東京が56年ぶりの五輪を迎える2020年、政治や経済、国際関係はどう変化しているのか。スポーツや芸能、メディアや医療の世界には果たしてどんな新潮流が――。各界の慧眼が見抜いた衝撃の「近未来予想図」。

2020年,东京将时隔56年迎来奥运会。届时的日本政治、经济和国际关系会发生什么样的变化?运动、娱乐、媒体以及医疗等行业又会引发什么样的新潮流呢……各界专家以独到的慧眼为您描绘令人震惊的《近未来蓝图》。

金融緩和の追い風を受け、都心の新築マンションは一時、局地的な「バブル」現象が起こった。にわかに活況を呈した不動産市場の未来を、不動産コンサルタントの牧野知弘氏はどう見るのか。

在金融缓和政策的影响下,市中心的新建公寓出现了短时的、局部的“泡沫”现象。对于骤然兴起的房地产市场,房地产顾问牧野知弘先生有何预测呢?

▎増え続ける訪日外国人

▎访日外国人数日益增长

訪日外国人数の伸びが止まらない。日本政府観光局の発表によれば、2016(平成28)年4月の訪日外国人数は208万人と、単月としては前月の201万人を上回る過去最高値となった。

访日外国人数从未停止增长。据日本政府观光局公布的数据显示,2016(平成28)年4月的访日外国人数为208万人,超越上一个月的201万人,并创造了历史新高。

昨年の訪日外国人による消費額は約3兆5000億円。「爆買い」と称されるようにそのインパクトは銀座の百貨店の売上を支え、地方でも豪華クルーズ船で訪れる観光客が1日に落とすお金は1寄港あたり約1億円にも上り、不況に苦しむ地域経済にとっても干天の慈雨となっている。

去年由访日外国人产生的消费额约为3兆5000亿日元。正如世间所说的“爆买”,其冲击力推动了银座百货店营业额的增长,搭乘豪华游轮到访地方的观光游客一天消费的金额上升至每个港口约1亿日元,这对于一些苦于经济衰退的地区来说可谓是久旱逢甘雨。

日本政府は、こうした状況をふまえ、今年3月、これまで2020年2000万人としていた訪日外国人数の政府目標を大幅に上方修正。訪日外国人数と消費額をそれぞれ、4000万人、8兆円とした。

日本政府根据这一现状,于今年3月,将2020年访日外国人数要达到2000万人的政府目标进行大幅修改。把访日外国人数与消费额分别设置为4000万人与8兆日元。

近年の政府目標でこれほどの大幅上方修正を行った例はほとんど聞かれない。それだけ政府も訪日外国人による経済効果に期待を寄せている証拠とも考えられる。

政府对目标进行如此大幅度的修改,在近年来几乎是闻所未闻的。而这也证明了政府对访日外国人带来的经济效益寄予着期待。

▎空き家が外国人の住居に

▎空房成为外国人的住处

「ニッポン、いいね!」と考える外国人旅行者の増加は、日本に「暮らしたい」という願望を持つ外国人が増加することを意味している。

如今,有越来越多的外国旅行者对日本持有好感,这也意味着有越来越多的外国人希望居住在日本。

2020年、日本は溢れかえる外国人を取り込もうとする動きがますます顕著になることであろう。つまり、農業や建設業だけでなく、深刻化する人手不足を背景として、外国人労働者を積極的に雇い入れる動きが全産業に波及するのである。「合法」であろうが「不法」であろうが外国人労働者は日本で暮らしていくための住居が必要となる。彼らはどこに「住まい」を求めることになるのだろうか。

2020年,日本政府将以更加明确的态势来吸收这些数量庞大的外国人口。也就是说,在农业、建筑业等领域严重缺乏劳动力的背景下,积极雇用外国劳动者的势头将波及所有行业。且不论其中涉及的“合法”与“不合法”问题,外国劳动者在日本工作生活就必须要有住处。那么他们会向哪里寻求住所呢?

