤由貴のヒット曲の歌詞とは裏腹に、近代的な学校制度が誕生した明治初期には、卒業式は「涙」や「別れ」とは無縁だったという。

斋藤由贵的流行歌曲中有这么一句歌词,“在毕业典礼上不哭的人,会被说成是冷漠无情的人”。然而与此相悖的是,在近代学校制度诞生的明治初期,毕业典礼与“眼泪”、“分别”等词语毫无关系。

一体いつから、なぜ、どのように卒業式はセンチメンタルな空間へと変容したのだろうか。目から鱗(うろこ)が落ちる史実を丹念に積み重ねながら、そのからくりを鮮やかに解き明かしたのが本書だ。

那么,毕业典礼的氛围是从何时、为何、又是怎样变得感伤了呢?本书将史实娓娓道来,令人茅塞顿开。

キーワードは「感情の共同体」。

关键词为“情感的共享”。

しかし、そもそも何のための「共同体」なのか。それは日本社会における「学校」の位相を改めて問い直すことでもある。

然而,究竟为何要有“共享”呢?那就得重新审视在日本社会中“学校”的地位了。

しばしば懐古主義的な精神論や目前の成果主義に陥りがちな教育改革論議。まずは所与の「現実」を歴史的文脈のなかで脱構築する作業が欠かせない。本書の真の醍醐味(だいごみ)はまさにその点にある。

关于教育改革的争论屡陷复古的形而上学理论和目光短浅的功利主义当中。然而对教育的思考要把现实环境从历史环境中独立出来。这是必不可少的。而本书的妙趣也正是在这点上。

卒業式といえば、スティーブ・ジョブズが人生哲学を論じた演説は世界中の大学生の間で話題になった。

说起毕业典礼,斯蒂芬·乔布斯关于人生哲学的演讲在全世界的大学生之间成为话题。

日本の卒業式でも「涙」や「別れ」よりも「言葉」が重んじられる日が来るのだろうか。30年後、卒業式はどうなっているのだろうか。

比起“眼泪”与“分别”,日本的毕业典礼也终会迎来更注重“语言”的那一天吧。30年后,毕业典礼会变成什么样呢?

それは、とりもなおさず学校、そして日本社会の未来を想像し、デザインすることに他ならない。

不外乎是对学校,以及日本社会的未来进行的畅想与设计。

本書をそのための貴重な契機としたい。

愿本书成为推动毕业典礼转变的重要契机。

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