近藤サトが白髪姿でテレビ出演したのをきっかけに、巷で話題となった“グレイヘア”。その見た目に当初はざわついたものの、今では”年齢に抗わない生き方”として多くのメディアや女性誌でもグレイヘアを称賛する声が上がるようになった。世間の関心度は、2018年の流行語大賞にもノミネートされたことからもよくわかる。しかし、一般女性の間からは「いざ自分がやるかというと、なかなか難しい」という声も。誰もが実践できるかというと、疑問を感じざるを得ないグレイヘア。年齢に抗わない生き方とは対極にある“美魔女”という言葉の生みの親、美容雑誌『美ST』(光文社)編集長・桐野安子氏に見解を聞いた。

因近藤サト(自由主播)以一头白发出演电视节目,街头巷尾都开始讨论“灰发”。这样的形象以前会令人诧异,但如今作为一种“不与年龄增长对抗的生活方式”,开始逐渐被许多媒体和女性杂志称赞。从“灰发”被提名2018年的流行语大奖也可以感受到整个社会对这一现象的关心程度。但也有普通女性表示“真要让自己不去染发,保留自然灰白,还是挺难做到的。”灰发让人产生疑问,这是谁都能驾驭的吗?我们寻求了美容杂志《美ST》(光文社)的主编桐野安子女士的见解,也正是她创造出跟“不与年龄增长对抗的生活方式”正相反的“美魔女”一词。

去年在日本引发热议的近藤サト主播

“グレイヘアブーム”に悩む女性たち、「自分が納得してトライするのはいいこと」

对“灰发热”感到烦恼的女性,“自己能够接受的话尝试一下也不错”

グレイヘア賛美の風潮がある昨今ながら、一般女性の中には「カッコいいとは思うけど自分では難しい」「普通の生活を送る女性には無理」「ラクそうだなとは思うけど…」と、二の足を踏む人が多いのも事実。“グレイヘアブーム”と話題になることで、逆に両極の選択肢に悩んでしまう女性も少なくないだろう。

现在虽然有着赞美灰发的风潮,但事实上普通的女性之中也有许多人犹豫不决认为“虽然很酷但自己应该做不到”“想要平凡生活的女性一定做不到的”“虽然看起来好像很轻松但是...”因为“灰发热”成为话题,反而在两种极端的选择中摇摆不定的女性应该也不在少数。

これまで、世の女性たちにとっての最重要事項である”若さ”と”美貌”に焦点をあて、雑誌を作ってきた女性向け美容誌『美ST』。10年前、その両方を叶えた”美魔女”という言葉を生み出した。読者層は、グレイヘアが流行しているとされる年代と同じ、40代から50代の女性が中心だ。

一直以来,以女性为主要读者群的美容杂志《美ST》都以“年轻”与“美貌”,这两件对世间女性来说最重要的事为宗旨。十年前《美ST》创造了符合“年轻”与“美貌”的“美魔女”一词。杂志读者群体也正是与灰发流行贴合的四五十岁女性。

美魔女是指保持着20岁年轻美貌的四五十代女性

「『美ST』では、3ヶ月に一度くらいの頻度で白髪染めの特集を組むのですが、読者アンケートでも必ず上位に入るほど人気なんです。それだけ白髪を隠したいというニーズは大きいし、読者の中では『グレイヘアは80歳くらいからでいいかな』という声が大半。まだまだ男性に女性として見てもらえるのが嬉しい年齢である読者にとっては、やはりグレイヘアは抵抗があります」

“《美ST》中,每隔三个月左右会制作一期白发染发特辑,在读者问卷调查中也有着很高的人气。想要隐藏白发的需求如此巨大,读者中多数人认为‘要到八十岁才可以接受灰发’对于想被男性当做女性对待的读者来说,果然还是对灰发有所抵触。”

ファッションというより“生き方”、一般女性には「逆にオシャレのハードルが上がる」

比起时尚更是一种“生活方式”,对普通女性来说“反而很难变时尚”

