コナン :だけど今回の事件は違うんじゃねえか、いくら出島社長が組織の一員だったおめえの父さんの友人だからって、30年も会ってねえのに。
灰 原:目的は私、父親の友人を殺害し、精神的に追い詰めるつもり だったとしたら どう
コナン :ばかいってんじゃねえよ 何でヤツらに そんなことが。
灰 原:感じたのよ 杯戸町のデパートに行ったあの日、薄れて行く意識の中で 私をさげすむような冷徹な視線を。
コナン :な何だと じゃ 何で ここへ来たんだ、危険だと分かってて どうして。
灰 原:知りたくたった じゃ ダメかしら、私の両親が本当に組織で噂されていたような 
人物かどうかを、あの明るいあなたのお母さんに会ったら無性にね、でも どうやら噂どおり
マッドサイエンテイストの父は ともかく 母は無口で陰気で 
何を考えているか 分からない人だったみたいね。
コナン :バーロっ ただの噂だろ 勝手に決め付けてんじゃねえよ。
灰 原: 知ってる 母が組織で 何て呼ばれていたか ヘルエンジニル(HELL ANGLE)
    地獄に堕ちた天使 まあ これで完全に興味がなくなって、すっきりしたけどね
    さて 私の用は済んだから 事件なんて ほっといて さっさと ここから立ち去りましよ
    まっ もっとも 立ち去るっていっても どこにも 逃げ場はないかもしれないけと
博 士:じゃが 哀くんのお姉さんが隠した物を見つけんことには。
灰 原:あら さっき 工藤君がいってた 盗聴器の推理 盗聴器で この仕事場の人達の会話を
聞いて 隠し場所を特定し 2回目に侵入した時 それを見つけて 盗聴器と一緒に回収したとも
考えられるでしょ だから ここに とどまる理由は もう
目 暮:では 空き巣に入られたのは 何も取られていなかったんですな。 
夏堀勇:でも 社長はデザインを盗まれたと 思っていたみたいっスけど。
今井徹夫:誰かが こっそりデザイン画の 写真を撮って行ったんだと。
夏堀勇:社長昔から そういうのに うるさくて。
今井徹夫:自分のデザインに似たのを 見つけると すぐカットなって。
財津浮彦:今朝も どなりに行ってたなあ。
目 暮:今朝も
財津浮彦:ああ よそのデザイン事務所に 「よくも私のデザインをパクったな 空き巣に入ったのはお前らか」ってね。
目 暮:おおい ひょっとしたら。
高 木:ええ
高 木:そのデザイン事務所に行った時に 何らかの方法で 毒を仕込まれた可能性もありますね
財津浮彦:まあ 社長が怒るのも無理えよ デザインがマネされてまん延したら すぐに飽きられて
ポイ捨てだからよ 
コナン :ポイ捨て。
今井徹夫:ああ 空き巣といえば あの後 妙なことが。
目 暮:妙なこと
今井徹夫:急に出て来たんですよ 随分前になくしたボールペンが。
財津浮彦:そうそう 俺の定規と一緒にな。
目 暮:取られたんじゃなく 出て来てのかね。
今井徹夫:えええ ここから玄関のげた箱の中から ひょっこり。
夏堀勇:でも それ 空き巣に入られる 前じゃなかったっスか。
財津浮彦:あれ そうだったか。
今井徹夫:それより 妙なのは あの後の社長ッスよ。
財津浮彦:ああ そういえば それも あのころからだったなあ。
社長:節水 節水って。
財津浮彦:急に 口うるさくなったのは。
今井徹夫:おかげで 仕事中にシャワーを 浴びるのが禁止になっちゃって。
財津浮彦:前に そんなこと 気にする人じゃなかったんだが。
コナン :そうか そうだったんだ。
目 暮:では そのデザイン事務所に 案内していただけますかな
財津浮彦:ええ。
コナン :やっば 違うな。
コナン :この事件は 黒ずくめのヤツらの 仕業じゃねえっつってんだ。
    恐らく 犯人が あの人 トイレを利用して 出島社長を殺害したんだ。
    それに を宝を目の前にして 帰る手はねえぜ。
灰 原:えっ じゃあ。
コナン :ああ まだ眠っているはずさ。 あの トイレの中に おめえの姉さんが隠した何かがな。
