「危険」というほどの猛暑に日本全国が襲われた今年の夏。スーパーやコンビニで目立ったのは、ミントグリーンがさわやかな「チョコミント」系のアイスやスイーツだった。すでに終売している商品も多いが、セブン-イレブンは8月14日から「チョコミントスイーツフェア」を開始。

今年夏天,堪称危险的酷暑席卷日本。超市和便利店里引人注目的是采用薄荷奶油制成的,具有清爽口感的“薄荷巧克力”系列的冰激凌和甜品。很多商品都销售一空,711从8月14日开始开展了“薄荷巧克力狂欢节”(推出四款限定新商品)。

しかし、チョコミントといえば、かつては「歯磨き粉の味」といわれ、圧倒的な人気を博す存在ではなかったはず。それが今やSNS上では「チョコミン党」なる言葉も生まれ、チョコミント好きが商品情報に狂喜乱舞している。日本人はいつの間に、こんなにチョコミントを愛するようになったのだろうか。

不过,说起薄荷巧克力,过去人们认为它像“牙膏”的味道,很难获得大多数人的喜欢。但现在SNS上也产生了“薄荷巧克力党”这样的词汇,薄荷巧克力爱好者看到相关商品情报就高兴得手舞足蹈。日本人什么时候变得这么喜欢薄荷巧克力了呢?

日本人の嗜好の転換点?

日本人嗜好的转折点?

早速、5月に期間限定で「ガリガリ君リッチ チョコミント」を出した赤城乳業に聞いてみた。ちなみに、同商品は予想より早いペースで7月に在庫が終了している。同社は1999年からマルチパック(330円)、2015年3月からカップ(130円)、2016年3月からスティックタイプ(70円)のチョコミント味の商品を出している。こうした商品の昨年7月からの1年間の売り上げは、前年同期比で1.3倍に増えたという。

于是,我们立即向在五月就发售了期间限定甜品“ガリガリ君リッチ 薄荷巧克力”的赤城乳业进行了采访。顺便一提,早在七月,这一产品就比预想更快地销售一空了。而同公司1999年生产的マルチパック(330日元),2015年3月开始生产的カップ(13日元),2016年3月开始生产的スティックタイプ(70日元)都有薄荷巧克力味。这些商品从去年7月开始到现在的一年里,营业额比前年同期增长30%。

マーケティング部の岡本秀幸氏によると、「ブームになったのは、2016年ごろから。2017年8月にTBSの『マツコの知らない世界』でチョコミント特集をしてから、さらに人気が高まりました」。ブームが広がったのは、「お菓子や飲料などチョコミント味の商品のバリエーションが増え、買いやすくなったからでは」と話す。

销售部的冈本幸秀先生说“热潮是从2016年开始的。2017年8月TBS电视台《松子所不知道的世界》做了薄荷巧克力的特辑,人气更上一层楼。”而潮流扩散则是因为“薄荷巧克力味的零食和饮料的商品种类增多了,随手就可以买到。”

実際、近年はアイスにとどまらず、チョコレートやクッキー、シュークリームなどチョコミント商品は多様化している。加えて、ミントグリーンにチョコチップというポップな見た目も「インスタ映え」することから、SNSが人気をさらに押し上げたといえるだろう。

实际上,近年来不光只是冷饮,巧克力、蛋糕、泡芙等薄荷巧克力味的商品逐渐变得多样化起来。并且,薄荷绿色的奶油上撒上巧克力屑,看上去很时尚,发ins再合适不过。在SNS上人气大增。

が、筆者にはこのブームが単なる一時的なものにとどまらないように思える。むしろ、日本人の嗜好 の変化を表す象徴的なフレーバーとして、チョコミントが人気になっているのではないだろうか。

话虽如此,笔者认为这股热潮不只是一时兴起。倒不如说,薄荷巧克力是可以代表日本人喜爱的口味变化的象征。

これはバブル絶頂期のティラミスと似ている。ティラミスブームは数年で終了したが、その後日本人の好みは幅広く複雑になっていった。ケーキに関しても、スポンジだけでなくムースやタルトなどにも人気が広がり、2000年前後のスイーツブームにつながった。

这就像泡沫经济时期的提拉米苏。提拉米苏热潮没几年就结束了,但之后日本人的喜好就变得广泛又复杂起来。在蛋糕方面,不光是海绵蛋糕,慕斯和水果塔等商品的人气也逐渐扩散,可以联系到2000年前后的甜点热潮。

鮮やかな色彩の食品も珍しくなくなった

色彩鲜艳的食品也常见起来

日本人がチョコミント味を知ったのは、サーティワンアイスクリームでだった。サーティワンが日本に上陸し東京・目黒に1号店を開いたのは1974年。当初からチョコミントフレーバーのアイスは並べられていた。最初のうち、バニラや小豆、チョコなど甘い味の定番と異なるミントのスーッとした味わいや、目が覚めるようなミントブルーの色に驚いた人は多かったのではないだろうか。青い色の食品は、日本になかったからだ。

日本人了解到薄荷巧克力味是通过31奶油冰激凌。31在1974年入驻日本,在东京目黑开了1号店。最开始推出的商品中就有薄荷巧克力味的冰激凌。香草、红豆、巧克力等常见的甜系风味外,薄荷清凉的口感和可以唤醒精神的薄荷蓝颜色让很多人吃惊不已。因为当时日本没有蓝色的食物。

