新标准日本语高级:第二十三课 国際性

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课文

温かいスープ

外国語を習得することは,国際交流のための重要なツールの1つであり,外国語に精通していれば,異国の文化が理解しやすくなる。確かに,国際交流に言葉は必要だが,果たしてそれだけで十分なのであろうか。

哲学者として知られる今道友信に「温かいスープ」と題する一文がある。自身がパリに滞在した時の体験を著したものであるが,国際交流が叫ばれる中,改めて国際性とは何かについて考えるうえで,とても貴重なエピソードである。

温かいスープ

今道友信

第二次世界大戦が日本の降伏によって終結したのは,1945年の夏であった。その前後の日本は世界の嫌われ者であった。信じがたい話かもしれないが,世界中の青年の平和なスポーツの祭典であるオリンピック大会にも,戦後しばらくは日本の参加は認められなかった。そういう国際的評価の厳しさを嘆く前に,そういう酷評を受けなければならなかった,かつての日本の独善的な民族主義や国家主義については謙虚に反省しなくてはならない。そのような状況であったから,世界の経済機構への仲間入りも許されず,日本も日本人もみじめな時代があった。そのころの体験であるが,国際性とは何かを考えさせる話があるので書き記しておきたい。

1957年,私はパリで大学の講師を務めていた。しばらくはホテルにいたが,主任教授の紹介状で下宿が見つかり,訪ねあてたところ,そこの主婦は,私が日本人だと知るや,「夫の弟がベトナムで日本兵に虐殺されているので,あなた個人になんの恨みもないけれど,日本人だけはこの家に入れたくないのです。この気持ちを理解してください。」と言い,私が下宿するのを断った。しかたなく,大学が見つけてくれた貧相な部屋のホテル住まいをすることになった。

そのころの話である。私は平生は大学内の食堂でセルフサービスの定食を食べていたが,大学と方角の違う国立図書館に調べに行くと決めていた土曜は,毎晩,宿の近くの小さなレストランで夕食をとるほかなかった。その店はぜいたくではないがパリらしい雰囲気があり,席も10人そこそこしかない小さな手作りの料理店であった。白髪の母親が台所で料理を作り,生っ粋のパリ美人という感じの娘がウェイトレスと会計を受け持ち,二人だけで切り盛りしていた。毎土曜の夕食をそこでとっていたから,2か月もすれば顔なじみになった。

若い非常勤講師の月給は安いから,月末になると外国人の私は金詰りの状態になる。そこで月末の土曜の夜は,スープもサラダも肉類もとらず,「今日は食欲がない。」などと余計なことを言ったうえで,いちばん値の張らないオムレツだけを注文して済ませた。それにはパンが一人分ついてくるのが習慣である。そういう注文が何回かあって気づいたのであろう,この若い外国生まれの学者は月末になると苦労しているのではなかろうか,と。

ある晩,また「オムレツだけ。」と言ったとき,娘さんのほうが黙ってパンを二人分添えてくれた。パンは安いから二人分食べ,勘定のときパンも一人分しか要求されないので,「パンは二人分です。」と申し出たら,人さし指をそっと唇に当て,目で笑いながら首を振り,他の客にわからないようにして一人分しか受け取らなかった。私は何か心の温まる思い出,「ありがとう。」と,かすれた声で言ってその店を出た。月末のオムレツの夜は,それ以後,いつも半額の二人前のパンがあった。

その後,何か月かたった2月の寒い季節,また貧しい夜がやって来た。花のパリというけれど,北緯50度に位置するから,わりに寒い都で,9月半ばから暖房の入る所である。冬は底冷えがする。その夜は雹が降った。私は例によって無理に明るい顔をしてオムレツだけ注文して,待つ間,本を読み始めた。店には二組の客があったが,それぞれ大きな温かそうな肉料理を食べていた。そのときである。背のやや曲がったお母さんのほうが,湯気の立つスープを持って私のテーブルに近寄り,震える手でそれを差し出しながら,小声で,「お客さまの注文を取り違えて,余ってしまいました。よろしかったら召し上がってくださいませんか。」と言い,優しいひとみでこちらを見ている。小さな店だから,今,お客の注文を間違えたのではないことぐらい,私にはよくわかる。

こうして,目の前に,どっしりしたオニオングラタンスープが置かれた。寒くてひもじかった私に,それはどんなにありがたかったことか。涙がスープの中に落ちるのを気取られぬよう,一さじ一さじかむようにして味わった。フランスでもつらい目に遭ったことはあるが,この人たちのさりげない親切のゆえに,私がフランスを嫌いになることはないだろう。いや,そればかりではない,人類に絶望することはないと思う。