高 木:警部 とにかく 行ってみましょう そのデザイン事務所に    
目 暮:ああ 出島社長に気づかれずに 毒を手に付着させた方法が何か 分かるかもしれんしな。
博 士:いや ないよ ああ いやあ はは たとえ あったとしても ここへ帰って来た時に
   何か触るじゃろ ドアのノブとか いすの背もたれとか じゃが 毒物反応が出たのは
   社長の左手と ズボンの右側と ベルトの穴が開いている部分と 彼が持っていたハンカチ
   そして 彼が倒れる前に食べた ハンバーガーの包み紙だけじゃ しかも それらは 
   すべて少量で 恐らく 彼が毒の付いた手で触った 時に付いたものとするのなら
   もう わかるじゃろ いつ社長の手に毒が付いたかが ほれ 
   ベルトを 緩めてズボンを上げ下げし ハンカチを使う場所というば
目 暮:ままさか トイレの中。
博 士:そうじゃ 出島社長は トイレの中で毒を仕込まれて 殺害されなんじゃ そこの 
   3人の社員の中の 誰かにのお。
目 暮:でもねえ 阿笠さん トイレの中から毒物反応は 何も。
博 士:出て来なくて 当然じゃよ 毒が塗られた その物体は 出島社長
   自らのてによって トイレの外に 持ち出されて しまったんじゃからなあ。
目 暮:な何。  
高 木:持ち出されて。
博 士:ほら あるじゃろ 使い切ってしまったら 捨てなければならん物が。
目 暮:芳香剤は なかったようだし タオルを替えなんなら もっと きれいなタオルが
   掛かっているはずだし。
高 木:あとは トイレットペーパーの そうか トイレットペーパーの芯
   トイレットペーパーの芯ですよ あれに毒を塗って 備え付けておけば
   紙が なくなって取り換える時 その芯は 捨てるために 
   持ち出してくれますよ。
目 暮:だが そうだとすれば 取り換えた 新しいトイレットペーパーに
   毒が付いているはずじゃあ。
博 士:普通 取り換えたら使うじゃろ 新しいトイレットペーパーの
   毒が付いた部分は 使うときに ちぎられて トイレの水で
  流されてしまうわい。
博 士:な なるほど納得じゃろ。
   で 恐らく 出島社長がトイレの 中でとった行動は こうじゃ
   まず トイレの紙が 切れていることに気にづいて
   毒の付いた芯を右手でつかみ いったん 床に置く
   棚の上に置いてある 新しい トイレットペーパーと取り替え
   紙を使い終えたら 毒のついた右手でズボンを上げ
   ベルトを締め タンクの左側にあるレバーを
   左手で ひねって トイレの水を流す そして 手を洗い
   ハンカチで ふけば 毒は ふき取られ 用済みの芯を持って
   トイレを出れば トイレ内に 毒が残らないというわけじゃ
目 暮:しかし 毒は 遺体の左手に 付いたいたじゃないですか
   左利きでもじゃないのに 何で芯に 付いていた毒が 左手に
高 木:いやだなあ 警部 トイレのドアを右手で開ければ
   左手に芯を持つに 決まってるじゃないですか
目 暮:オホン な なるほど そうやぅて 持って出た芯を
   ゴミ箱に捨て 毒のついた左手でトイレットペーパーを
   つかんで食べてしまい 毒殺されたというわけですな
博 士:何なら試してみましょうか 実際にトイレに入って
目 暮:ああ ちょっと 阿笠さん まだ 重要なことが とけていませんよお
   このトリックを仕掛けたのは 3人の社員の中の誰なんですか
   最も怪しいのは 社長の前に トイレに 入った あなたでしょうけど
今井徹夫:ま 待てよ おかしくねえか 確かに 今の方法なら 社長を
     毒殺できるかもしれねえけど 社長が腹をこわしてトイレに入り
     トイレットペーパーを使い そこ間に 誰かが
     ハンバーガーを買って来なきゃ
     この犯行は無理じゃねえか
     ハンバーガーを食べようって いったのは社長だしなあ
目 暮:確かに 都合が良すぎるか
