人工知能は音楽家を変えるのか。早くからシンセサイザーなど最新の音楽機器を駆使してきた小室哲哉さんは「音楽の世界でも、人工知能に人間が時々負けて、時々勝つ。なんてことが起きるかもしれません」と話します。一方で「最終的に音楽の価値を決めるのは人間」と語る小室さん。人工知能がもたらす未来について聞きました。

人工智能会改变音乐家吗?小室哲哉很早就开始使用音响合成器等最新的音乐设备了,他说:“在音乐的世界里,人工智能与人类难分胜负,一切皆有可能发生。但是,音乐的价值最终还是得由人类来决定”。但人工智能是未来的发展趋势。

「予想外のことやってくれるか、まだわからない」

“会不会发生意想不到的事情呢?这我还不知道。”

人工知能は音楽の世界にも浸透しつつあります。最近では、AIの技術を使ってビートルズの楽曲をベースにした「新曲」が発表されています。

人工智能技术正在逐渐地渗透到音乐界。最近发行的新曲就是在披头士乐曲的基础上,使用AI技术创作完成的。

デジタル技術と音楽の関係について小室さんは「使っているといえば、何十年も前からアシスタントとして使っている」と言います。

关于数码技术和音乐的关系,小室说“说起来的话,人们早在几十年前就开始使用数码技术来创作音乐了。”

曲作りの際、過去の曲を瞬時に呼び出して参考にしたり、シンセサイザーを使ったり。人工知能が騒がれる前から、最新の技術を仕事に取り入れてきました。

在制作歌曲的时候,可以瞬间调出旧曲子作为参考,也可以使用音响合成器。人工智能出现之前,就已经在工作中使用了最新的技术。

一方で「予想外のことをやってくれるかどうかは、まだわからない」とも。

另一方面,小室说:“会不会发生意想不到的事情呢?这我还不知道”。

「シンセサイザーのつまみをいじると、想像もしない音が出てくることがあります。でも、この『いじる』という行為は人がやっている。曲のデータベースも基本的にはサポーター」

“你去捣鼓合成器的按钮,会听到许多奇奇怪怪的声音。但这种‘捣鼓’的行为是由人类支配的,是基于乐曲的数据库而为之的。”

指示通りに動くこと以上の驚きは、まだ体験したことがないと言います。

小室说如果按照指示转动按钮的话,就不会出现上述奇怪的声音了。

「音楽は押しつけられるものではない」

“不能强迫别人听音乐”

人工知能を使っておすすめの曲を選んでくれるサービスが生まれるなど、音楽の楽しみ方も変わりつつあります。

使用人工智能,可以选择推荐的歌曲,随着这种功能的产生,听音乐的乐趣也在不断地变化着。

それでも小室さんは「音楽の基本部分はあまり変わらない」と言います。

但是,小室说“音乐的基本部分没多大变化”。

「音楽ってもともと、そこまで集中しなくても、なじんで入ってくる存在。」

“音乐本来就不是集中存在于某一处的,它是可以和某种事物融合在一起的。。”

現在、人気のストリーミングサービスは、膨大な数の曲のデータベースが売りです。ネットがあれば、昔のように発売日にレコード店に行く必要もありません。

现在,很受欢迎的流软件(即一边下载一边播放的软件)拥有庞大的乐库。一旦联网,就可以在线听音乐,没有必要像往常一样,在发行日当天赶去唱片店买唱片了。

小室さんの言う「自然に耳に入ってくる」存在としての音楽は、人工知能など最新のテクノロジーやサービスによって、役割が増してきているとも言えます。

小室所谓的“自然地听到”的音乐,是增加了人工智能等最新的技术和服务之后的效果。

「音楽は押しつけられるものではない」と言い切る小室さん。

小室很坚定的认为:“音乐是不能被强迫接受的”。

「でも、音楽がない時に『ああ、あれ聞きたいな』とか、新しい曲を聴いたとき『今、出会った曲、大切にしたいな』となれるのか。人工知能が出てきても、そういう音楽の価値は変わらないんじゃないでしょうか」と話します。

“但是,没有音乐的时候,也许会说:‘啊,想听点音乐啊’;在听新歌曲的时候,也许会像:‘想要珍惜现在听的这首歌’。如果人工智能出现的话,恐怕这种对音乐的价值观也会改变的吧。”

「経験がなくてもできちゃう人。それが天才」

“没有经验却能把事情办好,这种人堪称天才。”

90年代を中心にダンスミュージックも多く手がけてきた小室さん。最近では音楽フェスのようなイベントが人気です。

在90年代,很多舞曲音乐也都是小室亲自操刀完成的。最近,他在音乐节活动中很受欢迎。

「フェスは視覚的な効果や演出などストーリーが大事。人工知能がゼロからフェスを作ることはできないんじゃないでしょうか」と指摘します。

小室说:“举办一场音乐节,视觉效果和演出都很重要。人工智能技术不就做不到从零开始制作音乐节嘛。”

「一度、経験すればどんどんうまくなるのが人工知能。逆に経験がないと何もできない。それは人間も同じです。そして、時々、経験がなくてもできちゃう人がいる。それが天才と呼ばれる人なんだと思います」と語ります。

