経費削減と既存施設の活用を強調

强调削减费用和活用现存的设施

11月29日、札幌市の秋元克広市長は定例の記者会見で、よどみなく計画の見直しについて説明した。

11月29日,札幌市的秋元克广市长在例行的记者见面会上,对持续发展计划的修改进行了说明。

「東京2020大会を節目に、IOC(国際オリンピック委員会)も大会の開催方針を変更し、オリンピック・パラリンピックは、持続可能なアプローチで大会運営を追求するようになってきている」

“以2020年东京奥运会为节点,IOC(国际奥委会)也改变了举办奥运会的方针,奥运会和残奥会将追求以可持续的方式举办奥运会。”

秋元市長が発表した予算の内訳は、施設整備費が800億円、大会運営費が2000億~2200億円。市長はさらに「大会運営費については、IOC負担金や大会スポンサー収入などの活用で、原則税金を投入しない」とまで明言した。

秋元市长发表的预算明细中,设施整备费800亿日元,大赛运营费2000亿~ 2200亿日元。他还表示:“对于大赛运营费,将利用IOC负担金和大赛赞助商收入等,原则上不会投入税金。”

だが、計画を詳しく照らしてみれば、大会運営費として挙げた額は、民間資金で運営される組織委員会の予算に過ぎない。東京大会では、コロナ対策やテロ防止の警備費、大会関係者の輸送費などに多額の税金が投入された。

但如果详细分析计划看,大会运营费列出的金额,只是组织委员会用民间资金运营的预算。东京奥运会在预防新冠、防恐怖活动的警备费、大会相关人员的运输费等方面投入了大量的税金。

東京の大会組織委員会によると、開催経費は1兆4530億円だった(決算見通し)。内訳は組織委が6343億円、東京都が6248億円、国が1939億円。競技・種目数を考えれば、夏より冬の方が開催にかかる経費は少ないだろう。しかし、そうであっても、3000億円程度で大会を本当に開催できるのか、現段階では甚だ疑問と言わざるを得ない。

据东京的大会组织委员会称,举办经费为1兆4530亿日元(决算预测)。其中,组委会6343亿日元,东京都6248亿日元,国家1939亿日元。考虑到比赛项目的数量,冬季举办所需的经费要比夏季少。但是,即便如此,3000亿日元左右真的能举办一场大赛吗?现阶段还是个疑问。

東京大会は招致段階で7340億円の予算だった。しかし、最終的にはその約2倍にまで膨らんだ。札幌も経費を安易に計算せず、現実的な数字で見積もるべきだ。

东京奥运会在申办阶段的预算为7340亿日元。但是,最终却增长了约2倍。札幌也不要随意计算经费,应该基于现实情况的数字来推算。

札幌の計画で経費削減の対象となったのは、主に競技施設である。当初の計画から2会場を減らして13会場とした。札幌にはジャンプ競技場が2カ所あるが、宮の森は使わず、大倉山だけを利用し、ノルディックスキー複合の距離会場に予定していた円山総合運動場も計画から外した。

在札幌的计划中,经费削减的对象主要是竞技设施。比当初的计划减少了2个会场,变成了13个会场。虽然札幌有2个跳台竞技场,但没有使用宫之森,只利用了大仓山,预定为北欧滑雪复合场地的圆山综合运动场也被排除在计划之外。

このほか、アイスホッケー会場の真駒内屋内競技場は建て替えを断念し、改修のみにとどめる。ソリ競技会場の新設もあきらめ、1998年長野五輪で使った長野市のコース「スパイル」を改修して充てることにした。

此外,冰球比赛场地真驹内室内竞技场放弃重建,只进行翻修。还放弃了新设雪橇比赛场地的计划,决定改建1998年长野冬奥会时使用过的长野市的滑道“spile”。

全面的に建て替えられる新月寒体育館を除き、13会場中、12カ所は既存施設となる。その多くが、72年大会の施設である。このほか、開閉会式は札幌ドームで行われ、選手村は老朽化した市営団地の建て替えと連動して整備が進められる予定だ。

除了将全面重建的新月寒体育馆,13个会场中,12个会场是现成的设施。其中大部分是1972年比赛时的设施。此外,开闭幕式将在札幌巨蛋举行,选手村也将与老旧的市营园区重建联动进行整顿。

しかし、競技施設に関しては、国際競技団体からのさまざまな要求が想定される。それらを受け入れると、費用が次々とかさんでいくのは東京大会でも経験したことだ。果たして計画通りに事が運ぶのかは未知数だろう。

但是,在竞技设施方面,国际竞技团体会提出各种各样的要求。如果接受了这些,费用就会一个接一个地增加,这在东京大赛上也有过的情况。事情能否按计划进行还是个未知数。

ライバル都市の動向は?