前述のとおり、チョコミントの魅力はその色合いもある。ミント色は、従来の日本的な緑や青とは異なる鮮やかな色彩だ。2001年、赤と緑を組み合わせるなど、独特の濃厚 な色彩感覚が斬新なフランス映画、『アメリ』がヒット。この頃、ユニクロのカラフルなフリースの人気も沸騰していた。その後しばらくして、濃厚な色合いのカラフルなマカロンがブームとなる。多方面にわたる濃厚でコントラストが強い色を組み合わせるブームを経て、日本人の色彩感覚は変わっていったと考えられる。

如前文所述,薄荷巧克力的魅力是它的色调。薄荷色是和日本传统的绿色及青色不同的鲜艳色彩。2001年,红色和绿色组合,色彩独特而浓厚的法国电影《天使爱美丽》一炮而红。当时,优衣库鲜艳的绒衣系列也成为热潮。经过多方面产生过的浓厚且对比强烈的颜色潮流,日本人的色彩感觉发生了变化。

味ももちろん重要なポイントだ。最近は強炭酸の炭酸飲料がヒットし、カラムーチョの人気が再燃したり、山椒や花椒などのしびれ系やブラックペッパーの味も人気と、より刺激的な味を求めるトレンドがある。ミントの清涼感を加えたチョコミント味は、ただのチョコレートより刺激が強い。夏の酷暑に負けじと、チョコミント味のアイスに手を伸ばした人は多いのではないだろうか。

当然口味也是很重要的一点。最近非常流行碳酸强度高的饮料,カラムーチョ(薯片、薯条)的人气再度燃起,山椒和花椒等麻辣系列和黑胡椒风味都人气极高,人们更加倾向于追求刺激的口感。添加了薄荷清凉感的薄荷巧克力味也比普通的巧克力味更能刺激味蕾。为了不输给夏日酷暑,很多人都尝试了薄荷巧克力味的冰激凌。

ストレス社会から爽快感を求める人も?

从高压社会中寻求爽快感的人也?

江戸時代まで肉食が禁止されていた日本で、近代以降も長らく好まれてきたのは、マイルドな味わいである。伝統的に使われてきたワサビや山椒も、たっぷり使うのではなく、アクセントとして利かせる程度だ。大航海時代にヨーロッパ人がアジアに持ち込んだ唐辛子も、肉食文化があったお隣の朝鮮半島では、品種改良で種類を増やし、キムチに不可欠なものとするなど、独自の唐辛子文化が育ったが、日本では七味唐辛子ぐらいでそれほど使い道が広がらなかった。そして、激辛ブームとなった1980年代半ばまで、唐辛子の辛さはあまり好まれなかったのである。

到江户时代为止都禁止食肉的日本,就连进入近代以后,喜好的也是温和的口感。传统使用的芥末和山椒量也不多,不过是用来突出食物口感的程度。大航海时代欧洲人传入东南亚地区的辣椒,以及以肉食文化著称的邻近的朝鲜半岛,也因品种改良增加了辣椒的种类,成为了泡菜不可欠缺的调料,培育了他们独特的辣椒文化。所以,直到掀起辛辣热潮的20世纪80年代后半叶为止,辣椒的辛辣口味也依然不能为日本人所喜爱。

激辛ブームと、アジア飯のブームが重なるようにして起こり、しだいに日本人は刺激的な味に慣れ、やがてそういう味を好むようになっていった。ここ数年の肉ブームも、よりはっきりした味を求める近年の傾向を反映している。強い味を好きな人が、ミントの刺激とチョコレートの甘さが入り混じるチョコミント味を求めるのは、当然なのかもしれない。

辛辣热潮和东南亚风料理热潮相互交叠,日本人也就习惯了刺激的口感,最终喜欢上这个味道。在这数年里的肉食热潮也反映出近年来人们追求更为明确口感的倾向。喜欢重口味的人追求薄荷的刺激感和巧克力的甜味混合而成的薄荷巧克力味,也是理所当然的。

もう1つ考えられる理由は、私たちが日々強いストレスにさらされていることだ。2度目の東京オリンピックの開催に向けて経済活動が活発になる一方、庶民の生活実感としては、先行きが不透明で不安な時代が続いている。自殺率も高く、鬱を患う 人は珍しくなくなった。貧困問題も深刻である。

另一个值得参考的理由就是我们日益增多的精神压力。第二次东京奥林匹克运动会即将举办,在促进经济活跃的同时,从普通百姓的生活实感来看,前路不明而不安的时代仍在持续。高自杀率,抑郁症人群变得普遍。贫困问题也极为深刻。

気候も激しくなっている。気象変動の影響で、今年の猛暑だけが特別なのではなく、年間を通じて気温のアップダウンが激しい。毎年のように水害や地震といった自然災害がどこかの地域を襲っている。

气候开始变得恶劣。因为气象变化的影响,不光是今年夏天的酷暑天气,时令交替的气温变化也很大。且几乎每年水灾、地震等自然灾害都会袭击某一块地区。

平成になってから、私たちは長い不況 と厳しい気候変動の中を生きてきた。厳しい環境を生きる人たちが、強い味のチョコミントに手を伸ばす。刺激的な味と、はっきりした印象的な色合いのチョコミントスイーツの人気には、過酷な日々を生き抜こうという私たちの意志が隠されているのかもしれない。

自平成以来,长期生活在不景气以及剧烈的气候变化中。在恶劣的环境中生活着的人们,开始偏爱具有强烈口感的薄荷巧克力。刺激的口感,有明显色调对照的薄荷巧克力甜点获得人气的原因,或许就隐藏于我们在艰难的日子里努力生存下去的意志中。

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