博 士:じゃから 犯人は何度も シミュレーションをしたんじゃよ
   出島社長は夢にも思わなかったじゃろう
   毎日 今井さんが入れてくれる コーヒーの中に
   下剤がはいっていたなんてのお
今井徹夫:下剤
財津浮彦:下剤
目 暮:じゃあ
高 木:今井さんが
財津浮彦:んなあ
博 士:毎日 下剤の量を少しずつ 増やして 味に慣れさせ
   その量と トイレに行く タイミングを計っておったんじゃ
夏堀勇:じゃあ 社長が最近 よく おなかをこわしていたのは
博 士:ああ そうじゃ
   そして 社長か ハンバーガーを注文した この日に
   計画を実行したんじゃよ ちなみに 今井さんが コーヒーに
クッキーを添えて持って来たのも トイレに行きゃすくするため
   人間は食事をとると 横行結腸から S状結腸にかけて
   急激に強い 蠕動運動が生じる つまり 何かを胃袋に入れると
   便意が起こりやすいというわけじゃ まあ 普段から痔のために
   下剤を服用していた出島社長なら 司法解剖で体内から下剤が
   発見されても 問題はないし たとえ 下剤がコーヒーから見つかっても
目 暮:いつも そうやって 飲んでいたと思われて 怪しまれないということですな
   となると 今井さんが毒を 仕込んだのは トイレに入った時
今井徹夫:俺が その前に入ったんだぞ もしも 小のほうじゃなかったら 
     俺か死んでたのかよ
博 士:いや 
   あなたは いつも 左手に飲み物を持っていたし
   トイレが近いなら 小のほうだと想像がつく
   もしも 大のほうだったら ウェッドライッシュが何かを
渡すつもりだったんじゃろう. 「食べる前に手をふけよ」
とかいって
今井徹夫:何で 大か小かなんて分かるんだ トイレの中をのぞいてたんじゃあるまいし
博 士:トイレの水の音じゃよ
今井徹夫:み水の音
博 士:出島社長か 節水するように 口うるさく いっていたのなら
   小の時に 大のレバーを 回したりはせんじゃろ
   もちろん あなたの後に入り 社長に せかされて
   慌てて出て来た コナンくんと 哀くんか 毒付きの芯には
   触れていないだろうということもな
目 暮:よし あとは 出島社長か どこかに捨てた トイレットペーパーの芯だ
高 木:はい
今井徹夫:待てよ いつも ここに捨ててるんだぜ
     ほら あった
高 木:け警部
目 暮:うん よし 鑑識 もし これか 毒付きだとすると
   持ち運んだ時の袋か もしくは 毒の入れ物があるはずだが
灰 原:台所の流し台の 三角コーナーの中
   私なら トイレで毒を仕掛けた後
   コーヒーを入れに台所へ行った時 そこに隠すわ 臭くて汚くて
   誰も触りながらない場所だし 後で 人目を盗んで処分しなくても
   誰かに 勝手に 捨ててくれるだろうしね 
   それに ごみ箱と違って
   隠した場所を変えたくなった時回収しやすいから
高 木:警部台所の三角コーナーの中から 妙なビニール袋を発見しました
目 暮:おお そうか この袋から 毒物反応と あなたの指紋が出れば
財津浮彦:出るでしょうね
     社長を殺害する 機会を逃さないために
     ずっと 肌身離さず 持っていたんですから
     殺意を覚えた目に もう 20年も前からな
今井徹夫:20年前から
財津浮彦:ああ 君か この事務所にはいって まだ間もないころ
     ほら 私か ここを辞めて独立し もう一度 再入社しただろ
     あのころだよ
夏堀勇:そういえば 前に 社長に聞いたっス
    独立したけど 芽が出ないから 拾ってやったって    
財津浮彦:「芽が出ない」か そりゃ 出るわけないよ
     社長か出版会社に 根回ししていたんだから
     裏切り者に仕事を回すなってね    
今井徹夫:ママジで
財津浮彦:ああ 出版社の友人に聞いたから
     あの時は カーっとなったよ どうしようもなく