空き家である。

答案是空房。

▎5軒に1軒が空き家と化す

▎每5栋房子就有1栋是空房

総務省「住宅・土地統計調査」によれば、2013年における我が国の空き家数は820万戸、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.5%にものぼっている。すでに空き家は地方だけの問題ではなく、東京都の空き家は81万7000戸で都道府県別でその数は断トツ1位である。

据总务省《住宅·土地统计调查》显示,2013年日本国内的空房有820万户,空房与总住宅数的比例(空房率)上升至13.5%。且这不仅是地方问题,东京都的空房已达81万7000户,在所有都道府县中稳居第一。

野村総研の予測どおりになると2018年には、空き家は1000万戸を超え、2023年で1397万戸、空き家率は21%、なんと日本の住宅の5軒に1軒が空き家という深刻な状況になっているはずだ。

按照野村综合研究所的预测,2018年,全国空房将超过1000万户,到2023年这一数字甚至会增长至1397万,空房率高达21%,日本将会陷入每5栋房子就有1栋是空房的窘迫境地。

▎持ち家は「困った住宅」になる

▎所持房产成“令人困扰的住宅”

特に深刻なのは、個人の持ち家の空き家が激増することだ。その数は2023年には500万戸を超えてくる。人口構成に占める割合の高い、団塊世代が続々後期高齢者の仲間入りをすることから、彼らがモーレツサラリーマンとして買い求めた都市部郊外の住宅地の空き家問題が勃発していることだろう。

当中尤其严重的,便是个人所持房产的空房激增问题。其数量到2023年将会超过500万户。在人口结构中占据高比例的*团块世代已逐渐成为后期高龄者的一员,他们在“工作狂”时期购买的郊区住宅地正逐步面临空房化问题。

(*注:指日本在1947年到1949年之间出生的一代人,是日本二战后出现的第一次婴儿潮人口。)

子供は都心部のタワーマンション住まい。親が住んだような郊外の家から通勤するなどというオールドファッションな生活を選択する子供はほとんどいない。それでも親が亡くなれば、彼らにとっては無用の長物でしかない「家」を相続せざるを得ない。

孩子们都住在市中心高层公寓。几乎没有人会选择像他们父母旧时那样,从郊区上班。然而在父母去世后,他们还是不得不继承那个无用的“家”。

空き家として放置することへのペナルティーも強化され、空き家のまま所有することが、重い負担になっているはずだ。人口の減少や働き手の不足が顕著になる中で、売却はもちろん、賃貸に供することもできない「困った住宅」が激増していることであろう。

近年来,政府也在不断强化对搁置空房的惩罚措施,持有空房对一般人来说应该是一个沉重的负担。然而在人口减少与劳动力不足日益激化的背景下,别说出售了,连出租都难,这些“令人困扰的住宅”在未来想必仍会有增无减。

▎「ヤミ民泊」が横行する

▎“非法民宿”横行

彼らがそこで目を付けるのが「空き家活用」としての外国人への賃貸である。背に腹は代えられない。不法であるかどうかは、この際あまり関係がない。自らの経済状況を維持し、困った住宅の「問題先送り」を行うためには外国人であろうが、立派な「借り手」なのである。

于是他们开始着眼于“对空房的有效利用”,也就是租借给外国人。舍卒保帅,管它合法不合法,这些都无所谓。为了维持自己现有的经济状况,延缓住宅问题,即使是外国人,也足以视其为珍贵的“租客”。

新法が制定される予定の民泊も、外国人労働者の格好の隠れ蓑になるであろう。新法ではカバーできない「ヤミ民泊」が横行するからだ。そもそも「ニッポン、いいね」で、日本の住宅を「爆買い」した外国人が、運用利回りを上げるために、多くの同朋を宿泊させる行為はすでに蔓延しているが、これらをすべて新法の中で規制することは不可能である。

新法预定的民宿也将成为外国劳动者最佳的藏身之处,这是由于在新法中无法涵盖的“非法民宿”的横行。且一些对日本持有好感,并“爆买”日本住宅的外国人为了增加利用率,让众多同伴留宿的行为也在蔓延。将这些问题全部交由新法约束是不可能的。

