关键词:重箱 本堂 白状
「その重箱はどこにある。」 「本堂の御本尊さまの前に上げて置きました。」 「うん、それはなかなか気が利いている。どれ、どれ。」 といいながら、和尚さんは本堂へ行ってみますと、なるほど重箱がうやうやしく、御本尊の前に上がっていましたが、あけてみると、中はきれいにからになっていました。 「これこれ、小僧。きさまが食べたのだな。」 と、和尚さんは大きな声でどなりつけました。すると小僧はすまして、のこのこやって来て、 「へええ、とんでもない、そんなことがあるものですか。」 といいながら、そこらをきょろきょろ見まわして、 「ああ、わかりました。御本尊の金仏さまが上がったのです。ほら、あのとおりお口のはたに、あんこがいっぱいついています。」 と、こういうと、和尚さんはそれを見て、 「なるほどあんこがついている。お行儀のわるい金仏さまもあればあったものだ。」 といいながら、おこって手に持っていた払子で、金仏さまの頭を一つくらわせました。すると「くわん、くわん。」と金仏さまは鳴りました。 「なに、くわんことがあるものか。」 と、またおこって二度つづけざまにたたきますと、また「くわん、くわん。」と鳴りました。 そこで和尚さんは、また小僧の方を振り返ってみて、 「それ見ろ、金仏さまはいくらたたいても、くわん、くわんというぞ。やはりきさまが食べたにちがいない。」 すると小僧は困った顔をして、 「たたいたぐらいでは白状しませんよ。釜うでにしておやんなさい。」  といいました。そこで大きなお釜にいっぱいお湯を沸かして、金仏さまをほうり込みました。すると間もなく、お湯がぐらぐらにたぎってきて、 「くった、くった、くった。」 といいました。 「そらごらんなさい、和尚さん。とうとう白状しましたよ。」 と、小僧さんはとくいらしくいいました。