春節(旧正月)を間近に控えて、一部の研究者たちは、現代文明の波が押し寄せている中で、古来の風俗習慣を重んじる儀式をそのシンボルとする「お正月の風情」は次第に変化し、まったく新しい「春節文化」ともいうべきものになりつつあり、かつそれが広く受け入れられるようになったと考えている。新華社のウェブサイト「新華網」が専門家らのコメントを伝えた。

  ▽中国民俗学会の劉魁立会長

  春節は自然の摂理を反映する節目の日(節句)で、人々はこの日に旧年に別れを告げ、新年を迎える。昔は、春節は皇帝から民衆にいたる国民全体の盛大な祭りの日であり、神を祭り、祖先を祭り、お年寄りを敬い、親戚を訪問し、提灯をともして行進するなどが主な内容だった。

  時間の推移とともに、春節の民俗およびその内包文化が重要な変化を起こす。その一つは、現実の社会関係を重視する傾向が強まったことだ。現代人の交際範囲の拡大や人事関係の複雑化につれて、友人、同僚、上司・部下間など社会関係の連係が春節の重要な内容となった。

  春節文化が内包するもののもう一つの大きな変化は、古来の礼儀・祭典を中心とするものから今日のレジャーや娯楽が主となったこと。たとえば、爆竹を鳴らし、「春聯」(春節に玄関に飾るめでたい対句)を貼るなど、本来は邪気を払う意味を持つ風俗習慣も、今では娯楽の様式となってしまった。

  ▽政治協商会議全国委員会の李漢秋委員

  神や祖先を祭る、餅をつく、提灯をともすなどの春節のシンボル的な風俗習慣や儀式は、農耕社会の物質への要求を体現している。今日の人々が春節に惹き付けられるのは、もはや食事や物ではなく、貴重な精神面での雰囲気だ。一家揃っての団欒(だんらん)で情愛を深め、歌を歌い楽しく歓談し、親戚・友人を訪ねて親交を温める――今あるこのような独特の民間の気風や風俗は、(過去にあった物質的意味合いを失い)精神的雰囲気だけが残された儀式だといえる。