いっぽうで、「外国人慣れ」をしつつある日本人側にも外国人のこうした姿に対して、「まあ、しかたがない」といったあきらめと寛容が生じている可能性がある。

此外,越来越“习惯外国人”的日本人在对待外国人时,还有可能产生诸如“唉,算了”的无奈与宽容。

いままでは外国人といえば、「異質な人」で、彼らの行動は、国内では常に「目立ち」、監視される立場であったものが、「隣にいる普通の人」となってくるのだ。

从前在日国人眼里,外国人是“异质之人”,他们的举动在国内通常都是“显眼的”、受到监视的,但今后他们将会渐渐转化为“普通的邻居”。

▎不法滞在の外国人の増加で治安は悪化

▎因非法滞留的外国人口增加而导致治安恶化

結果としての「空き家対策」となってしまった外国人居住が社会にもたらす影響はなんだろうか。

那么,最终成为“空房对策”的外国人居住又会给社会带来什么样的影响呢?

1つは、外国人技能実習制度は、本来の趣旨とは裏腹に形骸化し、「不法」に働く外国人に対して、従来からの「移民は入れない」という政府方針に隠れて事実上黙認することになるであろう。

一是使外国人技能实习制度与原来的主旨背道而驰,变得形式化。在向来“不接受移民”的政府方针背后默许外国人“非法”留日工作。

そしてもう1つは、治安の悪化である。空き家だらけでコミュニティが失われてしまった地域やアパート、マンションなどでは急速なスラム化がすすみ、不法滞在の外国人で溢れかえる。少数派となった日本人が町や建物から逃げ出すことで、スラム化には拍車がかかることだろう。日本にもテロに対する危機は今以上に高まっていることが予想される。その時、この空き家に「巣食っている」大勢の不法滞在外国人の中に、凶悪なテロリスト集団が紛れ込まないとは、断言できない。

二是治安恶化。一些空房遍布、失去社区功能的地域和公寓将会实现急速的贫民区化,成为非法滞留人口的聚集地,迫使在人数上处于劣势的日本人搬离出去,从而又进一步地促进当地的贫民区化。(到2020年)恐怖袭击的危机想必比现在要紧张。谁也不能断定在“盘踞”于空房的大量非法滞留人员中,没有凶残的恐怖集团混入。

▎観光大国の危機

▎观光大国的危机

かつて、不動産、特に一生をかけてローンを返済して取得した住宅は日本人にとっては間違いなく「資産」「財産」であった。皮肉なことに、この「財産」であったはずの住宅を相続した子供たちが持て余し、行き場のなくなった住宅が、結果として不法滞在を助長する現象が2020年、東京五輪閉幕の鐘とともに、日本の新たな社会問題として表舞台に登場することになるであろう。

过去,不动产,特别是那些需要花费一生来偿还贷款方可取得的住宅,对于日本人来说毫无疑问都是“资产”、“财产”。然而十分讽刺的是,对于继承了这些“财产”的后代来说,它们都是烫手山芋,这些令人无从下手的住宅反而助长了非法滞留。到2020年东京奥运会闭幕之时,这一现象便会进化为新的社会问题登台亮相。

2020年訪日外国人は、おそらく政府目標である4000万人を楽々クリアすることであろう。しかし、これも皮肉なことであるが、日本の都市のスラム化、治安の悪化は外国人観光客の脚を日本から遠ざけることになる。ましてやテロ事件に日本も見舞われるようになれば、「インバウンド」というバブルはあっというまに雲散霧消してしまうかもしれない。営々と築いてきた観光大国への道の陰で、将来の日本に対する警鐘が鳴っているのである。

要达成2020年访日外国人数4000万的政府目标想必是件轻而易举的事情。然而,同样十分讽刺的是,城市的贫民区化、治安恶化只会令外国观光游客远离日本。进一步说,万一有恐袭事件发生在日本,那么“入境旅游”的盛况就很有可能瞬间烟消云散。在一步步构筑起来的观光大国的阴影处,正对日本的未来敲响着警钟。

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