子供たちがA( )眠った土曜日の午後11時。
家事を終えた私は電話の前に座り、暫く時計と睨めっこ。1週間の中で最も緊張する時間が流れます。やがて、コール音。深呼吸をして受話器をB( )、聞きなれた声が耳の奥に響きます。
「こんばんは、僕です。子供たちは寝ましたか?」
電話の相手はさっきまでここにいた夫。ちょっと丁寧な話し方は、隣の部屋のベランダからです。仕事の都合で携帯電話を買ったC( )、予想していたほど電話はかからず、
「つまらないから君も電話かけてくれよ」
「あら、貴方が掛ければいいじゃない」
というのが始まりでした。それ以来五ヶ月、週一回の近距離電話が習慣となりました。はじめは子供のままごとみたいだとばかにしていたのに、いつもと違う夫との会話に何時の間にか引き込まれ、今ではこの時間をドキドキして待つようになりました。
「芽、出たね。この間まいた種の。あの花、なんていう名前だったっけ」
「今日の夕陽、見た?すごかったわね、あの色。明日も晴れね、D( )」
「昨日、本屋で面白い本、見つけたよ。読み終わったら回すから、感想聞かせろよ」
特別な意味はないけれど、日常ではなぜかできない会話を5分ぐらい続けて、
「じゃあ、お休み。また明日」
という言葉で電話は切れます。
ちょっと体の向きを変えれば、ガラス戸越しに電話中の夫の姿が見えるはず。距離はたった10メートル。糸電話でも十分だし、受話器を持たずに話したほうがよほど合理的なことは分かっているのですが。結婚して13年。共働きの忙しさE( )、何時ごろからかお互い自分中心にしかものが考えられなくなりました。そしてちょっとした心のズレをどこかで感じながら、それを当たり前のこととあきらめて生活していたように思います。けれど、電話というのは不思議なものです。
「外、寒いでしょう。風邪引いちゃだめよ」
なんて、顔を見ていたらなかなかいえないことが自然にいえるのです。
週末のこの5分間に、もちろん子供たちには内緒の時間。翌日からはすっかり父親に戻った彼と、また育児と仕事に追われる生活が始まります。でも、そんな日常のすべてを忘れて、二人がお互いのことだけを考えて語り合えるこ近距離電話はなぜかいつも新鮮で、私にとって掛け替えのないものとなっています。
カラス戸越しの5分間。来週は私がコールする番です。

質問

「問1」A~Eの( )に最も適当なものを1234から一つ選んでその記号を書きなさい。
A( ) 1ついに  2しばらく  3やっと  4かろうじで
B( ) 1とっても 2とると   3とるなら 4とっては
C( ) 1ものの  2ものを   3のに   4ものなら
D( ) 1かならず 2ぜひ    3まさか  4きっと
E( ) 1もあって 2もあったら 3もあれば 4もある

「問2」本文の内容と合っているものには○を、違っているものには×を( )の中に入れなさい。
①( )女の人は土曜日の夜は緊張しないでリラックスする。
②( )男の人がベランダに出て電話をしたのは寝ている子供を起こさないためだ。
③( )この近距離電話は、以前はつまらないものだと思っていたが、このごろは楽しみに変わった。
④( )夫婦二人は忙しいので、少し気持ちがズレるのは仕方がないと思っていた。
⑤( )顔を見て恥ずかしくて言えないような言葉でも、電話では言うことができる。
⑥( )夫婦二人は仕事に時間をかけすぎて、子供と交流する余裕がない。

参考答案
問1 32141
問2 ××○○○○

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