“人工智能是有过一次经验,以后就会越做越好。相反,如果没有经验,就什么也不会做。人也是如此,但有时候,即使没有经验也能做好的人是存在的,我想这种人应该称之为天才。”

人間の役割についてはゼロを一にする。それって最も大きな驚きだと思います。その後は数字の組み合わせに過ぎない。それができるのは人間だと思う

人在音乐上发挥的作用是化零为整,这是最让人震惊的部分,之后也只不过是数字之间的组合罢了。但也只有人类才可以做到。

「石ノ森章太郎さんは、やっぱりすごい」

“石森章太郎,果然很厉害”

小室さんは2017年8月、仮面ライダービルドの主題歌『Be The One』を、浅倉大介さんとのユニット「PANDORA」で手がけました。

2017年8月,小室哲哉与浅仓大介合作,取名“潘多拉”组合,为石森章太郎的作品《假面骑士》创作了主题曲《Be The One》。

今回、あらためて仮面ライダーと向き合い、人間にしかできない「最初に生み出すすごさ」を実感したと言います。

这次,再次面对假面骑士,小室深切感受到只有人类才会有的那种“原始的优越感”。

「石ノ森章太郎さんは、やっぱりすごいですね。今も生き続けている。そんなキャラクターを、最初に名付けた。これは、すごいなと思います」

“石森章太郎,果然好厉害啊!他现在仍然活在人们的心中。他漫画里的那些人物,都非常棒!”

「アンダーコントロールというのはまず不可能」

“总之不可能被控制”

現在の音楽ビジネスについては「あるジャンルについて、すごく熱い人と冷たい人の差が激しい時代」だと見ています。

现在的音乐界“对于某种类型的曲子,特别热衷和不感兴趣的人之间的差距十分巨大。”

「エンドユーザーという人ほど、すごく、フレキシブル。自由度が高すぎて、そんなに思うように動いてはくれない。時代の変化を感じます。アンダーコントロールというのはまず不可能です」

“终端用户是非常灵活的,他们在选择上高度自由。时代在不停的变化,他们是不会按照你的想法来的。总之消费者是不可能被控制的。”

自由になった一方、聞き手に届く曲の数には限界があります。そんな時代を音楽の作り手としては「長持ちするのが難しい」と実感しています。

另一方面,对于听众而言,他们可以听到的曲子的数量是有一定限度的。对于音乐创作者而言,这样的时代“要长久也很难”。

「自由すぎて、いろんな音楽をやってもいいけど、(聞き手に届くまでの)ゲートの大きさは変わっていない。能力のない人はすぐ落ちちゃうし、10年、音楽をやり続けているような人が少なくなっています」

“太自由了,可以做各种各样的音乐,但(能够呈献给听者的)大门的大小没有变化。没有能力的人会立刻被淘汰掉,所以,能持续10年以上的音乐人越来越少。”

そんな時代、小室さんが大事にするのが「自分なりの音楽を突き詰めること」です。

在这个时代,小室把“反复思考自己的音乐”当做很重要的事情来做。

「90年代から今まで活動してきた自分の世界観。それを音楽で形にしていきたい。それぞれの曲は違うんだけど、俯瞰(ふかん)すると何か色がでている。そうなると、大成功だと思う」

“从90年代到现在,一直在把自己的世界观用音乐的形式呈现,虽然不同的曲子会有不同的风格。但俯瞰所有歌曲,如果能有某种特别的颜色,那就是极大的成功了。”

ユーザーの好みが多様化し、それを加速させる様々なサービスが生まれる現代。音楽家に求められるのは「人としてのセンス」だと言います。

用户的喜好是多样的,现代社会为了满足用户的不同需求而出现了各种服务,这反而又促进了需求的多样化。而音乐家的需求则是“人的感觉”。

「センスを磨いて、維持する。人間だとこれくらいで飽きちゃう、みたいなのがわかるように。集中力も、記憶力も、AIほど忍耐強くないから」

“磨练并保持自己的感觉。这对于人来说,会产生厌烦,看上去整个人好像轻飘飘的。这是因为人的注意力和记忆力都不及AI的缘故。”

「いい音楽、最終的に決めるのは人間」

“好音乐,最终是由人来决定的”

小室さんは、遠くない未来、作詞家、作曲家、編曲家に(IBMが開発した)ワトソンのようなAIの名前が入ることも考えられると言います。

小室说,不久的将来,在词作家,曲作家,编曲家的名字里会出现像沃森(IBM开发的)这样的AI技术的名字。

「でも、囲碁や将棋のように勝負がないのが音楽。人工知能と人間が名前を一緒に連ねるんだけど、どっちの音楽がいいかは最終的に人が決める」

“但是,音乐不像围棋和象棋那样,能分出胜负。虽然人工智能和人类是一体的,但是,什么样的音乐是好音乐,最后还是得由人来决定。”

それでも人間にしかできないことは「いつか、自分が無くなってしまうことを自覚できること」。

只有人类才能够做的事情“总有一天人类自己会无意识地、自觉地去做”。

本翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

相关阅读推荐:日本音乐教父小室哲哉2015中国之旅