竞争城市的动向是?

札幌以外で2030年大会招致に名乗りを上げているのは、02年大会を開催したソルトレークシティー(米国)、10年大会を開催したバンクーバー(カナダ)、スペイン初の冬季大会招致を目指すピレネー・バルセロナだ。さらに、ウクライナもゼレンスキー大統領がIOCのバッハ会長に立候補の意思を示している。

除札幌外,正在申办2030年冬奥会的还有曾举办过2002年冬奥会的盐湖城(美国)、曾举办过2010年冬奥会的温哥华(加拿大)、以举办西班牙首次冬季奥运会为目标的巴塞罗那。此外,乌克兰总统泽连斯基也表明了要竞选国际奥委会主席巴赫的意向。

ソルトレークシティーもバンクーバーも、かつて開催した施設が多く残っており、運営上も問題はなさそうだ。バルセロナは1992年夏季五輪を実施しており、都心のインフラは整備されている。山間地のピレネーはスキーリゾートである。

盐湖城和温哥华都保留了很多曾经举办过的设施,运营上应该没有问题。巴塞罗那曾举办过1992年夏季奥运会,城市中心的基础设施非常完备。比利牛斯山脉是滑雪胜地。

ウクライナは今、隣国ロシアと緊張関係にある。米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)にウクライナが加盟することを警戒し、ロシアが国境に軍を集結させている。そのような国が五輪に名乗りを上げる背景に何があるのかは、まだ分からない状況だ。

乌克兰目前与邻国俄罗斯关系紧张。为防止乌克兰加入美欧军事同盟北大西洋公约组织(NATO),俄罗斯正在向国境集结军队。这样的国家要参加奥运会的背景是什么,目前还不得而知。

前回冬季大会以降の開催都市を見ると、18年冬=平昌(韓国)、21年夏=東京(日本)、22年冬=北京(中国)、24年夏=パリ(フランス)、26年冬=ミラノ・コルティナダンペッツォ(イタリア)、28年夏=ロサンゼルス(米国)、30年冬=未定、32年夏=ブリスベン(オーストラリア)となっている。

从上次冬季比赛以后的举办城市看,18年冬=(韩国)、平昌21年夏=东京(日本)、22年冬=北京(中国)、24年夏=巴黎(法国)、26冬=米兰•科尔蒂纳丹佩佐(意大利)、28年夏=洛杉矶(美国)、30年冬=未定、32年夏=布里斯班(澳大利亚)。

18年以降、3大会連続でアジア開催となったことが、札幌にどう影響を及ぼすかも注目される。北米や欧州、南半球との地域的バランスだけでなく、国際政治の情勢も考慮されるに違いない。

2018年以来连续三届在亚洲举办,这将对札幌产生怎样的影响也备受关注。不仅要考虑与北美、欧洲、南半球的地区平衡,还必须要考虑国际政治形势。

不透明なIOCの開催都市選び

不公开IOC举办城市的选择

大会が肥大化し、立候補を希望する都市は減る傾向にある。このため、IOCは「敗者を出さない」方針で、2024年と28年の夏季大会はパリとロサンゼルスに振り分けた。かつてのような総会での投票は行わず、IOC内に設置した「将来開催地委員会」が優先候補地を決め、総会で信任投票する方式に変更したのである。32年のブリスベンはその方法で決まった。

随着大会的盛大化,希望参加竞选的城市有减少的倾向。因此,IOC以“不出现败者”的方针,将2024年和28年的夏季奥运会分别分配给了巴黎和洛杉矶。不像过去那样在总会上进行投票,而是改为由设立在IOC内的“将来举办地委员会”决定优先候选地,在总会上进行信任投票的方式。32年的布里斯班就是用这种方法决定的。

30年大会の決定時期はまだ明らかになっていない。12月初旬のIOC理事会後の記者会見では、30年と34年の両冬季大会を一緒に決めることはあるのか、という質問も出た。バッハ会長は明言を避けたが、そのような可能性も否定はできないだろう。

