心の上に刃がある。「忍」は心をしっかりと持って耐え忍ぶという意味になる。逆に、耐え忍ぶことができず、堪忍袋の緒が切れたのが「忠臣蔵」の松の廊下での刃傷の場面だ。

 心字头上面一把刀。“忍”字其意为把持内心好好忍耐。反之,如若不能忍耐,一旦爆发就会造成“忠臣藏”中松之走廊刀光剑影的伤人场面。

 サッカーのワールドカップ(W杯)の決勝で、イタリアのマテラッツィ選手に頭突きを見舞って退場となったフランスのジダン選手が、仏テレビに出演した。「母と姉を傷つけるひどい言葉を繰り返された。1度や2度ならともかく、3度となると我慢できなかった」。ジダンの顔も2度までで、3度目に堪忍袋の緒が切れたということか。

 本次世界杯足球决赛中,因用头部撞击意大利球员马特拉齐而被判罚下场的法国选手齐达内,出现在法国的电视节目中。(他解释到)“对方多次恶言中伤我的母亲和姐姐,再一再二、不再三,我忍无可忍了”。齐达内当时的表情确也强忍了两次,第三次终于爆发了。

 「ひどい言葉」は、本人からは「とても口には出せない」という。それでも、英紙が報じた「テロリスト売春婦の息子」について「まあそうだ」と答えた。

 齐达内说“那恶毒之言”,我本人“无论如何也说不出口”。尽管如此,对英国报纸所报导的“恐怖主义者妓女的儿子”,他却回答“嗯,是的。” 

 「売春婦の息子」は、日本語で見ると強烈だが、イタリアでは頻繁に使われる侮辱の言葉だという。それにしても、本人と家族を深く傷つけることは確かだ。

 “妓女的儿子”,在日语看来是相当恶劣的,但据说在意大利,不过是个使用频繁的骂人话。但即便如此,这话对本人及其家人造成的伤害却是实实在在的。

 「テロリスト」には、9・11の米国への同時多発テロで加速したアラブ系の人々への差別意識がうかがえる。W杯の試合開始前のピッチには「人種差別にノーを」という大きなプレートが置かれていた。それだけ、実態は深刻なのだろう。

 从“恐怖主义者”一词,可以看出9·11对美国所制造的连环恐怖事件,加剧了对阿拉伯人种的歧视。世界杯开赛前赛场都会放置“对种族歧视说不”的巨型牌子。单凭此点来看,实际情况还是相当严重的吧。

 危険な頭突きは、決して認められない。本人も「後悔はしていない」と言いつつ、一方では「特にテレビを見ていた子供たちに謝りたい」と述べた。映像を見た世界の多くの幼い心に、なにがしかの傷を残したとすれば残念だ。ただ、あの頭突きは、相手の胸元だけではなく、差別を抱えた時代をも突いていたようだ。

 我们绝不能认可齐内达危险的头部撞击行为。他本人在说“不觉得后悔”的同时,另一方面也说到“我特别要对观看电视的孩子们道歉”。如果让这些观看电视孩童的幼小心灵留下伤疤,那的确是遗憾之事。只不过,此次头部撞击事件,不仅撞在对方的胸口上,似乎也撞击了这充满歧视的时代。