     社長が帰宅したら どうやって殺そうかと 台所であれこれ考えるぐらいにね
     そうしたら たまたま 両親と来ていた
     明美ちゃんが後ろに立っていて
     「どうしたの怖い顔して 探し物それとも 何か隠したいの
     三角コーナーの中は 隠しちゃダメだよ
     誰かに捨てられちゃうから」って
     悲しそうな顔で聞いてきたよ
     「おじさん ちょっと疲れか 出ただけだから」って答えたら
     にっこり笑ってね
     その後だよ 明美ちゃんが 私達の 道具を至る所に隠し始めたのは
     でも その無邪気な笑顔を見ていたら
     殺意が どこかに 吹き飛んでしまって
目 暮:じゃあ どうして今になって また
財津浮彦:この前 また 社長に 独立したいと相談したら
こう いわれたんですよ 「今の お前さんのセンセじゃ無理だ
20年前なら話は別だがな」って
久しぶりに 彼女に会って 気か大きくなっていただけに
社長の言葉は こたえたよ
今井徹夫:彼女って この前 トイレを 借りに来た 明美ちゃん
財津浮彦:ああ 実は少々期待していたんだ その時の彼女の笑顔に
明 美:  「1週間くらい たったら また来ます 今度は妹を連れて」
財津浮彦:だが 彼女は来なかった
     また あの笑顔で 殺意を消してくれるんじゃないか と思ったが
     虫が良すぎたか
灰 原:それで 見つけたんでしょう
   博士と トイレに入った時に
   お姉ちゃんが隠した物を
コナン :おめえの姉さんが トイレを借りに来てから
    あの出島社長が 急に 節水しろって 口うるさくなったっていうのを 
    聞いてピント来たんだよ
    トイレの給水タンクの浮き玉に
    何かが取り付けられていて
    水が 少しずつ 流れ続けてるんじゃねえかってな
    タンクの ふたを開けて 浮き玉の 裏を調べてみたら 案の定
    何かが入ったビニール袋が ガムテープで しっかり取り付けられてたよ
    ほかにも 古いビニールテープが くっ付いていたから
    たぶん 20年前 お姉さんは
    今井さんの「疲れた」って言葉を 真に受けて
    仕事を休めるように ペンや定規を隠したんだ
    んで 20年後 再び やって来た時に 取り付けていた物をはがし
    代わりに こいつを はっ付けたってわけだ
    1から20のナンバーが ふつてある このカセットテープを
    ビニール袋に入れてな
灰 原:か カセットテープ
コナン :ああ 少なくとも ヤツらの手がかり ぐれえは入っているはずだ
    黒ずくめの監視役に 気づかれちゃならねえ
    大事な情報がな
   
灰 原:ちょ ちょっと まさか あなた 今 聞いているの
コナン :あっ ああ とりあえず 11 15 ってやつを聞いてんだけど
    頭の余白が多くて まだ何にも
灰 原:ダメよ やめなさい あなたは 知らなくともいいことよ
   これ以上 深入りしたら あなた本当に
コナン :悪い 灰 原 確かに これは 俺が聞いちゃいけねえテープだ
    おねえの おめえだけの声だ 聞いてみな
明 美:11才になった志保へ お誕生日おめでとう
灰 原:お母さん
明 美:そろそろ好きな人できましたか
   おかあさんの初恋はね
コナン :たぶん 死期を悟って
    灰 原の姉さんに託したんだ
    成人するまでの娘への言葉を このカセットテープに込めて
    厳しくて渡せなかったけど
    昔 やったいたずらのことを思い出して
    あのデザイン事務所のトイレで
    こっそり渡すつもりだったってわけか
    やかったな 灰 原
灰 原:お母さん
コナン :お前の お母さんは正真正銘のエンジエルだぜ
ベルモト:待たせたわね
     まあ あなたの腕を 借りるまでもないと思うけど
     サイトにとらえたれ 一発で仕留めてちょうだいね
     カルバドス