30年比赛的决定时间还没有确定。在12月初IOC执委会结束后举行的记者招待会上,还出现了是否同时决定2030年和34年两个冬季奥运会的问题。虽然巴赫没有明确表示,但也没法否认这种可能性吧。

地球温暖化や雪不足の影響もあって、冬季大会は開催できる都市が限られる。札幌が「都市圏に近く、自然の雪で大会を開催できる場所は多くはない」とアピールするのも当然だ。また、東京大会のマラソンや競歩を支障なく札幌で開催したこともIOCには好印象を残しており、バッハ会長は「札幌の運営能力には疑う余地がない」と認めている。

受全球变暖和降雪不足的影响,能够举办冬季运动会的城市有限。札幌宣传“靠近都市圈,能在自然的雪中举办比赛的地方并不多”也是理所当然的。此外,东京奥运会的马拉松和竞走都在札幌顺利举办,这也给IOC留下了良好的印象,巴赫主席承认“札幌的办赛能力毋庸置疑”。

美辞麗句で世界の賛同は得られない

华丽的辞藻得不到世界的赞同

そうなれば、課題はやはり住民の支持が得られるかどうかになる。年明けの1月には札幌市が市民と対話の場を持ち、3月には北海道民を対象に意向調査を行う方針だ。それを踏まえて正式な計画を5月~6月に発表するという。

这样一来,问题就变成了能否得到居民的支持。新年1月札幌市与市民进行对话,3月将以北海道居民为对象进行意向调查。以此为基础,将于5月~ 6月发表正式计划。

3月といえば、北京大会が終わった頃になる。冬季大会のムードが盛り上がったところでの調査ということになるが、住民がどのようなイメージを抱くのかはまだ読めない。

说起3月,是北京大赛结束的时候。虽然这是在冬季奥运会气氛高涨的情况下进行的调查,但目前还无法得知居民会有什么样的印象。

東京大会では、コロナ禍の難しい状況下、政治や商業主義が取り巻くマイナスの印象がクローズアップされた。北京大会に向けては、中国の新疆ウイグル自治区などでの人権問題や、米中関係の対立を背景とする「外交的ボイコット」が問題となっている。依然、巨大イベントを取り巻く課題は多い。

东京奥运会上,在疫情难以避免的情况下,围绕着政治和商业主义的负面印象下落幕。面向北京冬奥会,中国新疆维吾尔自治区等地的人权问题,以及以中美关系对立为背景的“外交抵制”成为了问题。围绕着大型活动的课题依然很多。

「札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピック~人と地球と未来にやさしい大会で新たなレガシーを~」が大会ビジョンである。だが、持続可能性をアピールするだけでは他の都市とさほど変わりはないだろう。まして、経費削減や既存施設の活用は、取り組んで当然というべきテーマだ。

“具有札幌特色的可持续发展的奥运会·残奥会~以对人、对地球、对未来友好的大会创造新的遗产~”是大会的愿景。但是,仅仅强调可持续发展,与其他城市并没有太大区别。更何况,削减经费和活用现有设施是理所当然的主题。

「現在は1972年当時に建設された建物等のインフラの多くが更新時期を迎えているほか、人口減少・少子高齢化への対応、気候変動対策、共生社会の実現など、私たちが今後解決していかなければならない、さまざまな課題を抱えている」というのが、招致に向けての秋元市長の現状認識だ。

“目前,除了在1972年当时建设的建筑物等基础设施大多迎来翻新时期之外,人口减少、少子高龄化的对应、气候变化对策、共生社会的实现等,是我们今后必须解决的各种各样的课题”,这是为申办冬奥的秋元市长对现状的认知。

だが、老朽化した競技施設やインフラの整備のために大会を開催するというのでは困る。地元住民向けのメッセージだけでなく、世界の人々の心をつかむ理念がなければ、たとえ開催都市に選ばれても、美辞麗句で飾られた「ビジョン」ははがれ落ちるだろう。

但是,为了完善陈旧的竞技设施和基础设施而举办大赛,这是不可取的。如果没有面向当地居民的信息,甚至也没有抓住世界人心的理念的话,即使被选为举办城市,用华丽的辞藻装饰的“愿景”也会落空。

五輪とパラリンピックを札幌で開催する意味とは何なのか。札幌から世界に向けて何を発信したいのか。大会を招致するのであれば、その根本を改めて追求すべきだ。

在札幌举办奥运会和残奥会的意义是什么?从札幌想向世界发出什么信号?如果要申办大赛,就应该重新寻找其根本。

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