確かに、年齢を重ねるごとに増える白髪との追いかけっこに疲れてしまった人にも、染料が負担になる人にも、グレイヘアは解決法のひとつではあるだろう。しかし、ここでいうグレイヘアの本質は、“黒髪を諦める”のではなく“白髪を選ぶ”ところにあるのだ。そして、そこへ一歩踏み出すには、自分を取り巻く環境やライフスタイルも変えていく覚悟がいると桐野さんは言う。

确实,对于疲于应付年龄渐长而产生的白发的人,或是认为染发费用高昂的人来说,自然接受头发变白也是一种办法。但是这种灰发本质上不是“放弃黑发”而是“选择了白发”。并且桐野女士认为为了迈出这一步也要做好改变自身所处环境与生活方式的觉悟。

もはや生き方としての話ですが、いわゆる“自立した女性”としての見え方を重視する方には適しているかもしれません。草笛光子さんや島田順子さんのように、自分を表現するファッションとしてグレイヘアを取り入れる姿に、憧れる方も多いようです。ただ、市井に生きる一般女性がグレイヘアにするには、逆にオシャレのハードルが上がってしまうかもしれません。今持っている服が似合わなくなり、決めたファッションでお化粧もバッチリしないと、ただ老けただけで終わってしまう可能性が高い。頻繁に美容院に通い、整える必要も出てくるでしょう」

我认为这已经是生活方式的话题了,换句话说灰发或许适合那些想让自己看起来像‘独立女性’的人。一定也有很多人憧憬着能像草笛光子桑和岛田顺子桑那样,把灰发当作一种能展现自己的时尚。但是,市井生活中的普通女性变成灰发的话,或许反而会显得不时尚。比如可能会跟现在有的衣服搭配不起来,化妆不完美的话可能最后只会显得人老。到时候还需要频繁出入美发沙龙去进行调整。”

左:草笛光子,演员。右:岛田顺子,服装设计师。

さらに、グレイヘアを選択することは、自分のみならず周囲への影響も考える必要がある。

除此之外,选择灰发不仅要考虑自己还需要考虑到对周边的影响。

「家庭のある方なら、ご主人やお子さんたちの気持ちや、その周りの人たちからの見られ方にも配慮が必要になってくる。たとえば、会社の会合や参観日なんかもあるでしょう。家庭の中心である女性だけに、自分以外の人への影響も大きいのではないかと思います」

“对有家庭的人来说,还需要考虑丈夫和孩子的感受,或者是周围人的看法。比如在公司聚会或是学校参观日。正因为是以家庭为中心的女性,(自己形象的改变)才对自己之外的人有很大的影响。”

今や“一億総美魔女化”の時代、「あえてアンチ“アンチエイジング”になる必要もない」

现在是“全民美魔女”的时代,“没有必要刻意去抵制‘抗衰老’”

創刊からこれまで、40代・50代の女性の“美”と向き合ってきた『美ST』。それだけに、グレイヘア推奨に「NO」という答えを出した根底には、編集部ならではの見解がある。

《美ST》自创刊以来就直面四五十岁女性的“美”。正因为如此,对于拒绝推荐灰发,编辑部也有着自己的理由。

「『美ST』が創刊した10年ほど前は、『40歳になったら女は終わり』と言われる傾向がありました。でも今は、40代でもみなさんキレイで若い。今や、“一億総美魔女化”と言える時代なんですね。グレイヘアを否定するわけではないですが、だからといって、その逆の“美魔女”が批判されるのもおかしいと思います。みなさん、美容だけにかまけているわけではなく、家事もしっかりやっていらっしゃる方々ばかり。“年齢に抗わない”というのはある種、理想的な生き方と言えるかもしれませんが、化粧品業界がこんなにも日々研究を重ね、進化している時代なのに、あえてアンチ“アンチエイジング”になる必要もないのかな、と思います。人生100年時代です。“若くありたい”というのは人間の本能であり、逆にそれに抗うことは不自然だと、私たちは思うんですよね」