国際性,国際性とやかましく言われているが,その基本は,流れるような外国語の能力やきらびやかな学芸の才気や事業のスケールの大きさなのではない。それは,相手の立場を思いやる優しさ,お互いが人類の仲間であるという自覚なのである。その典型になるのが,名もない行きずりの外国人の私に,口ごもり恥じらいながら示してくれたあの人たちの無償の愛である。求めるところのない隣人愛としての人類愛,これこそが国際性の基調である。そうであるとすれば,一人一人の平凡な日常の中で,それは試されているのだ。

『中学校国語教科書3』(光村図書)より

【注】今道友信(1922- )東京都出身。哲学者。

新出語彙2

いちぶん(一文)[名] 一篇文章,一篇短文
しゅうとくする(習得~)[名・サ变他] 学会,学好
ツール[名]手段,工具
せいつうする(精通~)[名・サ变自] 精通
いまみちとものぶ(今道友信)[专] 今道友信
だいする(題~)[名・サ变自] 命题;题字
あらわす(著~)[动1他] 著述,讲述
エピソード[名] 小故事,插曲,花絮
こうふく(降伏)[名・サ变自] 投降;归降
ぜんご(前後)[名] 前后
なげく(嘆く)[动1自] 感叹,叹息
こくひょう(酷評)[名・サ变他] 严厉批评
どくぜんてき(独善的)[形2] 自以为是,孤芳自赏
けんきょ(謙虚)[形2] 谦虚
きこう(機構)[名] 机构,组织
なかまいり(仲間入り)[名・サ变自] 参加到一伙当中,成为其中一员
みじめ[形2] 悲惨,凄惨
かきしるす(書き記す)[动1他] 记下来,写下来
げしゅく(下宿)[名・サ变自] 在别人家中寄宿;低级旅社
たずねあてる(訪ねあてる)[动2他] 探寻到,造访
にほんへい(日本兵)[名]日本兵
ぎゃくさつする(虐殺~)[名・サ变他] 虐杀,残杀
うらみ(恨み)[名] 仇恨,恨,怨,不满
ひんそう(貧相)[形2] 寒酸,破旧;贫寒相
すまい(住まい)[名] 居住;住处
へいぜい(平生)[名] 平素,平时
セルフサービス[名] 自助
はくはつ(白髪)[名] 白发
きっすい(生っ粋)[名] 地道,纯粹
びじん(美人)[名] 美人,丽人
ウェイトレス[名] 女侍者,女服务员
うけもつ(受け持つ)[动1他] 承担
ひじょうきんこうし(非常勤講師)[名] 编外讲师
げっきゅう(月給)[名] 月薪,工资
かねづまり(金詰り)[名] 拮据,银根紧缩
よけい(余計)[形2] 多余
オムレツ[名] 煎鸡蛋卷
そえる(添える)[动2他] 添,附加,附上
かんじょう(勘定)[名・サ变他] 付款,结账
もうしでる(申し出る)[动2他] 申述;提出
ひとさしゆび(人さし指)[名] 食指
くちびる(唇)[名] 嘴唇
かすれる[动2自] 压低着(声音),声音嘶哑
ほくい(北緯)[名] 北纬
わりに[副] 比较
そこびえ(底冷え)[名・サ变自] 冷得彻骨,严寒彻骨
ひょう(雹)[名] 冰雹
ゆげ(湯気)[名] 热气
こごえ(小声)[名] 小声
とりちがえる(取り違える)[动2他] 弄错;拿错;理解错
ひとみ[名] 目光,瞳孔,眸子
こうして[连] 这样地;这样
どっしり[副] 有分量的,沉甸甸的;稳重
オニオングラタンスープ[名] 洋葱烤奶酪菜汤
ひもじい[形1] 饿,空腹
けどる(気取る)[动1他] 觉察,猜测到
つらいめ(つらい目)[名] 痛苦,不快
さりげない[形1] 若无其事,毫不在意
ゆえ[名] 理由,缘故
やかましい[形1] 议论纷纷;挑剔;嘈杂
きらびやか[形2] 华丽;灿烂夺目
がくげい(学芸)[名] 学艺,文艺
さいき(才気)[名] 彩旗,才华
スケール[名] 规模;等级
おもいやる(思いやる)[动1他] 着想,体谅,体贴
おたがい(お互い)[名] 彼此,互相
じかく(自覚)[名・サ变他] 意识到,觉悟
てんけい(典型)[名] 典型
ゆきずり(行きずり)[名] 偶尔路过;迎面错过
くちごもる(口ごもる)[动1自] 支支吾吾,欲言又止;结结巴巴
はじらう(恥じらう)[动1自他] 害羞,害臊
むしょう(無償)[名] 无偿;免费
りんじん(隣人)[名] 邻居,街坊,邻人
きちょう(基調)[名] 基本思想;基调
こくご(国語)[名] 国语

なんの 没什么
ねがはる(値が張る) 价高,价格贵
はなのパリ(花の~)花都巴黎
かおをする(顔をする)做出……表情,显出……样子

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2013年07月31日06点30分 : Kuro
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