“大概十年前《美ST》创刊的时候,有倾向认为‘女人到了四十岁就完了’。但是现在大家即使四十岁也还是年轻又美丽。现在可以说是‘全民美魔女化’的时代了。我们也不是在否定灰发,但是批判与之相反的‘美魔女’我认为也很奇怪。大家也并不是一心只顾着美容,也有很多人勤劳认真做家务。或许‘不对抗年龄’是一种理想的生活方式,但是在化妆品行业日复一日进行研究、进化的时代,我认为没有必要去刻意抵制‘抗衰老’。现在是人生百年时代。‘想要保持年轻’是人的本能,我们反而认为刻意去抵制它才是不自然的。”

東日本大震災の被災地で感じた美容の力、「何を選ぶにしても、自分を好きでいられれば」

在东日本大地震受灾地感受到美容的力量,“无论如何选择,只要自己喜欢就好”

もはやグレイヘアとは、ファッションというよりも、“生き方として何を選択するか”というアイデンティティに近いのかもしれない。例えば、近藤サトがグレイヘアを選んだきっかけが、東日本大震災だったように。彼女は、防災用の荷物に白髪染めを入れたとき、老いに抵抗することに不自由を感じ、染めるのを止めたという。一方で『美ST』編集部は、同じく東日本大震災の際に現地を訪れ、被災者にボランティアでヘアカットやメイクを施したことで、女性には美しくいることが必要だと確信したという。

灰发说是时尚,或许已经更接近“选择怎样的生活方式”这种个性问题了。比如近藤サト接受灰发的理由是东日本大地震。她在避难用行李中放入白发染发剂时,感受到了对抗衰老的不自由,因此决定不再染发。另一方面《美ST》编辑部同样在东日本大地震时抵达现场,通过对受灾者进行义务的美发和化妆服务,让女性确信即使是此时也有必要保持美丽。

「被災地で大変なときだからこそ、美容が重要な役割を果たしたと思います。実際、髪を整えたりお化粧した皆さんはとても喜んでくださいました。美容に時間や労力を費やせること、それはまともな社会の証でもある。女性が若さや美しさにかまけることができるのは幸せなことだし、それができない社会は成熟していないと思うんですよね。だから私たちは、『おばさんのくせにオシャレして』と言われるような社会にはしたくないんです」

“我认为正是因为受灾地正处于艰难的时期,美容才发挥了重要的作用。实际上,大家非常高兴能整理头发和化妆。在美容上花费时间和精力也是一种社会体面的证明。女性能在保持年轻和美丽上费心费力是一种幸福的事情,我认为做不到这件事的社会是不成熟的。所以我们不希望社会上有‘都已经是大妈了还扮什么俏’之类的声音。”

もちろん、グレイヘアにすることが“美を放棄すること”になるわけでは決してない。だが、そればかりをあまりに賛美しすぎるのも、極端な話かもしれない。グレイヘアの対極にある、“美や若さを追及すること”も、何ひとつ悪いことではないのではなかろうか。選ぶのは女性自身。「何を選択するにしても、大事にすべきことはひとつだけ」と、桐野さんは語る。

当然,灰发也绝不意味着“放弃美丽”。但是,过于赞美它的话或许会使事情变得极端。与灰发相对,“追求年轻和美丽”也不是完全正确。应由女性自身来做选择。桐野女士说:“无论如何选择,只有一件事十分重要。”

「何を選ぶにしても、自分を好きでいられればそれでいいと思います。すべての基本は、自分を大事にすること。そうすれば家族にも優しくいられて、社会の中でも明るくいられる。私たちは、美容はそのためにあるのだと思っているんです。」

“我认为不管如何选择,只要自己喜欢就好。一切的基础就是重视自己本身。这样的话可以在家庭中成为贤妻良母,也可以在社会中明朗动人。我们认为美容正是为此存在。”

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